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MarkeZine Day 2022 Autumn

顧客と組織を意識した活動が変革につながる、逸見氏が語るリテールのこれから

経営・業務・ITの変革が必須

 このような「シームレスで利便性が高く、店舗でもECでもスマホのアプリからでも同じ買い物や同じ情報に接することができる」顧客体験は、オムニチャネルを成功させるうえで非常に重要な要素となる。そのために企業が取組まなければならないのが、デジタルトランスフォーメーション(DX)だ。

 これまでのように販売チャネルを拡大したり、一方的に情報を発信したりすることはアナログでもできる。しかし、顧客の利便性を鑑みてリピート率を上げる施策を講じたり、双方向でのやり取りをしたりする場合には、デジタル化が必須となる。

 経済産業省ではDXの定義を「企業がビジネス環境の激しい変化に対応するために、データやデジタル技術を活用し、顧客や社会のニーズを基に製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織プロセス、企業文化風土を変革し、会社の風土を変革し競争上の優位性を確立すること」としている。つまりDXには経営と業務、そしてITの変革が必須であり、これらに取り組まないかぎり、オムニチャネルの実現は難しいのだ。

「売上と利益」の絶対評価からLTV重視へ

 講演ではオムニチャネルに取り組む先進的な企業として、メガネスーパーやビームス、ファブリックトウキョウの事例が紹介された。メガネスーパーは顧客満足度の観点から店舗での接客を重視すると同時に、店舗数を減らしてWeb予約サービスを取り入れ、店舗作業の効率化を図った。ビームスでは「店員のスタイリング」という店舗の付加価値を活かしつつ、ECサイトのポイントとも連携し、シームレスなオムニチャネルに挑戦している。また、オーダースーツを手掛けるファブリックトウキョウは、重要指標をLTVとし、売上よりも顧客リピート率を重視する経営姿勢だという。

 逸見氏は「これからはLTVが重要であり、『顧客勘定』を細かく分析することが必要になります。『売上と利益』だけを絶対評価軸にしていると、チャネルをまたがった相互支援業務評価ができません。企業内の組織間の協力関係を生み出すには、売上以外の共通評価軸が不可欠なのです」と説く。

 顧客勘定とは顧客がその企業に対して生涯にわたって利用した金額の総計を指す。デジタル化によって顧客の購買行動は可視化され、既存/新規顧客の比率や既存顧客の客単価、新規顧客の離反率も把握できるようになった。

 「これらのデータを基に仮説を立てて施策を考えます。たとえば、既存顧客の傾向を知ることで、新規顧客の中にも同じような傾向の顧客を見出すことができるのです」(逸見氏)

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DX実現の鍵はCXとEXの向上

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この記事の著者

鈴木 恭子(スズキ キョウコ)

 東京都出身。週刊誌記者などを経て、2001年IDGジャパンに入社。「Windows Server World」「Computerworld」などの記者・編集を経て2013年にITジャーナリストとして独立。主な専門分野は組込系セキュリティ。現在はIT(Information Technology)とOT(Opera...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/10/19 08:00 https://markezine.jp/article/detail/40259

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