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「商談」から「相談」の時代へ、ICTBの法則が紡ぐ新時代の営業 決裁者マッチングのパイオニアに聞く

 顧客自ら情報を収集するようになり、BtoBビジネスにおける「商談」の役割は変化した。たとえば顧客のニーズの把握はマーケティング部門が担い、営業は提案・クロージングに集中できるようになった組織もあるだろう。常に顧客の購買行動に合わせて変化してきたBtoBセールスだが、現在はどのような変化が巻き起こっているのだろうか。本稿では2014年からパイオニアとして「決裁者マッチング領域」を牽引してきたオンリーストーリー 代表取締役CEO 平野哲也さんが登場。これからのBtoBセールスにおいて必要な考え方についてうかがった。

個の時代の営業が意識したい「ICTB」とは?

──まず、オンリーストーリ―さんの事業や特徴についてご紹介いただけますか。

当社は、決裁者マッチングプラットフォーム「チラCEO」を運営し、累計約26億円調達した実績があります。業界内でもいち早く2014年に事業をスタートし、約8年間決裁者マッチングの領域を極めてきました。本日はそんなオンリーストーリーの活動を通して気がついたBtoBセールスのヒントの中からひとつをお伝えします。

──近年のBtoBセールスの変化について、背景から教えていただければと思います。

近年は「個」がより重視される時代になってきていますよね。BtoBの購買も、企業ではなく人から買う時代に変化してきていると思います。とくに買い手が経営者の場合、その傾向が顕著だと考えています。

株式会社オンリーストーリー 代表取締役CEO 平野哲也さん

従来の購買フローは、明確に「これを買いたい」というニーズがあり、そのサービスを提供する会社をいくつか比較して実際に相見積もりをとったうえで、良い会社に発注をする流れでした。ところが、今は数えきれないほどサービスがある時代。たとえば、ホームページ制作を依頼できる企業は世の中に何万社とありますよね。すべてを比較するわけにはいかないため、自然と「出会った企業や人の中から決めていく」流れになっていきます。

もちろん従来の購買フローも残りますが、当社はこれからの時代は「ICTB型」の購買フローが増加すると考えています。ICTBというのは、イシューのI、コンサルティングのC、トラストのT、バイのBを合わせた造語です。まずイシューとは、「売上を上げたい」「人が辞めて困っている」など、買い手が漠然と抱えている課題です。この階層で売り手が買い手と出会って、対話が生まれます。

たとえば、売上に困っている社長さんと私がお会いして会話することで、「リード不足を懸念されていますが、実はリード対応する営業担当の不足が問題ではないですか?」と発見が生まれるわけです。この相談(コンサルティング)を通して、社長さんから「たしかにそうなんだよ」と信頼(トラスト)をいただき、「どうせ頼むんだったら平野さんに頼もう」と購買(バイ)につながっていくイメージです。この流れをICTBと呼んでいます。

ICTBのイメージ図

とくに経営者の方は、相手の人柄を見ることで、その先のサービスを見極め、投資するように購買する傾向があると考えています。

いかに「トラスト」を得るかが鍵

──なるほど。人から買う、さらに投資するように買うという傾向を踏まえると、BtoB営業の仕方も変化が必要ですね。

セールスパーソンの方の営業にも次の3つの段階があると思っています。

  1. 説明型(ただ自分の商材を説明するだけ)
  2. 提案型(相手のニーズを聞きながらそれに対してオーダーメイドしながら説明する)
  3. コンサルトラスト型(コンサルティング+トラスト)

コンサルトラスト型とは、相談を受けた内容を基に、相手に対して発見や学びがあるアウトプットをすることで納得・信頼してもらう、「コンサルティング」と「トラスト」をつなげた造語です。コンサルトラスト型営業ができないと売れない商材があったり、コンサルトラスト型営業ができることで競合との相見積もりに勝ちやすくなったりすることがあるため、これから先の正解のない時代の中でより価値が増していくと考えています。

──とはいえ、人から買うというのは一定の規模感の会社までで、大手企業の場合はより細かい稟議があり、営業個人の力だけは難しいのではという声も聞こえてきそうです。

そのあたりも補足しますね。まずひとつ言いたいのはすべてこれが当てはまるというわけではありません。その上で、規模が違うと、「個のトラスト」への持っていき方に少し違いが出てきます。

これは「恋愛」と「結婚」の違いで考えるとわかりやすいかと思います。規模が大きくない会社であれば、決裁者と担当者が同一人物であることが多く、恋愛型(当人同士のコンサルトラスト)で購買が決まることがあります。ところが、大手企業の規模になると、恋愛型のように当人同士だけでなく、後ろ側にいるご両親の決裁や信頼を獲得する「結婚型」になります。

このときに大切になってくるのが、その立場の人によって見るポイントが違うということです。たとえば、ある親御さんは、お相手の収入や家柄を見るかもしれません。ビジネスであれば、その人の過去の実績やSNS等での発信内容、数字シミュレーションなど個の要素を見たりします。このように個人によって信頼をするトリガーが違います。

──語る実績がない企業はどのようにすれば良いのでしょうか。

そのような場合には担当者から上司(=決裁者)にどのように話を上げてもらえるかが肝になります。担当者が「こんなサービスがあるのですが、どうですかね?」と指示をあおぐかたちなのか、「このサービスを自分は使いたいんです」と高い温度感で語るのか。決裁者の心はそこでゆらぎます。担当者に信頼してもらい、その担当者から決裁者への推薦度を高めることが重要です。

──自社の場合は、どのようにコンサルトラストしたら良いのかわからない方も多そうです。

そんな方向けに、今まで決裁者マッチング一筋で8年やってきた実績と、2万件以上の決裁者同士のマッチングを創出し蓄積したノウハウを基に、BtoBセールス相談会を10月から先着10社で実施します。本記事を読んだ方限定で、私(代表平野)が直接対応いたします。ぜひお申し込みいただけたらと思います。

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2022/10/12 11:00 https://markezine.jp/article/detail/40199