攻めの武器としてソーシャルインサイト導入
大丸松坂屋百貨店では、ソーシャルメディアにおいて特に競合ベンチマークを重視していたが、2019年にInstagramでは他アカウントのいいね数が表示されなくなった。結果として競争環境が不明瞭となり、成功例の真似ができない、ノウハウがたまらないといった課題も同時に出てきた。そこで、攻めの武器としてSNS運用支援ツール導入を検討した。
同社がツール導入にあたり、重要視したポイントは次の3つだ。
- レポートの作成時間削減につながるか
- 競合と簡易にかつ過去にさかのぼって比較できるか
- 複数店舗で導入をしてもサポートは手厚いままなのか
「複数のSNS運用支援ツールを比較検討しましたが、自社にとって重要なのは第一にレポートでしたので、レポート機能がしっかりできるところ。そして、競合の比較やサポートが手厚い点を重視し、ユーザーローカルの『ソーシャルインサイト』を導入しました」(西本氏)
フォロワー数149.5%!進化を続ける大丸札幌店
大丸松坂屋百貨店はPoC(Proof of Concept:概念実証)として、2021年上期にソーシャルインサイトを札幌店へ導入した。導入に当たっては3つのステップを踏んだ。
まずは目的の見つめ直しと、目標設定だ。札幌店は2万5,000フォロワー獲得を目指すことにした。目標・目的を明確にすることで、運用担当者が何をしているのか、きちんとコミットできているかが周囲に伝わるようになる。
次にPDCA体制の構築。月次で課題の発見と改善を図る定例会を設けた。定例会には運用担当者だけでなく、直属上司もメンバーに入ってもらい、成果と改善を共有した。
最後に、攻めの武器・ソーシャルインサイトの活用だ。目的が明確になり成果を共有する場があるからこそ、担当者も腹落ちして日々の改善に取り組める。
「同じレベルのレポートを作ろうとすると、半日どころか10時間以上かかるレポートが、ソーシャルインサイトではボタンを押せば数分で出来上がります。しかも以前より高度です」(西本氏)
札幌店は自社分析だけでなく競合分析を実施。さらに、フォロワーが見ているアカウントやハッシュタグ等を分析することで、何が求められているか、どのようなハッシュタグが良いかがわかるようになった。
「ストーリーズ投稿のKPIも出力できるので、24時間で消えるからもったいないとおよび腰だったストーリーズの重要性も可視化でき、投稿の活性化とリーチ増加を実現しました」
結果として、大丸札幌店のフォロワー数は導入前に比べると149.5%アップしたという。成果が可視化されたことで、Instagram掲載の希望が出るなど良いサイクルが生まれた。この中で他の店舗でもソーシャルインサイトを導入すべきという気運が高まり、2021年下期には9店舗に導入された。