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企業はメタバースで何ができるのか?今こそ考えたいメタバースの核心とビジネスの始め方【お薦めの書籍】


 2021年1月26日。Facebook CEOのマイク・ザッカーバーグ氏は、社名をMetaに変更することを大々的に発表しました。この瞬間からメタバースに対する関心が高まり様々な人がメタバースを口にするようになりました。メタバースの実現には5年から10年か、それ以上にかかると言われていますが、企業は今後、どのように準備し関わっていけばいいのでしょうか? 本記事では、メタバースについてまとめられた同書から、メタバースとは一体何なのか、メタバースを通じて企業ができることについて紹介します。

「メタバース」とは何なのか?

 今回紹介する書籍は、『メタバース未来戦略 現実と仮想世界が融け合うビジネスの羅針盤』(日経BP)。著者は、VR・ARの事業を手掛けるMoguraの代表取締役兼『Mogura VR』編集長で、XRジャーナリストである久保田瞬氏と、DBJキャピタルのシニア・インベストメント・マネージャーで日本政策投資銀行経営企画部デジタル戦略室の調査役である石村尚也氏です。

『メタバース未来戦略 現実と仮想世界が融け合うビジネスの羅針盤』<br /> 久保田瞬(著)、石村尚也(著)日経BP 1,700円+税
『メタバース未来戦略 現実と仮想世界が融け合うビジネスの羅針盤』
久保田瞬(著)、石村尚也(著)
日経BP 1,700円+税

 2021年1月26日。Facebook CEOのマイク・ザッカーバーグ氏は、社名をMetaに変更することを大々的に発表しました。この瞬間からメタバースに対する関心が高まり様々な人がメタバースを口にするようになりました。

 メタバースの実現には5年から10年か、それ以上にかかると言われていますが、そもそもメタバースとは一体何なのでしょうか? そして企業は今後、どのように準備し関わっていけばいいのでしょうか?

メタバースは普及しない? 3つの誤解

メタバースには厳密な定義はありませんが、現時点では「誰もが現実世界と同等のコミュニケーションや経済活動を行うことができるオンライン上のバーチャル空間」だと言います。大きく以下の3つの特徴があります。

1.いつでも・どこでも・誰でもアクセスできる、「オンライン上の空間」であること
2.今までのデジタル上での会話よりも、リアリティーのある「コミュニケーション」ができること
3.アバターや仮想の土地を使い、体験してから購入できる「経済活動」があること

 またメタバースには、よくある3つの誤解があると言います。

誤解1:セカンドライフの二の舞になる?

 よく引き合いに出されるのが、リンデンラボが2003年6月に開始したバーチャル「Second Life(セカンドライフ)」。当初はブームとなりましたが、主流のサービスとはなりませんでした。

 「その二の舞になるのでは?」と言われることもありますが、セカンドライフが注目されていた時と現在では、「技術の進歩」「投資やユーザー規模の大きさ」だけでなく、「メタバースの概念に慣れている」点が大きく異なると指摘。

 その一つが2020年3月任天堂から発売された、「あつまれどうぶつの森」です。同サービスではゲームの枠を超えた領域で人々に余計やで活用されています。他にもアートの展示、選挙活動での利用、地域振興策への活用などが実現されており、メタバースとかなり近い使われ方をしています。

 「コロナ禍で、人々がリアルに交流できなかったことを追い風とし、人々や企業の間にメタバースの概念や仮想空間の活動が根付いてきた」と本書では示されています。

誤解2:NFT、Web3=メタバース?

 NFTは、画像などのデータにIDを付与することで、購入者を自分であると証明することです。しかしNFTを取り入れようとする動きに対しては、現状では賛否両論ある状態と言えます。一方Web3は、ブロックチェーンを活用した次世代インターネットとされ、ネット利用者がデータを共有管理しながら運用する分散型のWebサービスを示す概念です。

 重要なのは「NFT、Web3=メタバース」ではないことです。メタバースの構成要素の中でNFTやWeb3関連の技術が重要な位置を占めることはある場合もありますが、”メタバースを利用する上で、出てきた課題に対し技術で解決できないかと考える姿勢こそが大切”だと筆者は述べています。

誤解3:VR技術は普及しない?

 メタバースは、VRヘッドセットでアクセスする必要はありません。とはいえ、VRはメタバースの世界にアクセスする手段として理想的な環境と言えます。なぜならメタバースが、空間性をともなう世界であることを考えると、体験可能とするVR技術が必要となってくるからです。

 米国では、技術革新・需要共に進んできており、VRデバイスの普及はさらに加速することが予想されていると本書では指摘されています。

 メタバースは今まさに黎明期を迎えています。まだまだゲーム以外の分野ではユーザー人口が少なくイノベーターやアダプターのみが接している状況です。この時期は今後数年続くと考えられています。

 現時点での関わり方として以下の5通りが存在します。

1.メタバースの基盤をつくる役割
2.モノづくりをサポートする役割
3.メタバースでモノづくりを行う役割
4.メタバースでサービスを提供する役割
5.メタバースに参加するユーザー

 こうした中、筆者はメタバース構築に求められる条件として3つの要素が必要不可欠だと示しています 。

1.ガワ(見た目)

 メタバース内でのアバターや3Dアイテムなど、没入感や所有欲などを感じさせるためにも、見た目が重要であることが非常に多いです。

2.マネタイズ

 メタバース内のマネタイズポイントをどこに設定するのか、あるいは決済システムをどのように設定するのかも重要なポイントとなってきます。

3.運営

 メタバースの構築においても定期的に空間をブラッシュアップする作業が必要であり、出して終わりとならないように注意することが重要です。そのためにはコミュニティーが生まれていく仕組みづくりが欠かせません。その中で重要な役割を担ってくるのがクリエイターです。クリエイターと連携し、メタバースユーザーと良好な関係を築きながら独自のコミュニティーを形成するきっかけづくりが大事になってきます。

 本書では、メタバースとビジネスという観点から、歴史や現状をひも解き、企業の事例をふまえてそれぞれの業界でどのようなビジネスチャンスがあるかが書かれています。これからの潮流を理解したい方や、黎明期であるメタバースをどのようにマーケティングに活用したいかを考えている方は、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。

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この記事の著者

齋藤 ゆう(編集部)(サイトウ ユウ)

大学卒業後、広告代理店に入社しマーケターに。その後、事業会社に転職。金融・美容分野のマーケティング・企画・運営・セールスに携わる。2020年、翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/09/08 02:12 https://markezine.jp/article/detail/39778

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