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広報は話題作りから価値づくりへ「第5回企業広報力調査」発表【電通PRコンサルティング調査】

 電通PRコンサルティングの企業広報戦略研究所は「企業広報力調査」を実施。その結果を発表した。

 同調査は日本企業の広報活動の実態や課題意識を把握することを目的に、9つの広報力、計90項目で整理し、広報ターゲット別に調査したもの。

 なお、今回の調査では、これからの企業の広報活動には企業価値創造の視点をより強く意識する必要が高いと考え、そのために必要な戦略・戦術を棚卸し、設計を行った。

 「価値づくり広報モデル」と名付け、そのプロセスを、根幹をなす「Strategy(戦略)」、それを受けて行う「Activity(活動)」、基盤として押さえるべき「Management(組織)」の3つに整理し、全部で9つの広報力を設定した。

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「ファクト力」「インパクト評価力」の向上が全体的な課題

 広報に関する90項目の設問への450社の回答を9つの広報力に分けて分析したところ、「PESO活用力」(43.5点)が他よりも突出して高く、1位となった。なお、「PESO活用力」とは、戦略に基づき複合的にメディアを駆使し、タイムリーかつ継続的に情報発信を行う能力のこと。

 一方で、「エンゲージメント力」(26.1点)、「ファクト力」(260点)、「インパクト評価力」(15.3点)のスコアが低い結果となった。この3つの力は、価値づくり広報の視点で不可欠な要素となる。

上場企業の9つの広報力スコア(全体平均)
上場企業の9つの広報力スコア(全体平均)

 広報課題を把握し目標を設定した上で、広報目標・課題を設定し、活動を行った結果、自社の経営や事業、さらには社会にどのような影響(インパクト)を与えているのかを把握しなければ、企業価値創造に結びつく広報への進化は難しいと考えられる。

 また「ファクト力」は、広報目標達成に向けて、企業の活動実態(ファクト)をプロデュースする能力。ファクトがあって初めて広報・PR活動が成り立つため、この力の強化に取り組むことが重要だ。これらは、今後、企業広報を考える際の課題だと考えられる。

「運輸・倉庫」業界の広報力が大きく伸長

 企業の広報力を業界別で見てみると、1位は「電力・ガス」(58.4点)、2位「食料品」(39.0点)、3位は「繊維・化学・医薬」(38.6点)という結果になった。

上場企業の広報力スコアの業界ランキング
上場企業の広報力スコアの業界ランキング

 「運輸・倉庫」(36.3点)は、前回の11位から4位へと大きく伸長した。特に、「ファクト力」と「リスクマネジメント力」が平均よりも5ポイント以上高く、特に価値づくり広報において重要な「ファクト力」は、全業界中2位だった。広報力スコアの高い業界は、広報担当者の人数が他業界に比較して多く、体制が整っている企業が多い傾向が見られた。

 大きくランキングを下げたのは、「その他」「輸送用機器・精密機器」「金融・証券・保険」「建設」だ。特に「金融・証券・保険」は前回3位からの低下となった。「目標設定力」、「クリエイティブ力」、「インパクト評価力」が全体平均より5ポイント強、低くなっており、「価値づくり」広報が思うように実践できていない可能性がある。

 効果測定は「新聞や雑誌で報道された件数、分量」が6割

 広報活動の成果測定方法では、「新聞や雑誌で報道された件数、分量」(63.3%)が最多で、「Webメディアでの報道量」(49.8%)、「自社Webサイトのアクセス数・滞在時間など」(47.3%)も約半数の企業が実施している。上位に挙がった成果の測定方法は、広報の施策の成果を定量的に測るものが多い。

広報活動の成果測定方法
広報活動の成果測定方法

 今後重視する広報活動の上位は「ESG、SDGs」

 広報担当者の業務テーマは、「トップのメッセージ、企業ビジョン」(84.4%)が1位となった。

 次いで、「企業ブランディング」(78.4%)、「経営戦略・事業戦略」(71.6%)、「商品・サービスPR」(70.9%)も7割を超える企業が業務テーマであると回答している。

 第1回調査(2014年)の結果と比較すると、「危機管理」を除くすべてのテーマで割合が伸びており、業務テーマの多様化がうかがえる。

担当する業務テーマ
担当する業務テーマ

 あわせて今後重視する広報活動を見ると、1位が「ESGやSDGsにおいて自社に期待される役割を把握・分析している」で、過半数が今後重視すると考えており、2位と4位にもESGやSDGsに関連する項目が入った。近年重要度が高まってきているテーマが企業広報の業務テーマとして加わってきていることがわかる。

今後重視する広報活動90項目ランキング
今後重視する広報活動90項目ランキング

 広報の役割は「話題作り」から「価値づくりへ」

 重視する広報ターゲットのトップ3は、1位「株主・投資家」(94.9%)、2位「顧客」(90.0%)、3位「従業員とその家族」(76.4%)、だった。

 この広報ターゲットも業務テーマ同様、第1回調査(2014年)の結果と比較すると、「国内一般生活者/市民」を除くすべてのターゲットで割合が伸びており、広報部門が意識して取り組まねばならないターゲットの多様化が見て取れる。従来のメディアを重視した情報発信から、広報ターゲットとのエンゲージメントを重視する広報活動へと変化。まさに「話題づくり」から「価値づくり」へと広報の役割が変わってきている様子がうかがえる。

重視する広報ターゲット
重視する広報ターゲット

 9つの広報力とスコアの算出方法

 同調査は、広報活動に関する設問(90問)を9つの広報力に分類し、各広報力を構成する10項目の基礎点を定めている。

 さらに、同研究所の専門家パネルが戦略的重要性の特に高いと評価した項目に点数を付与。

 基礎点に専門家評価の点数を加算し、総計100点で各広報力を算出している。

 9つの広報力の定義は下記の通り。

9つの広報力スコア
9つの広報力スコア

 【第5回企業広報力調査概要】
 対象:「日本の上場企業3765社 広報担当責任者、会社四季報 2022年」掲載時点のプライム市場、スタンダード市場、グロース市場上場企業
 有効回答サンプル数:450社(回答率12.0%)
 方法:郵送・インターネット調査
 期間:2022年6月27日~9月5日
 主体:企業広報戦略研究所(電通PRコンサルティング内)
 ※スコア構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、表において加減の結果が小数第1位で異なる場合や、合計が必ずしも100%にならない場合がある。

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2022/11/02 09:00 https://markezine.jp/article/detail/40444

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