カルチャー:「熱量の可視化」が価値となる時代
今までのブランドと消費者のエンゲージメントとして、購入金額や利用頻度といった金銭面での尺度ではなく、手間や労力を惜しみなくかけられる「熱量」という尺度で、消費者の努力を可視化する時代の動きが見て取れました。
Apex Legendsの経験と戦略で手に入れる「強さの証し=バッジ」、17LIVEの毎日のコミュニケーションがもたらす「応援の証し=プロフィールマークの変化」、ONE PIECEのファンの序列から見える「作品愛の証し=成績表」など、自分の熱量が可視化されているからこそ、人々は「もっともっと」頑張りたいと思えるようになります。
「好きな物を証明したい」という思いをうまく可視化し、証明する手段を提供することが、競争心を刺激し、より深いブランドエンゲージメントにつながるのではないでしょうか。

熱量の可視化こそが真のロイヤル化を生み出す
ではなぜ、消費者にとって所有ではなく熱量を大切にするようになったのでしょうか? それは自分の好きな物に対する熱量がアイデンティティーとして認識されている部分にあります。誰でもお金さえ払えば瞬時に手に入れられる「所有」より、好きな物にかけた手間や努力などの「熱量」で自己表現をしています。
背景として、SNSなどオンラインによる人とのつながりが主流となったこの時代では、ネット上で不特定多数の人とつながり、プロフィール欄を自分で編集することでアイデンティティーを操作できるようになりました。そんな中、自分の好きな物と好きな物にかけた熱量を証明し共有したいと思うようになったのではないかと思います。
数多くあるネット上のコミュニティーの中で、同じ仲間たちに自分の愛とそれに注いだ努力を理解してもらいたいとユーザーは考えています。それを可視化するシステムを作ることで熱量はさらに高まるのです。
顧客のロイヤリティは購入金額や利用頻度だけでは判断できない時代になっていきます。自社の企業やブランドに対する熱量は、どのように測ることができるでしょうか? 考えてみると新たな顧客体験創出のヒントが見つかるかもしれません。