ひとつの選択肢として、Meta「CAPI」の特徴は?
MZ:ここで、Cookieレス時代の選択肢のひとつとして、Metaが提供する「コンバージョンAPI(以下、CAPI:キャピ)」をご紹介いただけますか?
近藤:「CAPI」は、Cookieレスの時代にデータ連携の透明性と正確性を高めるソリューションとして2年以上前から提供しているものです。CAPIはブラウザを経由せず、広告主のサーバーからMetaのサーバーへデータを直接やり取りする仕組みになっており、Cookie制限により広告効果の計測・改善に必要なデータ連携が阻害されてしまうという問題を解消することができます。
ポイントは、CAPIに送付するデータを広告主自らが設計・デザインすることができることで、自由度の高さがひとつの特長です。ただ、実装にあたってはエンジニアも設計・デザインに入る必要があり、エンジニアの工数がある分、導入から実装までに時間のかかるケースも往々にしてあります。
※CAPI導入事例など、これまでの参考記事一覧
MZ:簗島さんは、Cookieレスのソリューションは他社のものも含めてよくご存じだと思いますが、MetaのCAPIをどう見られていますか?
簗島:先ほど、技術面でのCookieレスの課題はターゲティングとトラッキングの2つがあるとお話ししましたが、CAPIはその両方、つまり広告効果の測定および最適化をカバーするソリューションだと認識しています。ですが、私がCAPIに関してそれ以上に感じているのは、Facebook Japanさんの気合いの入れ具合です。Cookieレスに関するソリューションは他のプラットフォームや会社からも出ていますが、Facebook JapanさんはCookieレス対応の温度感を高めるべく、かなり力を入れられている印象があります。
これはソリューション導入うんぬんの話というよりも、データマーケティングのパフォーマンスとその最適化をFacebook Japanさんが重視しているからこそなのだろうと思っています。
CAPIは実装が大変?「CAPIゲートウェイ」登場で、3ヵ月の開発期間が最短2時間に
MZ:先ほどの近藤さんから、CAPI導入のハードルの高さに関するお話がありました。ここの実情はどうでしょうか?
簗島:そうですね、導入から実装まで大変ではあると思います。理由は、実務面でもデータ活用の概念においても、今の常識と違うことをしなければいけないからです。振り返ってみると、これまでターゲティングでもトラッキングでも作業はどんどんシンプルになってきていました。リターゲティングも最初は複雑なタグの処理がありましたが、今はワンタグで済みますよね。そんな状況下で、開発部門も交えて設計・実装を行う必要のあるCAPIを導入しようとなると、途端に複雑で難しく感じてしまうかもしれません。
また、トラッキングするのにコストが発生すること自体に違和感を覚える方も多いようです。本当は当たり前の概念なのですが、リターゲティングタグやCVタグを使うのに費用が発生するなんてことは、これまでなかったですからね。
近藤:簗島さんのおっしゃる通りで、CAPIのソリューションについてご理解いただくには、その背景にあるデータ活用の概念や技術的な部分までご説明する必要があり、今日までMetaの広告営業チーム、そして広告代理店の皆さまの力も借りながら広告主に一生懸命お伝えしてきました。ただ、先にお話した通りCAPIの実装コストが高いことは我々も認識しており、これを解決するために「CAPIゲートウェイ」というソリューションも新たに提供しています。
CAPIゲートウェイは、Facebook広告の管理画面(イベントマネージャ)でCAPIを実装できる仕組みになっており、基本的にはセルフサービス型です。マーケティング担当者が自分で設定できるので、開発のリソースがない企業でもCAPIを実装できるのが最大の特徴となっています。実際に、これまでCAPIの実装には3ヵ月から半年ほどの期間を要していましたが、CAPIゲートウェイは最短2時間で連携を完了させることが可能です。ある程度パッケージ化されたソリューションになっているので、仕様が変わった時などにメンテナンスの手間がかからない点もメリットだと思います。