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広告が世の中に与える影響に責任を。「LGBTQ+」「ジェンダー」にマーケターはどう向き合うか?

広告の受け手は、表現の変化を受け入れるのか?

MZ:前半のほうで、LGBTQ+に対して多くの人がサポーティブであるという調査結果を共有していただきましたが、広告の受け手となるとどうでしょう? 広告においても、同様にポジティブに受け入れられるのでしょうか?

中川:今年2月に電通総研で『ジェンダーに関する意識調査』を実施したのですが、ここで、発信者側が思っている以上に、消費者や視聴者はジェンダーにとらわれない広告表現を望んでいるのではないか、と思われるデータが出てきました。

 というのも、「性別による役割にとらわれない登場人物が出てくる広告が増えるのは良いことだ」という設問に、「そう思う」と回答した人が全体の78.2%、女性だけで見ると84.5%にも上ったのです。また、「テレビ番組や雑誌広告のメディアに多様な体型が登場するのは良いことだ」という設問についても、全体で80.5%、女性で86.4%の方が「そう思う」と回答しました。この結果から、広告においても多様性が肯定的に受け入れられる素地は十分にあるのではと思っています。

合田:自分の可能性を広げてくれるような発信のほうが、見聞きした時に嬉しいと感じる人は多いかもしれませんね。「女性の肌はツルツルであるべき、男性に愛されるために脱毛をすべき」と押し付けたり煽ったりする広告ではなく、「毛に関しては、いろんな選択肢があるんだよ。したかったらしてもいい。いろんな選択肢から、自分のために自分で選べるんだよ」と選択肢が開かれているような世界観のほうが、私もひとりの女性として嬉しいな、と思います。

今、マーケターに必要なマインドチェンジ

MZ:広告やマーケティングに携わっているマーケター一人ひとりの意識でより良いメディア、社会が作られていくのですね。最後に、マーケターのみなさんへ一言メッセージをいただけますか?

合田:先ほどの中川さんのお話にあったように、8割の方が新しい広告表現も好感を持って受け入れるのであれば、マーケターには自分のマインドやスキルの方向性を変えていくことが求められているのではないか、と思います。社会が変わっていることをひしひしと感じますが、より良い広告を作るために、自分自身をアップデートしていくことを忘れないようにしていきたいですね。

 そして、これを実現するためには、組織の変革も必要です。実は、企業のコンサルティングをする中でよく受けるのは、「上司に理解してもらうにはどうすればいいでしょうか?」というご相談です。視野を広げて、今の時代に合った形で様々な選択肢を提案していくには、それができる組織をまず作ることだと思います。

木下:広告炎上などに関する“リスク”の話がありましたが、マーケティングの領域には“チャンス”もあると思っています。新しい時代の価値観を率先して取り入れていくことで、意外な需要を発見できたり、商品やサービスをより良いものに改善できたり、新たな事業やサービスを開発できたり。ビジネスを拡大できるヒントがたくさんあるはずなのです。そうしたビジネスチャンスを見落とさないように、一人ひとりが前向きに考えていくと良いのかなと思います。

中川:企業のダイバーシティ&インクルージョンに対する取り組みは、木下が話したように商品開発やサービス開発からもアプローチすることができます。ただ、広告表現を変える以上に難しく、企業においては負荷が高いかもしれません。

 そこで、電通ダイバーシティ・ラボでは、新たなマーケティング概念として「インクルーシブ・マーケティング」を提唱しています。これは、これまでのマーケティングにおける過度なターゲティングを見直して、顧客はもちろん、マーケティングプロセスにおいても多様性を価値として積極的に取り込んでいくことで、ビジネスチャンスを広げ、持続的な成長モデルを再構築していくという考え方です。

 開発のプロセスに多様な当事者の方を巻き込んで、アイデアを出し合い、クリエイティビティを発揮していくことは、これから多くの企業で重要になってくると思いますし、そうすることでより社会にインパクトを与えられるビジネスができると考えています。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/04/22 08:00 https://markezine.jp/article/detail/38737

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