3人のインタビュイーを紹介
MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに、みなさん自己紹介からお願いします。
合田:TIEWA(タイワ)代表取締役の合田と申します。私はTIEWAの設立者として、「ジェンダー平等の実現」などの社会課題をテーマとした事業を行っています。たとえば、LGBTQ+やフェミニズムに関する疑問・モヤモヤを漫画でわかりやすく解説するSNSメディア「PALETTAL(パレットーク)」の運営や、共通点で繋がれる男性同士のマッチングアプリ「AMBIRD(アンバード)」を提供中です。また、広告制作からワークショップまで、クリエイティブの力で社会課題と企業課題の交差点になるようなコンサルティングも行っています。
中川:私は、電通総研でプロデューサーを務めています。電通総研では、俯瞰的かつ長期的な視点で消費者の意識や社会の変化を捉えるための調査や、社会をより良くしていくためのヒントを探るような研究を行っています。多様な調査研究領域がある中で、私はジェンダーやサステナビリティの分野を主に担当しています。
また、2011年に発足した「電通ダイバーシティ・ラボ」にも所属しています。電通ダイバーシティ・ラボは、ダイバーシティ&インクルージョンにまつわる社会課題の調査研究およびソリューションの開発を行う、組織横断のタスクフォースです。現在、電通各グループの社員と社外メンバーを合わせて、100人ほどのメンバーが所属しています。
木下:私は、電通でコピーライター兼PRプランナーとして活動しています。電通ダイバーシティ・ラボに所属しつつ、LGBTQ+とジェンダー領域を専門とするクリエイティブ・ユニット「Project Gender」を立ち上げ、広告業界への啓発活動や企業のコミュニケーション企画などを行っています。
「LGBTQ+調査」で見る、社会の現状
MZ:まずはLGBTQ+に関する社会の状況から見ていきたいと思います。電通ダイバーシティ・ラボが実施している「LGBTQ+調査」の内容を共有いただけますか?
中川:はい。「LGBTQ+調査」は2012年に初めて行い、以降、平均して3年に1度のペースでこれまでに計4回実施しています。今回は、直近の「LGBTQ+調査2020」の結果をご紹介したいと思います。
先に調査概要ですが、20~59歳の国内在住者6万人を対象にスクリーニング調査を行い、その後、6,240人に対して本調査を行いました。その後、LGBTQ+層割合、人口構成比に合わせて、都道府県、性別、年代(20~30代/40~50代区切り)でウェイトバックをかけています。
まず、LGBTQ+層(※定義は後述)の回答者全体に占める割合は8.9%でした。ですので、おおよそ11人に1人の方がLGBTQ+当事者であるということになります。
MZ:LGBTQ+という言葉・存在に対する、社会の認知はどのような状況でしょうか?
中川:「LGBTとは、セクシュアル・マイノリティの総称のひとつということを知っていますか?」という質問に対し、「知っている」「なんとなく知っている」と回答した方は、80.1%でした。この数字は調査の回を追うごとに大きく上がっており、2015年の調査では37.6%、2018年の調査では68.5%で、2020年は2018年時と比べて11.6ポイントもアップしています。もはや社会の常識と言えるくらいになっているのではないでしょうか。
ただ、LGBT以外のセクシュアリティ、いわゆる「Q+」はまだまだ認知度が低く、ここは課題であると捉えています。
(※)本記事では便宜上、セクシュアリティを「生まれた時に登録された性(出生性)」、「本人が認識する性(性自認)」、「好きになる相手の性(性的指向)」の3つの組み合わせで分類し、ストレート層(異性愛者であり、生まれた時に割り当てられた性と性自認が一致する人)と答えた人以外をLGBTQ+層と定義する。