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MarkeZine Day 2025 Retail

MERY Z世代研究所 所長が説く「Z世代マーケティング論」

Z世代攻略のブランディング手法で重要な「論理的一貫性を、ちょっと崩す」とは?

対Z世代で「ブランドっぽすぎる」はNG

 3案とも正しいし、おもしろいけれど、ターゲットがキュンとしているイメージがわかない。別の言い方をすると、「ブランドっぽすぎる」という指摘もありました。

 Z世代は、いかにも企業が計算して作り込んだような「ブランドっぽさ」への警戒心が強い世代です。基本に則ったブランドっぽい作り方は、身近で自分らしいものを探す彼らにとって、忌避される可能性を持っています。

 最終的には、ブランドコンセプトとは別に、トーン&マナーを定めるものとして「CUTE&MODERN」を立てて、ビジュアル開発を行いました。ロジカルに計算して作るのではなく、ただ「好き」と思ってもらうことを一番に、かわいいけど大人っぽくもありたいと思うZ世代が好むニュアンス系の空気感のビジュアルにしたのです。

haomiiのブランドビジュアル開発。ブランドの機能的価値はしっかり定めながら、ビジュアル開発はそれに囚われない、異なる枠組みで考えた
haomiiのブランドビジュアル開発。ブランドの機能的価値はしっかり定めながら、ビジュアル開発はそれに囚われない、異なる枠組みで考えた

 実は、「ニュアンス系」という点も重要なポイントで、ここでも論理的なブランディングの基本を少し崩す必要があります。一般的に、カラーブランディングでは、赤はA社、競合B社は青、また別の競合は緑というように、はっきりとした色のポジション取りが行われます。おもしろいもので、たいがいどのカテゴリでも、赤・青・緑のブランドがあるものです。

 ところが、Z世代は「何色とは表現できないような中間色」かつ「薄めでくすみ気味の色合い」を好みます。わかりやすい何かに属すのではなく、何物でもない、あいまいな自分らしさを表現したいというインサイトの表れなのかもしれません。「淡色ブーム」という言葉もあります。どこかで見たことがある、ブランドっぽい色ではなく、「見たことのない色」を空気感で感じさせることが、Z世代をターゲットにするサインのカラーブランディングでは重要です。

“好き”と“語りたい”があるブランド作りを

 「ブランドっぽさ」を感じさせず、素直に「好き」「憧れる」といった感情を起こすトーン&マナーでありながら、同時にブランドとしてはパーパスと機能性がしっかりある。自分を納得させられ、人に語れるストーリーもきちんとある。Z世代をターゲットにする時は、このようなブランド作りが必要です。

 インフルエンシューマーが重要だと前回書きましたが、まさに「好きであり、語ることもある」そんなZ世代のインサイトをついたブランド設計こそが、Z世代を攻略するカギと言えます

 論理的一貫性というブランディングの基礎をベースにしながら、パーソナリティの領域で絶妙に一貫性を崩し、ターゲットの好みや憧れをすくい上げることが大切なのです。なんとも微妙なコントロールですが、ぜひチャレンジしてみてほしいと思います。

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この記事の著者

斉田 裕之(サイダ ヒロユキ)

株式会社MERY 執行役員 CBO(チーフブランドオフィサー)/クリエイティブディレクター 斉田裕之

2007年に博報堂入社。2021年4月から現職。MERYの事業イノベーションとリブランディングを行いながら、同時に様々な企業のマーケティング/クリエイティブにも携わっている。新聞広告賞大賞、JAAA広告...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/09/14 08:00 https://markezine.jp/article/detail/39913

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