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事業成長の壁を超える、顧客戦略(WHO&WHAT)とカスタマーダイナミクス:西口一希氏講演レポート

 「実務」「実践」「再現性」の切り口から、マーケティングの次の一手を探る「MarkeZineプレミアムセミ ナー」。2月9日実施回には、『たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング』の著者である西口一希氏が登壇。多くのマーケター・経営者が見失っている顧客の心理と多様性、顧客を把握 するための各種フレームワークと、あらゆる打ち手の土台となる顧客戦略について、詳しく解説をいただいた。

見失っている3つの顧客実態

 定期誌『MarkeZine』72号(2021年12月号)の取材記事において、西口氏から「マーケターや経営者が顧客心理と顧客動態を見失っている」という問題提起があった。同時に、現状を適切に把握・改善していく方法として、「顧客起点の経営構造」や「顧客動態(カスタマーダイナミクス)」などのフレームワークを紹介いただいた。「自社でも取り入れたい」という読者の反響を受け、記事では取り上げきれなかった文脈を補足し、さらに実践に即した解説をいただく場となったのが、本ウェビナーである。

M-Force 共同創業者 取締役/Strategy Partners 代表取締役 西口 一希氏

P&Gマーケティング本部にてブランドマネージャー、マーケティングディレクターを歴任。ロート製薬執行役員マーケティング本部長。ロクシタンジャポン代表取締役社長、社外取締役 戦略顧問。スマートニュースに日本と米国のマーケティング担当執行役員として参画。2019年8月に、企業評価金額が10億ドル(約1,000億円)を超える国内3社目のユニコーン企業までの急成長に貢献。現在、1業種1社で、BtoC、BtoB、スタートアップから上場企業まで25社を支援している。著書に『たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング』(翔泳社)、『アフターコロナのマーケティング戦略 最重要ポイント40』(ダイヤモンド社・共著)、『マンガでわかる新しいマーケティング 一人の顧客分析からアイデアをつくる方法』(池田書店)。

 西口氏は冒頭、多くのマーケターが見失っている3つの顧客実態を取り上げた(図表1)。1つ目は顧客心理、2つ目は顧客の多様性、3つ目は顧客の変化である。

図表1 見失っている3つの顧客実態(クリック/タップで拡大)
図表1 見失っている3つの顧客実態(クリック/タップで拡大)

1. 顧客心理を見失っている

 まず1つ目において、西口氏は「顧客の行動だけでなく心理を見よ」と説く。購買データやメディアへの接触データの取得、CTRの算出といった、顧客行動に関するKPI管理は多くの企業で実施されている。しかしなぜ顧客がその行動を起こしたのか、裏にある心理を理解しようとする企業は非常に少ない。心理がブラックボックス化しているのである(前掲記事を参照)。

 特にA/Bテストに代表されるデジタルマーケティングの各手法では、顧客心理を置き去りにしたまま最適化を進めてしまうことが多いため、注意が必要だ。

 「デジタルマーケティングは非常に細かく、追いかけなければいけない指標も多いため、『一つひとつを深掘りする余裕はない』という担当者の気持ちもわかります。ただこれを定期的にやらないと、デジタルマーケティングは必ずどこかで枯れてしまいます。結果だけを見て拡大するのではなく、その行動につながった心理状態は何か、あるクリエイティブが支持されたとしたら、その理由を掘り下げることが、デジタルマーケティングで継続的に結果を出すことにつながります」(西口氏)

2. 顧客の多様性を見失っている

 本来顧客は一人ひとり、異なる価値観やニーズを持っている。だが、多くの企業ではその多様性を見極めず、一律の施策で顧客数や売上を上げようとしてしまう。西口氏はこれを「マス思考」の問題と言い表す。テレビや新聞といったマス媒体を使うときだけに起こるわけではなく、デジタル中心のマーケティングを行う企業も、マス思考に陥ることがある。

 たとえば、ECやD2C業界でよく使用される「顧客人数×単価×頻度=売上」という公式も、使い方に注意する必要がある。この公式で顧客管理をすると、ほとんどのビジネスでパレートの法則が成立し、売上の8割を支えてくれる2割の顧客をロイヤル顧客と定義することになる。ここで多くの企業は“ロイヤル顧客内の多様性”を無視し、一律の提案をして関係強化を図ろうとする。しかし当然ながらロイヤル顧客内にも多様性があり、単価×頻度の購買傾向が異なっていたり、商品やサービスを支持する理由が異なっていたりする。顧客理解の粒度が粗いまま結果指標だけを最適化している場合は、どの媒体を使っていようと、マス思考から脱却できていないのだ。「この状態が続くと、そのうち自社ビジネスの主要な便益の“何”が顧客にとっての価値なのかが定義できなくなっていきます」と西口氏は警鐘を鳴らす。

3. 顧客の変化を見失っている

 多くの経営陣やマーケターは、マーケットを静止画のように捉え、昨日有効だった打ち手にそのまま投資し続けている。たとえば10年前の顧客と今日の顧客が一緒だとは誰も思わないだろう。しかし昨日と今日、5分前と今といったより短期間においても、人の心理状態は変わりうるし、その結果としての行動も変わりうる。

 「たとえば今日セミナーを聞きに来てくださった皆さまには、セミナーが始まる前『こういう話が聞きたいな』と思い描いていたことがあったと思います。今ここまでお話を聞いていただいて、その興味は変わってきているのではないでしょうか? そして私の話が終わる頃には、興味の内容はさらに変わっているはずです」(西口氏)

 もちろん月次報告などのデータを見るときは、その瞬間を切り取って見ることになるが、「顧客は動いている」という認識を持つか否かが重要になる。本セミナーの後半では、この顧客動態を捉えるフレームワークについて解説する。

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/04/18 08:30 https://markezine.jp/article/detail/38539

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