企業とクリエイターが共創するときに、それぞれが心がけるべきこと
――企業がクリエイターと一緒に仕事をするときに意識すべきポイント、また失敗を避けるために知っておくべきことなどはありますか?
今は料理、絵、スポーツ、家事など、さまざまなジャンルのクリエイターがたくさんいるので、まずはいちばん相性が良さそうな方を選ぶこと。そして、その人を好きになっていただくと良いのかなと思います。単純にファンとして良いところを見つけてクリエイター本人に伝えれば、仕上がりも3割増しになるでしょう(笑)。それが仮に嘘であったとしても、「いつも見ています」「先週のこのイラストがすごく好きでした」と最初に伝えていただけると、僕はそれがとても嬉しいので一気に距離が縮まりますし、納品までのモチベーションも高い状態をキープできます。逆に、付け焼き刃的に打ち合わせの30分前に少し見てくださったんだなというのも伝わってしまうので難しいところではあるのですが…それもありがたいんですけどね。ですがやはり、前からファンだと言ってくださったらうれしいですし、まずはその依頼してくださった人に喜んでもらいたいという気持ちになる。それは僕だけでなく、あらゆるクリエイターと一緒に仕事をする際に大切なことかもしれません。
逆に、あまり好きになれないクリエイターは、選ばないほうが良いのではないでしょうか。それはダイレクトに消費者の方にも伝わってしまいますからね。
また陥ってしまう失敗パターンとしては、クリエイターの不祥事が考えられます。今は人気がある人も、実は5年前に差別ともとれるような発言をしていたケースもありますし、過去のSNSの投稿はしっかり遡って確認したほうが良いでしょう。予算額が上がるほど、そういった事前の確認やリスクヘッジは入念に行うことをオススメします。
――一方、クリエイターが意識すると良いことはありますか?
アピールの仕方はとても大切だと思います。簡単に言うとセルフプロデュースにあたるのかもしれませんが、たとえば「お茶の宣伝をしたい」と自分から言うのではなく、相手に「お茶の仕事を任せたい」と思ってもらえる行動を普段からとるということです。「私を使ってください」と発信し続けるというよりも、仕事を依頼する相手が「私があなたを見つけた!」と感じてもらえるようなアクションや投稿をする。ただそれが非常に難しいので、僕も試行錯誤しています。
もうひとつは継続することです。僕も3,000日ほど毎日投稿を続けていますが、継続して投稿している・発信していることが安心感の醸成にもつながるはずです。
――最後に、これからクリエイターとして挑戦してみたいことについて教えてください。
数年前から日本全国さまざまな地方自治体さんからオファーをいただく機会が増えてきましたが、昨年、故郷である福岡県久留米市の「ふるさと大使」に任命していただけたので、ゆかりのある自治体や企業にもより貢献していければと思っています。ちょうど今、地元のイベントや企業とのコラボで動いているプロジェクトもあるので、微力ながら盛り上げていきたいです。
また、自身の作家活動や展示会の数をもっと増やしていきたいですね。いちアーティストとして美術手帖に載ることもひとつの目標です。それから個人的には、もともと映像をつくっていたため映画を撮ってみたいです。あとはしゃべるのが好きなので、ラジオもやってみたい。今まではイラストやキャラを押し出すため、あまり僕の素性を積極的に語ることはしていませんでしたが、審査員のお仕事など“パントビスコ”として求められることも増えてきたので、そうした活動も解禁していこうと思っています。
――パントビスコさん、ありがとうございました!