世界でも注目の「リテールメディア」領域も進行中
イオンリテールは、さらに一歩踏込んだデータ活用方法として、メーカーとの共同広告・販促モデル『Aeon AD(イオンアド)』を構築。リアル店舗の広告メディアとしての側面が注目され始めている中、新しい収益モデルとして、すでに走り始めている。
Aeon ADは、アプリユーザーの買い物動向、性別、年齢などのデータをもとにターゲティングし、メーカーが届けたい広告をアプリ内で配信できる広告商品。メーカーにおいては、CV(購入)に近い接点で広告を打てるメリットがあり、イオンリテールにおいても店舗への集客や販売促進効果のメリットがある。
画期的なのは、広告に接触したユーザーが商品を実際に購入したか否かを、オンライン上だけでなく、リアル店舗でも計測できる点だ。「これまでリアル店舗での販促は、商品認知や興味関心などの項目でしか広告効果を計測できませんでした。その点、Aeon ADであれば、認知から購買、さらには継続購入までをデータで可視化することができます」と西垣氏。

さらに、Google社とのデータ連携により、YouTube広告においてもこのターゲティングの仕組みを用いることが可能となっており、メーカー企業も高い関心を寄せているという。
こういった新しい販促手法および収益モデルは「リテールメディア」と呼ばれ、Amazonやウォルマートなど、グローバルの小売企業が取り組みを進めている領域だ。購買につながりやすい場所・タイミングでアプローチできるため、高い広告効果が期待できる。今後は、投資対効果の高い広告施策として、日本のメーカー企業でも注目度が高まっていくだろう。
DXで実現するより良いお買い物体験。今後の進化に注目
最後に西垣氏は今後の展望として、データの活用により一人ひとりの顧客に対して、ピンポイントに最適な情報を届けることが可能になるだろうと語った。
「これまでのお買い物アプリは、画一的な情報を伝える機能がメインとなっていました。ですが、現在はデータをもとにお客様一人ずつにカスタマイズされた情報をお届けしています。たとえば、お客様の位置情報を把握するビーコン機能により、お客様の入店時にアプリへクーポンやお買い得情報を配信。そのクーポンや情報の内容・表示順位、アプリのトップ画面なども、お客様の利用動向や時間帯によって最適化しています」(西垣氏)
店舗で便利に買い物ができるのはもちろん、どこにいてもスマートフォンから商品を購入可能。オンラインで購入したものは、自宅への配送、専用ロッカー、店頭カウンターなど、受け取り方法も選択できる。店舗とオンラインをシームレスにつなぎ、場所やタイミングを問わず、より便利でより快適に。イオンリテールが提供する買い物体験は、まだまだ進化していく。
「イオンリテールのDXはまだ始まったばかりです。これからもデータを活用したさまざまな試みで、お客様により良いお買い物体験や価値を提供していきます」と、西垣氏は意気込みを語り、講演を結んだ。