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特集:すごいBtoB企業がやっていること

すごいBtoB企業はここに力を入れている!メルマガ担当者が知っておくべき基本事項

 メールマーケティングは形式化された知見やノウハウが少なく、1人の担当者が我流で試行錯誤しながら取り組んでいる、というような企業が多い。そんな中、「まずは80点のメルマガを目指しましょう」と話すのは、メールマーケティング・エバンジェリストの安藤健作氏だ。我流から抜け出し、メルマガで80点を取るには? 100点以上のメルマガを出しているすごいBtoB企業は、どこに力を入れているのか? BtoBのメールマーケティングにおける基本的な考え方にあわせ、具体的なポイントも教えてもらった。

※本記事は、2022年9月25日刊行の定期誌『MarkeZine』81号に掲載したものです。

「メールでナーチャリング」は幻想?

——安藤さんは長年多数の企業のメルマガを見てこられました。BtoBのメールマーケティングの現状はどうでしょうか?

株式会社WACUL 執行役員 CMO 安藤 健作(あんどう・けんさく)氏 2006年ラクスに入社。2016年より「配配メール」の事業を統括。メルマガにおける豊富な知見やノウハウを活かし、効果的で正しいメールマーケティングを日本に根付かせるため、メールマーケティング・エバンジェリストとして様々なメディアやTwitterで日々情報を発信し、講演実績も多数。2022年7月より現職
株式会社WACUL 執行役員 CMO 安藤 健作(あんどう・けんさく)氏
2006年ラクスに入社。2016年より「配配メール」の事業を統括。メルマガにおける豊富な知見やノウハウを活かし、効果的で正しいメールマーケティングを日本に根付かせるため、メールマーケティング・エバンジェリストとして様々なメディアやTwitterで日々情報を発信し、講演実績も多数。2022年7月より現職

 BtoCとBtoBで比較すると、BtoBのメールマーケティングはBtoCより5年ほど後れている印象があります。BtoCの場合は、メルマガから直接売上につながることが多く、また配信リストの量も数万件あるのが普通なので、効果がわかりやすく実感できるという側面があります。一方BtoBの場合、メルマガが直接売上を生むことは少なく、リストの量も平均して2,000〜3,000になってくる。仮にクリック率が1%だとしたら、LPへの誘導は20件です。どうしても数値のインパクトが弱く見えがちで、なかなか本腰を入れて取り組もうと思いづらいのかもしれません。

 そもそも、BtoBマーケティングでどのようにメルマガ施策に取り組むとよいのか? という情報が世の中に流通していないことにも問題があると思っています。各企業、我流でやっていくしかない状況で、みなさん苦労されている印象です。

 ただ、ビジネスパーソンでメールを使わないという人はいませんから、プロモーションとしてメルマガを使わない手はありません。人的リソースや時間、労力をかけず、効率的かつ効果的にメルマガを活用していくべきだと思います。

——BtoBのメルマガ施策というと、ナーチャリングの一環として取り組むことになるのでしょうか?

 いえ、私は「メールでナーチャリングをするのは難しい」と考えています。その企業や製品にあまり興味のない人へ、メールで接触回数を重ねて情報提供を行うことで、少しずつ興味を持ってもらうようにし、最終的に問い合わせしてもらう——これがメルマガによるリードナーチャリングの理想的な形ですよね。ですが、正直、これは絵に描いた餅だと思うのです。

 メールの開封率はBtoBだと10〜15%が平均値です。つまり、85%の人が開封すらしない。かつ、開封してもらえても、本文をしっかり読んでもらえるようなことはそんなにありません。これでナーチャリング(育成)できているかと言われると……難しいですよね。

BtoBマーケティングでメルマガが果たす役割

——では、BtoBマーケティングにおけるメルマガの目的・役割は、どのように考えればよいのでしょうか?

 売上につながる可能性のある重要なタイミングを逃さないために、メルマガを定期的に配信し、接点・関係性を維持しておくこと。私は、これがBtoBマーケティングのメルマガの役割だと考えます。たとえば、ある課題が顕在化してきたから、製品について問い合わせをした。けれども、そのときは製品導入の決裁が下りなかった、あるいは予算の関係で他社のツールを導入することになった。それから1年後、組織体制が変わったり、売上が上がったりして、投資できる状況になったため、ツールのリプレースを検討し始めた。このタイミングで自社のツールを思い出してもらえるかが重要で、そのために必要なのがメルマガです。

——なるほど。ですが、実際にはステップメールで徐々に顧客の状況を引き上げていくといったイメージを持ってメルマガ施策に取り組んでいる企業が多いように感じます。

 以前調査したことがあるのですが、ステップメールを組んで配信しても、最初から最後までメールを読む人は半分もいませんでした。半数以上の人は、断片的にしか見ていない。しかも、読者が1通のメールにかける時間は約7秒です。よって、毎回全部見てもらえると思って設計すると、失敗してしまう可能性が高いでしょう。 ちなみに、メルマガがどれくらいしっかり読まれるかは、発信者である企業や団体と読者の関係性の深さによって決まります。たとえば、極端な例ですが、好きなアイドルグループの会報がメルマガで来たらどうでしょう?

 大多数の読者が喜んで読みますよね。一方、ネットショップからのセールや新商品の案内がメルマガで来た場合、好きなブランドだったらしっかり読むかもしれませんが、興味がなければじっくり読むことはないはずです。読者とのつながりが深いことはあまりないBtoBではなおさらです。人の可処分時間はある程度決まっていますし、その多くが各SNSに取られていっているので、メルマガ1通あたりにかける時間がどんどん短くなっていくのは自明の理ですね。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/09/27 09:30 https://markezine.jp/article/detail/40076

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