THE NORTH FACEのロイヤルティプログラムが愛される理由とは?
続いて加藤氏が紹介したのは、アウトドアブランドのTHE NORTH FACEと、全米でフランチャイズ展開をしているシューズ販売企業Fleet Feetの事例。
THE NORTH FACEでは、XPLRPASS(エクスプローラーパス)というロイヤルティプログラムを運営している。同社のブランドパーパス「冒険で世界を切り拓く」の延長線上にある顧客の行動を推奨し、特定の行動を取るとリワードポイントがもらえる仕組みだ。特定の行動には、国立公園へのチェックインなどが挙げられる。加藤氏は「ブランドが自社の存在意義を訴求することでロイヤルティ経済圏を拡張している事例」と評価した。
一方ブランド力の低さに課題を感じていたFleet Feetは、「シューズを履いてランニングをした」「フィットネスをした」といった行動に対してポイントやマイルが貯まる仕組みを構築。獲得したポイントやマイルはアプリで一元管理できるようにし、クーポンや限定イベントへの参加権など多様なベネフィットを提供した。このようにロイヤルティプログラムを通じてカスタマージャーニーを変革したことで、わずか9ヵ月で300万人の会員を獲得した。
カスタマージャーニーの再構築に欠かせない2つの要素
続いて加藤氏は、カスタマージャーニーを進化させる方法について紹介した。従来のカスタマージャーニーは、ペルソナを複数設定し、顧客行動の大枠のステージ、詳細な行動、ブランド接点、感情変化などを把握するために活用されていた。企業は設計したカスタマージャーニーをもとにシナリオを作り、マーケティングオートメーションでパーソナライズした施策を展開してきた。
しかし、加藤氏は従来のカスタマージャーニーに2つの要素を付加して再構築することが重要だと語る。
「1つは、ブランドにとって顧客の望ましい行動を評価するレコグニションやリワードの機会を提供すること。もう1つは、まだ活用できていないブランド独自のベネフィットをアンロックすることです」(加藤氏)
レコグニションやリワードの機会とは、たとえば複数ブランドを利用してくれたらそれを評価する。顧客でいてくれた期間の長さも同様だ。店舗へのチェックインやソーシャル投稿も評価対象に入れれば、カスタマージャーニーの接点は自然に広がっていく。
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