※本記事は、2022年11月25日刊行の『MarkeZine』(雑誌)83号に掲載したものです。
動画アプリとしてのTikTokの現在地
はじめに、TikTokの動画アプリとしてのユーザー規模について確認します。動画・SNSアプリの利用率(図表1)を確認すると、2022年6月時点のTikTokの利用率は11.8%であり、YouTube、Twitter、Instagramと比較するとユーザー規模は成長途上にあります。
また、2021年から2022年にかけて、TikTokは2.9ポイント増加しているものの、他のアプリの変化と比べて大きな差がないことから、ユーザー規模の成長速度は鈍化していると考えられます。
次に、動画アプリの利用状況別の市場人数シェア(図表2)から、市場全体に占めるTikTokユーザーのYouTube利用状況を確認します。
2022年6月時点の、TikTok・YouTube併利用が11.4%、TikTok単体利用が0.4%であることから、TikTokの利用者のほとんどがYouTubeとの併用者であることがわかります。また、2021年から2022年の変化を確認すると、併利用割合は2.8ポイントの増加であり、他の利用状況と比較して変化が大きいことから、新規のTikTokユーザーはYouTube単体利用者から獲得していると把握できます。
TikTokは、ユーザー規模が依然として成長途上であり、今後の新規ユーザー獲得に向けてYouTubeのみを利用している人をいかに取り込めるかが課題であると考えられます。
ショートだけどロングなTikTokの利用時間
続いて、動画・SNSアプリの市場時間シェア(図表3)から、市場全体のスマホ利用時間に占めるTikTokの市場時間シェアを確認します。
グラフを見ると、TikTokの市場時間シェアは1.0%であり、YouTube、Twitter、Instagramと比較すると小規模です。しかし、動画・SNSアプリの利用1日当たりの平均利用時間(図表4)を用いて、ユーザーごとの利用時間を見ていくと、TikTokは平均利用時間が39.5分とTwitter、Instagramよりも高いことが確認できます。
また、2021年から2022年の変化差分を見ていくと、TikTokは4.3分の増加、YouTubeは3.0分増加しており、YouTubeが開始した「YouTubeShort(※)」によるTikTok利用時間の流出規模は小さいことが考えられます。
※2021年7月からYouTubeが開始した最大60秒までの縦型動画を投稿・閲覧できるサービス
これらの利用時間に関するデータから、TikTokはユーザー規模が小さいため、他の動画・SNSアプリと比較して市場時間シェアは小さいものの、動画媒体として他のSNSアプリよりも利用時間を延ばすことに成功していることが確認できました。また、昨年からの利用時間の増加が大きいことから、YouTubeやInstagramのショート動画利用への流出規模は小さいと考えられるでしょう。
TikTok利用者は20代以下の若年層が中心
ここまで、TikTokの市場での利用者規模と利用時間規模を確認してきました。ここから、TikTokユーザーの属性に焦点を当て、動画・SNSアプリの性別・年代別の構成比(図表5・6)を用いて、属性別の利用動態について確認していきます。
TikTokユーザーの性別を確認すると、男性が49%、女性が51%であり、性別でのユーザー属性の違いは見られません。次に、ユーザーの年代を確認すると、15〜19歳が20%、20代が22%であり、20代以下の若年層ユーザーが約40%を占めています。また、他の動画・SNSアプリと比較すると、15〜19歳の割合の大きさが顕著であることから、TikTokユーザーはいわゆるZ世代が中心であると確認できます。