一歩進んだ取り組みに向けて、技術投資を強化
MZ:最後に今後の展望を教えて下さい。
田中:データ活用の自由度・透明性を担保できる環境を作っていくことから、さらに進んだ取り組みも進めています。具体的には、Metaが利用しているデータについては、「プライバシーに関して懸念のある利用方法を技術的に不可能とする」という状況を整えようとしています。これがPrivacy-Enhancing Technologies(PETs:ペッツ)と呼ばれるソリューション群で、プライバシーとデータ活用は対立するのではなく両立できるものだ、という世界を作っていくための投資を強化しています(プレスリリース【英語版】)。
一例として「Secure Multi-Party Computation(セキュアマルチパーティーコンピュテーション)」と呼ばれる技術があります。この技術では、広告主と媒体メディアが協力しながら必要な計算を行うのですが、データは転送中、保管中、使用中と常に暗号化され、どちらの当事者も相手のデータを見ることができないように保護されます。
現在使われている手法では、たとえば特定の広告を見て購入した人を知るために、購入した人の情報を広告メディアに送付、連携して計測が行われます。一方でこの新たな技術では、暗号化を駆使した特殊な計算手法を用いることで、一人の当事者に両方のデータを預けることなく、両者が広告のパフォーマンスに関する情報を知ることができるようになります。他にもいくつかの手法がありますが、一部の技術については既に弊社でテストも進んでおり、遠くない将来、皆様にご利用いただける見通しです。
三谷:今後もMetaさんを含むプラットフォーム事業者からさまざまなシステム基盤が提供されていくと思います。これに対し当社は、それらをどのように活用すれば生活者の利便性が向上し、結果としてクライアント企業の事業成長につながるかという観点で検討し活用していく立場です。今後も生活者とクライアント企業にとっての価値を最大化するための支援を続けていきたいです。
田中:これまでプライバシーをめぐる対応については、生活者にとってメリットがあるとしても、広告主にとってはパフォーマンスに懸念が生じる、という見られ方をするケースが少なくありませんでした。広告メディアの業界において最先端を走るプレイヤーとして、本当の意味でプライバシー保護とパフォーマンスを両立させることができるよう、引き続き、電通さんのような深い知見をもつパートナーと協業しながら取り組みを進めていきます。