若年層を中心とするユーザー属性 全国的に増加するメイク男子
続いて、メンズメイクという新たな生活習慣を実施する「メイク男子」の実態を探っていきます。ブランドデータバンク第34期調査(2022年1月実施)の回答者より、男性のメイクアップ化粧品利用者を「メイク男子」(n=499)と定義し、15歳〜69歳の「男性全体」(n=15,620)と比較することで、メイク男子の価値観や好みといった特性を明らかにしていきます。
まずはメイク男子の基本属性を見ていきましょう(図表3)。

年代では、10代と20代で5割以上を占め、前述の市場規模と同様、若年層がメンズメイクのメインユーザーであることが確認できます。また、職業は若年層が多いことから、学生の割合が約2割を占めています。
居住地域は、関東・近畿のボリュームが大きいものの、構成傾向は男性全体と類似しており、地域差に関係なく、全国的にメンズメイクが進んでいることが考えられます。
家計については、若年層が多いこともあり個人年収は男性全体よりも低いですが、支出可能額や貯蓄額など月に利用可能な金額は男性全体と比較して高くなっています。
情報アンテナは多種多様 雑誌の情報もキャッチアップ
次にメイク男子がどのようなメディアからの影響を受けているのか、メイク男子の情報収集方法を探っていきます(図表4)。

メディア価値観では、インターネット上の媒体への感度が非常に高く、男性全体と比較すると「SNS」「バナー広告」のポイント差が顕著なことから、ウェブサイトやSNSへの感度が高いことがわかります。また、普段利用しているSNSはInstagram、TikTokが特徴的であり、写真や動画を使用したコミュニケーション・情報収集が活発であることが考えられます。
次に、利用しているサイト・アプリカテゴリーを確認すると、「ファッション・コスメ・美容情報」が男性全体と比較し際立っており、インターネット上のコンテンツを主として、美容に関する情報を取り入れていることがわかります。
これに加え、課金したことのあるサービスを確認すると、「電子書籍・電子コミック(月額制)」の利用割合が高く、さらに購読している新聞・雑誌カテゴリーを確認すると、「男性向けファッション誌」、「男性向けライフスタイル誌」の購読が特徴的です。この結果から、Kindle Unlimitedや楽天マガジンなど電子書籍のサブスクサービス上の雑誌からファッション・美容に関する情報を得ていると考えられます。
メイク男子は、電子書籍上の男性誌への感度が高いことが把握できたため、最後に購読しているファッション・ライフスタイル誌(男性誌)を見ていきましょう。データから「FINEBOYS」の購読割合が最も高く、「FINEBOYS」や「GOETHE」などの雑誌では、男性のメイクアップに関する記事や広告が度々掲載されています。これらの雑誌記事や広告から影響を受け、メイク男子となった人も一定数いると推察できます。