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ハイブリッド型キャンペーンで購入を促進!ソニーマーケティングとユニークビジョンのLINE販促

 テレビやカメラ、オーディオなどをはじめとしたソニー商品の国内セールス&マーケティングを担う、ソニーマーケティング。同社では商品のセールス&マーケティングに加え、ソニーファンの創造を推進すべく、LINEを活用した抽選型のキャンペーンを行っている。今回はそのキャンペーン事例について、ソニーマーケティングの工藤氏、キャンペーンの支援に携わったユニークビジョンの能澤氏に、LINEを選んだ背景やキャンペーンの詳細、その成果まで話を聞いた。

ソニーファンを増やす

──最初に、ソニーマーケティングのデジタルマーケティングの現状について教えてください。

ソニーマーケティング 工藤氏
ソニーマーケティング 工藤氏

工藤:ソニーマーケティングは、ソニーファン創造をテーマにセールス&マーケティングを展開しています。

 お客様がソニー製品を購入する前から購入した後、再度ソニー製品を購入いただくタイミングまで、お客様の体験を向上させるためにデジタルテクノロジーを取り入れて活動しています。

 たとえば、ソニー製品ご購入時の取り組みとしては、これからお話しするLINEを活用したキャンペーン、ソニー製品ご購入後の取り組みとしては、MA、CDPなどのマーケティングツールを活用して一人一人のお客様に合わせた活用サポートなどがそれにあたります。

 私はデジタル一眼カメラのCRMも担当していますが、ソニーのデジタル一眼カメラを購入したお客様には、購入感謝のメールをお送りするのはもちろん、その後もタイミングに合わせて、カメラのメンテナンス方法や被写体別の撮影方法に関する情報を、メールやLINEなどでお届けしています。

LINEのユニークユーザー数とプライベート性を評価

──では、今回LINEを活用したキャンペーン実施に至った背景について教えてください。

工藤:これまでもソニーマーケティングは多くのキャンペーンを実施してきました。好評いただいたキャンペーンも多くありましたが、もっと多くの方に参加いただけるキャンペーンを展開できないかと模索していました。

 多くの方に参加いただくために必要なのは、楽しそうであり、わかりやすく、参加の手間がかからないこと。また、販売店のスタッフの方がご案内しやすいことでした。

 検討を重ねた結果選んだのは、多くの方が利用しており、UIもシンプルなLINEの活用でした。そして、ユニークビジョンがLINE上でインスタントウィン(その場で当落がわかる抽選システム)ができる「Beluga キャンペーン for LINE」を提供しているのを知り、2020年からLINEを用いたキャンペーンを開始しました。

──ユニークビジョンの能澤さんに伺いますが、LINEをキャンペーンに活用するメリットを教えてください。

能澤:大きく2つあります。1つは、プラットフォームを利用するユニークユーザー数の多さです。LINEは9,200万人(2022年3月末時点)のユーザーが日本に存在し、電話番号1つにつき1つしかアカウントを発行できません。また連絡手段としても頻繁に活用されていることから、アクティブで信頼性の高いお客様にリーチできる特徴を持ちます。

 もう1つはプライベート性の高さです。他のプラットフォームで行うインスタントウィンの場合、自身が抽選に参加していることをシェアしないと参加できないことがほとんどです。この場合、キャンペーンをより多くの方に知ってもらえるメリットがある一方、「自分が抽選に参加していることを見られたくない」という方もいらっしゃいます。

ユニークビジョン 能澤氏
ユニークビジョン 能澤氏

能澤:LINEであれば、友だち追加などが条件になるため、他の人に知られずキャンペーンに参加できます。また、友だち追加などを条件にすればその後もお客様とコミュニケーションをとることができます。

オープン型×クローズド型のハイブリッドで成功を狙う

──では、今回実施したキャンペーンの概要について教えてください。

工藤:今回のキャンペーンは、以下の画像のように、オープン型とクローズド型のハイブリッドで展開しました。最初は、エントリーサイトでLINEの認証、友だち登録をしていただき、誰でも抽選に参加できるオープン型のキャンペーンを「Beluga キャンペーン for LINE」を活用して実施しました。

 当選した内容は、対象の商品を購入後に事前登録と応募の手続きをしていただいた方のみに付与するクローズド型のキャンペーンにしました。

実施したキャンペーンのイメージ
実施したキャンペーンのイメージ

──「Beluga キャンペーン for LINE」の活用で印象的だった点を教えてください。

能澤:印象的だったのは購入しなくても参加できるオープン型と、参加のために商品を購入するなどの条件を加えるクローズド型を掛け合わせている点でした。

 クローズド型だけだと、購入などが条件になるため参加のハードルが高くなってしまいますし、オープン型に偏ると売上につながりにくくなってしまいます。

 しかし、今回は最初に誰でも参加できるオープン型のキャンペーンを行い、LINEの友だちを拡大。その後、対象の商品を購入した方だけがキャッシュバッククーポンを獲得できるクローズド型のキャンペーンを行いました。このように参加者数を担保しながら、一定の売上にもつながる設計となっていました。

──今回のキャンペーンでは、どのようなことを意識していましたか。

能澤:お客様の目線に立って「導線に無理がないか?」を意識しながらキャンペーンを設計しました。

 具体的には、お客様の求めている情報が表示されているか。挙動はおかしくないか。データは取得できているかなどをチェックの上、お客様、そしてソニーマーケティングさんの求めるシステムを提供してきました。

工藤:キャンペーンを設計する際はお客様の体験を第一に考えていました。

 多くのお客様は、店頭でキャンペーンの存在を知りますので、どれだけわかりやすく時間をかけないで抽選に参加できるようにするかがポイントです。今回の取り組みでは、数ステップで抽選キャンペーンに参加可能な設計を心掛けました。

 また、今回のキャンペーンでは、LINEで当選したクーポンを利用するには、製品ご購入後、ソニーのWebサイトで登録いただく必要があり、プラットフォームをまたぐステップが存在していました。

 そのステップ上で不明点が出ることがないよう、能澤さんに協力いただきながら、お客様が登録しやすいスムーズな体験設計を行いました。

LINE友だち数増加、他施策と比較しても高い参加数

──今回の取り組みによってどのような成果が得られましたか?

工藤:今回の取り組みでは、大きく4つの成果が得られました。1つ目はお客様から多くの反応が得られた点。数字は申し上げられませんが、多くのお客様にご参加いただき、LINEの友だち数も大きく増加しました。他で行っているキャンペーンと比較しても、参加数は圧倒的に多いです。

 これは、抽選形式でゲーム性を取り入れたことや、参加のしやすさ、販売店スタッフのご案内しやすさが影響したと考えています。

 2つ目は、お客様とコミュニケーションを図るきっかけが作れた点。今回のキャンペーンではクーポンを配布していたのですが、そのクーポンの利用期限をLINEでお知らせしたり、購入し忘れがないように、キャンペーン終了間近の案内をしたりできました。

 また、ここで生まれたお客様とのつながりは今後のコミュニケーションにも活かせます。これらはLINEを活用したキャンペーンならではの成果だと思っています。

 3つ目は、クーポンの不正利用対策につながった点です。ソニーマーケティングが発行するIDとLINEのIDを紐付けることで、抽選者と応募者を照合することができ、クーポンの不正利用の防止にもつながりました。

 最後の4つ目は、コストの削減です。LINEとBeluga キャンペーン for LINEを利用したキャンペーンは、SMSを利用したキャンペーンよりも費用を抑えて実施できました。また、ユニークビジョンさんにキャンペーンサイトの制作を対応いただくなど、人的コストも抑えることができました。

ソニーマーケティングのキャンペーン成功の要因とは?

──今回の取り組みを通してどのような気づきが得られましたか。

工藤:プラットフォームの特性を活かしたキャンペーン設計の重要さを改めて感じました。目的、何を達成したいのかを基に、どのような手段を選ぶのが適切か、常に情報をアップデートしながら考えることが必要です。

 ただ、これは自社だけではなかなかやり切れません。 LINEに限った話ではありませんが、どのプラットフォームも日々アップデートを重ね、機能も増え続けています。

 ユニークビジョンさんのようなパートナーさんに協力いただきながら、プラットフォーム活用の最新情報をアップデートして、自社として適切な判断を行う。そして、プラットフォームのアップデートを取り入れたキャンペーンを実施する。

 1つの理想形だと思いますが、今回はこの流れが実現できた好例だと思います。

能澤:今回のキャンペーンでは、ソニーマーケティングさんの設計が素晴らしく、私たち自身も勉強になる点が多かったです。

 LINEのキャンペーンの場合、やり方を間違えるとキャンペーンの終了と同時にLINEアカウントをブロックされてしまう可能性があります。しかし、ソニーマーケティングさんはその後も継続的にお客様に合わせたコミュニケーションやキャンペーンを実施することで、友だちの皆さんに「また何か有用な配信があるかも?」と思わせることができています。そのためブロックも少なく、公式アカウントの友だち数が増加し続けているのだと思います。

数ある選択肢から、お客様のためになる取り組みを

──最後に今後の展望について教えてください。

工藤:マーケティング担当者として「おもしろい!」と感じたものには、積極的に取り組んでいきたいと思っています。マーケティングに関する情報は膨大に増え、自身が受け身でいるとどの施策を実施すべきか判断できず、仮に実施してもそこから何も得られません。そうならぬよう、私はお客様に何のメッセージを、どのように届けたいのかを突き詰めていきたいです。

 また、LINEを活用したキャンペーンは、中長期の目線を持つと、さらに発展的で魅力的な企画ができると考えていますので、引き続き深掘りしたいです。

──能澤さんはいかがでしょうか。

能澤:今回の取り組みが評価され、工藤さんが担当している領域外の方からも、問い合わせいただいている状況なので、新たな取り組みも全力投球で支援いたします。

 また、工藤さんから話のあった継続的なキャンペーンに関しても、以前キャンペーンに参加したことがある/ないでメッセージを出し分けるといったことが「Beluga キャンペーン for LINE」では可能なので、そのような機能を活用することでより継続性を持たせることができると思っていますので、今後も新しい機能やアイデアを提供したいです。

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この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/08/26 10:00 https://markezine.jp/article/detail/39532