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デジタルマーケティングにおける「Humanity=人間らしさ」の実現

米国バーガーキングの“攻めているのに好感を持てる”キャンペーン。裏側にある「人間らしさ」を紐解く

日常的に人間らしいコミュニケーションを展開

 せっかく通知やロケーションの共有をオンにしてくれた質の高いユーザーに対して、無駄なメッセージを乱発するわけにはいきません。バーガーキングは、その後もユーザーに人間らしいコミュニケーションを展開しています。

 これはほんの一例ですが、下図のようにユーザーの住んでいる地域の気温に合わせたコミュニケーションが行われています。ユーザーの位置を把握した上で、リアルタイムに天気情報を参照してパーソナライズされた提案的メッセージです。

出典:Braze制作資料
出典:Braze制作資料

最後に:待っていてもファンはやってこない

 バーガーキングの一つのキャンペーンの中に数多くの「人間らしい」要素が含まれていることを見ていただけたかと思います。このキャンペーンは印象が強い「攻め」の施策である一方、実に配慮の行き届いたそのシナリオに、好感が持てるのではないでしょうか。「待ち」ではなく「攻め」の施策の中にこそ、人間らしさがより効果を発揮します

 現在、日本国内においては自社のアプリやWebサイトについて、放っておいてもリピートして利用されるだろう、顧客が訪れた際だけ対応をすればよいという「接客」的な考えが染みついているように思われますが、その考えは改める必要があります。

 App Apeの調査によると日本人は2020年時、平均103.4個のスマホアプリを所持しているものの、そのうち実際に利用しているのは38.5個に留まっています。また、SparktoroとSimilarWebが2021年に発表した調査によると、検索エンジン結果画面で求める情報が得られてしまい、Webサイトを訪れない割合は65%に及びます。つまり、待っていれば勝手にユーザーが自社のアプリを開いたり、Webサイトを訪れてくれるであろうというのは幻想です。

 このような時代において、企業は自社のサービスを積極的に知らせる「攻め」の姿勢が必要となります。しかし、攻めには多くの配慮が必要です。古くからある「定型文のメールを五月雨にぶつける」行為はむしろユーザーを遠ざけてしまいます。相手を理解して、適切なチャネルで、人間らしい「提案」を行いましょう。それは一時的な「施策」であってはなりません、継続的にユーザーのメリットを追求する企業としての姿勢を持ち併せることが重要になります。このようなマインドセット、文化を根付かせることこそが、継続的な成長を生み出します。なお、この考えは近代マーケティングの父と呼ばれるフィリップ・コトラー氏が、長年訴えてきたものと共通します。

 今回は実際に行われている施策にて「ヒューマニティー=人間らしさ」の実現例をまとめてみました。実例を見ることで、人間らしいコミュニケーションとはどのようなことを意味するか、より具体的なイメージを持っていただけたかと思います。次回は、人間らしいコミュニケーションを実現できている企業が、そうしたマインドセットや文化をどのように実装してきたのか、生々しい裏側をお伝えできればと思います。

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この記事の著者

森田 恭平(モリタ キョウヘイ)

Braze株式会社 ソリューションコンサルタント。アドビにて数々のマーケティングのソリューション部門の立ち上げとマネジメントを経験。グローバル最大の売上記録を残すなど成果を収める。国内におけるパーソナライゼーションの黎明期からの第一人者として、多くのエンタープライズへ導入を主導。2021年、ソリューションコンサルタントとし...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/05/10 09:00 https://markezine.jp/article/detail/38699

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