2022年3月にはサブスクのデジタル解禁も
MZ:デジタルサービスといえば、直近では「月額定額サービス」の本格リリースもありました。
西原:はい。元々、月額定額サービス自体は2020年7月からスタートしていたのですが、当初はまだトライアルで限られた店舗と商品で提供する形となっていました。正式にサービスをローンチしたのは2021年1月ですが、このときはまだ限定店舗でのご案内のみとさせていただいておりました。

ですが、やはり「特定の店舗に出向いて手続きをする時間がなかなか取れない」「サービス自体は知っているが、利用するまでに至らない」という声もあったので、2022年3月にオンラインでのサービス申し込みを開始した次第です。
MZ:そもそも、なぜサブスクの形態でサービスを開始されたのでしょうか?
西原:無印良品では、サブスクとは言わず「月額定額サービス」というサービス名にしていて、この名称にも実はこだわりがあります。商品を買って、何年も愛用いただけるのが理想ではあるのですが、お客さまの仕事や生活のご都合もあり、まだまだ使える状態なのに家具を手離さないといけなくなるケースも多々あります。この問題は以前から認識しており、環境配慮の意味でも、良品計画として何かしら新しい選択肢を提供できないかと考えたのが最初の起点となっています。
本当に必要な期間だけ、必要なものを使うことができる、どちらかというとレンタルに近いような形のサービスとしてご提供していますが、お客さまにとっては一般的なサブスクと変わりないと思います。また、「使ってみて良かったのでこのまま購入して長く使いたい」というお客さまもいらっしゃるので、一定期間のレンタル後に商品を購入できるなど選択肢もいくつかご用意しています。
MZ:オンライン上でサービスインしてからまだ3ヵ月ですが、反響はいかがですか?
西原:商品のラインナップを広げたこともあり、ニーズの幅が広がっていますね。実際に、オンライン上からのお申込みの件数も非常に増えています。
商品・サービスを磨き、より良い無印良品の体験を
MZ:みなさん、それぞれの担当領域で今後取り組んでいきたいことなど目標がおありだと思います。最後に今後の展望をお聞かせください。
山内:まずは大きな方針として、現在提供しているサービスもどんどん改善・成長させていきたいです。ECサービスはより使いやすい形に、MUJI passportは店舗とお客さま、地域を繋ぐツールとしてより深いコミュニケーションができるよう進化させていきたいと考えています。
また、月額定額サービスなど、ECという枠を超えた新しいサービスも引き続き企画・開発していきたいですね。月額定額サービスは、資源を無駄にしないという点で環境問題にも寄与しており、従来のECサービスを超えていくものだと思っています。これ以外にも無印良品として地域や環境に貢献できることは、まだまだあると考えているので、良品計画の企業理念のもとこれらをさらに追及していきます。

西原:私が担当している月額定額サービスに関しては、レンタルの後に戻ってきた商品をどのようにして二次流通にのせるかが課題であると思っています。また次の方に使っていただいたり、商品を違う形に変えてご提供したり、循環するサービスに落とし込めたら良いですね。お客さまも環境も当社も、みんなが幸せになれるようなアプローチを考えていきたいです。
篠原:私は、デジタルは時間と距離を超えるために必要なテクノロジーだと思っています。ただ、人の温かみや情緒、ワクワクする気持ちに応えられるのは、人間にしかできないことです。私が担当するOMO構想の役割は、店舗とデジタルをシームレスにし、どこのタッチポイントでも同じ無印良品の体験をできるようにする、1つのストーリーとして紡いでいくことにあります。
これを達成するには、店舗サポートのチームやIT、流通、宣伝販促など様々な部署と連携していかなければいけません。我々EC・デジタルサービス部には、さまざまな部署からの声にしっかりと耳を傾け、みんなのアイデアを集結する役割もあると思っているので、社内のコミュニケーション部隊として部門間を超えた連携を実現していきたいです。