家計簿データから、生活者の意識と行動を読み解く
株式会社Zaimが運営する「Zaim」は、2011年にリリースしたオンライン家計簿サービスであり、現在は1,000万ダウンロードを突破している。
ユーザーは日々の支出入記録を直接アプリに手入力するほか、レシートの画像を撮影したり、クレジットカードやオンラインショッピングの利用明細を自動連携したりすることで家計簿として管理。日々の支出入を振り返ることができる。
Zaimユーザーの世代は20~40代、居住地は首都圏エリアがボリュームゾーンであるが、全国の若年層から高齢層まで幅広い世代、世帯に利用されている。この家計簿データを個人が特定できないように加工し、生活者の意識と行動を見える化した購買ビッグデータソリューションが、「Zaim トレンド」である。
Zaim トレンドのデータには、食費や日用雑貨、美容衣服といった日常の買い物から、住まいや水光熱費といった生活インフラ、エンタメや教養教育といったサービスまで生活者の支出の記録が含まれる。このZaim トレンドを様々な切り口で分析し、業界別に連載形式で解説していく。
利用シーンが明暗を分けた、コロナ禍の外食市場
ここからは、Zaim トレンドの家計簿データをもとに外食市場のトレンドを読み解いていく。
家計簿に記録された外食チェーン店での支出額を2019年から2022年まで月別で集計比較すると、新型コロナウイルスの感染拡大が疑われ始めた2020年3月に減少傾向に転換した。そして第1回緊急事態宣言が発出された2020年4月には、前年同月と比べて約43%の水準となっていた。その後も低調に推移し、第6波の影響で2022年の第一四半期は低迷していたが、4月以降は徐々に回復していることが伺える。
続いて外食チェーンをジャンル別に集計し、支出額の推移を確認する。デリバリーサービスとの親和性が高いパスタ・ピザ・ファストフードや家中での喫食がメインに想定されるスイーツジャンルは、コロナ前(2020年3月以前)と変わらない水準で利用されていることがわかった。
コロナ初期に打撃を受けたものの直近徐々に回復の兆しを見せているのは、寿司、焼き肉、カフェ、丼・定食チェーンなどだ。換気性が高い焼き肉店や、一人利用のできるカフェや丼・定食チェーンはコロナ禍でも利用しやすい点が影響していると考えられる。
一方、大人数での会食や出社などが制限されていたコロナ禍の影響が緩和されつつある2022年においても、居酒屋やバーといった飲み会の場、複数人で食を囲む鍋ジャンルのチェーンは依然回復の兆しが見られない。このように、コロナ禍の外食市場への影響は利用シーンが明暗を分ける結果となった。