サステナビリティに対し、より能動的な姿勢を引き出す
MZ:Shopping for Goodの企画実現に至るまでには、NTTドコモ、電通らと複数回にわたって議論されたと伺いました。具体的にどのような話し合いをされたのでしょうか。
後藤:プロジェクトの発足当時は、電通さんと話し合いの場を週次で設けていました。企画の趣旨やビジョンがある程度固まった段階で、KCMKからは森・上野を含め計5人をチームにアサインしました。

森:話し合いの場では「手間なく簡単に社会貢献ができる仕組みをどのように作るか」について、我々の思いと電通さんからのご提案を擦り合わせていきました。キャッシュレス決済を活用しようと思ったのは、お買い物という日常の行動の中で、生活者が気軽に社会貢献ができる仕組みを実現できると考えたからです。電通さんと議論を重ね、パートナーを探していたところ、NTTドコモさんが理念に強く共感され、ジョインしてくださることになりました。
MZ:KCMKからはどのような提案をされたのですか。
後藤:Shopping for Goodプロジェクトでは、対象商品を1,000円(税込)以上購入すると、購入金額の1%が寄付されるのですが「生活者が元々保有されているdポイントも任意で寄付していただけるようにしないか」と提案しました。端数のポイントを寄付したいという考えをお持ちの方は多いと考え、そういったポイントを自発的に寄付していただける仕組みも整えたいと考えました。
また、生活者自身で寄付先を選べるようにしたのも、企画主旨に共感してくれた生活者に、社会貢献に対してより能動的になっていただける仕組みを提供したいという意図がありました。
計10パターンを用意したテレビCM
MZ:Shopping for Goodプロジェクトには小売業も参加していますが、KCMKが調整されたと伺いました。調整に際し、苦心された点を教えてください。
上野:上野:我々は「オールジャパンのムーブメントを作ろう」を合い言葉に、小売業に対して参加をご提案しました。しかし、その過程で実感したのが「サステナビリティというテーマを以てしても、競合関係にある企業同士が一枚岩になるのは容易ではない」ということです。
後藤:我々が参加をご提案した企業は、サステナビリティに貢献するという理念自体には賛同されています。しかし「サステナビリティに貢献すること」と「プロジェクトに参加するかどうか」はまた別の話。どの企業も厳しい競争をされているので、競合同士が横並びで参加することには少し抵抗があったようです。
MZ:今回は、そういった壁をどのように工夫して乗り越えられたのでしょうか。
上野:我々が対面する小売業の方々も、あくまでビジネスパーソン。プロジェクトの理念をお伝えするだけではご納得いただけません。そこで「小売業にとって何がメリットになり得るか」をこれまでと違ったやり方で考える必要がありました。たとえば、Shopping for Goodキャンペーンサイトを立ち上げ、メーカー、プラットフォーマーを含めた各社のサステナビリティ取り組みの特集ページを準備。そうすることで、企業価値の向上など、本プロジェクトならではの参画企業のメリットが享受できるのではないかという切り口も含めて、提案を進めました。結果として、計20社の小売業がプロジェクトに参加してくださいました。
森:電通さん、NTTドコモさんにご協力いただき、テレビCMには小売業様のロゴを入れ込んでもらいました。関東、関西、東海などエリアごとでクリエイティブを分けて、関西エリアで放送されるCMには関西を拠点とされている小売業のロゴを中心に入れるなど、計10パターンのテレビCMを用意しました。
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