コアファンの多くがスポーツ動画のサブスクを利用
平野:意外な発見があったとすれば、移動手段のデータでしょうか。千葉ロッテマリーンズさん側で「ペルソナの移動手段は電車がメイン」という想定をされていたのですが、実際にデータを見るとレンタカーやガソリン、ETCの利用が多かったんです。
平野:ほかにも「コアファンはスポーツ関連動画のサブスクリプションサービスに加入しているのでは」という仮説のもと分析を実行したところ、比較対象よりも1.77倍高い加入率が示されました。
千葉ロッテマリーンズ:コロナ禍で観戦の機会が減ったぶん、サブスクリプションサービスに加入する人は増えているだろうという肌感覚は持っていましたが、具体的な数字までは追いきれていませんでした。1.77倍という数値を見て「やはり」という手応えを感じたのは事実です。
MZ:「ペルソナの深掘り」という当初の目的を両社で見事に達成されていると思います。お取り組みがうまく運んだ要因はどこにあるとお考えですか?
平野:分析を進める中で、ペルソナとは別に「来場圏居住者」というお客様像を両社で作ったんです。具体的には千葉県の約20地区をピックアップし、そこにお住まいの方を来場圏居住者と定義しました。この来場圏居住者がペルソナの比較軸となり、分析の高度化に寄与したと考えています。
あとは、千葉ロッテマリーンズさんが既に明確なペルソナを設定されていたことも成功要因だと考えています。具体的なペルソナがあったからこそ、その条件にあてはまるデータを抽出し、球団外の消費行動を精緻に捉えることができました。
スタジアムへ戻ってきてもらうための施策強化へ
MZ:最後にお2人の展望をお聞かせください。
千葉ロッテマリーンズ:コロナ禍で長らく制限下の球団運営を余儀なくされていたので、まずはスタジアムへ戻ってきていただくことを目的に、設定した3つのペルソナごとのアプローチを強化していきたいです。あわせて、非来場層に対するアプローチにも着手したいと考えています。
千葉ロッテマリーンズ:今後は時世が変わるにつれ、お客様の消費行動も変化する可能性があります。今回のお取り組みで提案いただいた切り口や得られた知見を継続して追っていくのはもちろん、これまで着目していなかったポイントについても引き続き一緒に探っていけると嬉しいです。
平野:緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除された直後のデータなども貯まっているので、消費者の行動変容をなるべくリアルタイムに把握していただけるよう、引き続きご提案していきたいです。