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エン・ジャパン事例で考える、これからのデータ規制との向き合い方


ランディングページの最適化が重要な理由

 4つ目に挙げられた「顧客データを取得するためのランディングページ最適化(LPO)」は、先に挙げたコンテンツ企画に比べると地味な改善に思えるかもしれない。しかし田中氏によれば、「顧客体験を高め、より多くのデータを顧客から提供してもらうには絶対ないがしろにしてはいけない」という。

「基本的なことですが、LPのコンバージョン率(CVR)が高いと、ビジネスの成功確率も高まります。でも、一般的にCVRは10%もいかない場合が多いですよね。ということは、9割の方は何かしら不満があって離脱している。たかだLP、されどLP。LPOは奥が深い。考えるべき範囲は非常に広いんです。LPを1つのWebサイトと捉え、顧客体験を高める工夫をこらしましょう。少しの工夫で、提供いただけるデータの量が変わってきます」(田中氏)

LPの変更前と変更後
LPの変更前と変更後

 5つ目は「顧客理解を深めるためのインハウスマーケティング」。エン・ジャパンでは、数年前、広告運用業務のインハウス比率は0%でマーケティング支援会社に依存していた。そのため、社員が顧客データに触れる機会が少なく、スキルを伸ばしにくい環境だった。そこで自社の新人マーケターを中心に広告運用のインハウス化を進めることで、マーケターとしてのスキルアップを図った。

インハウスだと自分の運用1つで成果が変わってくるので、顧客データと向き合う時間が自然と増えます。また、各プラットフォーマーが提供する運用Tipsも勉強するようになる。アドテクノロジーを深く理解していけば、必要な顧客データを取得できます。結果として社内マーケターのスキルが飛躍的に向上し、さらに新しい挑戦ができるようになりました。組織力だけでなく採用力も上がり、マーケターの人数は10名から40名に増えました」(田中氏)

 ただ田中氏は、「インハウス化しましょうと言いたいわけではない」と付け加え、「マーケティング支援会社に依頼する際も、対等にコミュニケーションできるように広告配信の仕組みを理解するべき」だと語った。

マーケターはプライバシーポリシーにも目を向けるべき

 6つ目に挙げられた「KARTE Signals」は、ファーストパーティデータを使ったターゲティングを実現するツールだ。これまでサードパーティCookieを利用して実施していたターゲティングを、自社のWebサイト上の行動データやCRMデータを活用することでさらに高い精度で実現できる。また、広告バナーで出す情報と、サイトで出す情報をシームレスに連携し一貫した顧客体験を提供することも可能だ。対応エリアが広く、今後さらに活用していく予定だという。

 最後に挙げたのは、「プライバシーガバナンス体制の構築」だ。田中氏は「自社のプライバシーポリシーの理解、改正個人情報保護法の理解もマーケターのスキルセットにも加えるべきだ」と力説する。

「ユーザーから同意を得るための仕組みを実装する際、顧客に提示するプライバシーポリシーは非常に重要で、マーケターが責任を追うべき部分です。最終確認は法務に任せて問題ありませんが、作成段階では必ずマーケター自身が法務と連携し、読み合わせして理解しながら作成するべきです。前提として、改正個人情報保護法を理解しておく必要もあります。私は、ここもマーケターとしての重要な仕事と解釈しています」(田中氏)

 エン・ジャパンは多岐にわたる施策を実施してきた。これらの施策すべてに通じているのは「顧客理解を深めた上で、顧客体験をより良くする」という点だ。最後に田中氏は顧客理解の重要性を語り、セッションを締めくくった。

「まずは顧客が何を欲しているのかを理解しましょう。それこそが、顧客体験を進化させる鍵になるのです」(田中氏)

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この記事の著者

水落 絵理香(ミズオチ エリカ)

フリーライター。CMSの新規営業、マーケティング系メディアのライター・編集を経て独立。関心領域はWebマーケティング、サイバーセキュリティ、AI・VR・ARなどの最新テクノロジー。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/06/17 18:39 https://markezine.jp/article/detail/39115

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