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WGSNが予知する1年後

【前編】もっともっと“都合のいい”世界へ。業界の住人として知っておきたい、トークンが変える未来

Web3.0との関連性の高い社会の動き

 Web3.0時代を見据えるWGSNは、未来のデザインを予測するエキスパートですが、2024年に向けてプロダクトやサービスを生み出す際に考慮すべき社会の動きについて、6つほどポイントを提示しています。次の3つはその中でも特にチェックしておきたい、Web3.0と関連の強い社会背景です。

WGSNの未来予測~Web3.0との関連性の高い社会の動き~

【1】エブリシングネットがもたらすプラス/マイナス面を意識する動きが出てくる

 パンデミック以前は、フィジカルとデジタルの境目がなくなりつつある、という認識でした。ところが、パンデミック以降の2024年に向かって、この世界は互いに関与し合う存在となります。インターネットはエブリシングネットへと進化を遂げ、バーチャル世界が人のウェルビーイングにまで影響するメディアとなり、一方で管理をするツールにもなるのです。

【2】地球を変えてしまった責任を正面から受け止める動きが出てくる

 2019年に地球全体の人工物の質量が生物量(バイオマス)を上回ったと報告されました。地球は私たちの生活の場ですが、そこに存在する生態系と生物が人間の活動によって危機的状況に陥っている――この責任は私たち人間にすべてあり、ライフスタイルを変える以外に道はないという考え方が広く共有されるようになっていきます。

【3】“ケア”という概念がアップデートされる動きが出てくる

 社会全体が介護や保育・託児、セルフケアなど“ケア”という行為によって私たちの健康、コミュニティ、経済が支えられていることを実感し始めています。また、“ケア”する対象は自分自身、隣人、地元、自然、そして地球にまで広がり、これまでの“ケア”の概念や対象からアップデートされることに注意を払う必要があります。

エブリシングネットの世界、すべての道はデジタルと交わる

 2026年には世界の全世帯におけるスマートTVの保有率が50%を超えると、ストラテジー・アナリティクスが伝えています。エブリシングネットの世界で、テクノロジーの進化はWeb3.0の開発と成長を後押しし、クリエイションの追い風になっていくでしょう。

 WGSNが示す、エブリシングネットという注目トレンド以外にも、Web3.0には「共同参画の場を生み出す」「消費の形態が変わる」「個別の関係を強化したり、マイノリティに配慮したり、所有権を分配したりできる」という動きを見せる可能性があり、アップデートされるケアの概念との親和性が確認されるかもしれません。

 正直なところ、デジタルによるアウトプット抜きには未来を想定できません。その意味では、どんなアングルで社会を見るにしてもWeb3.0につながりはするのですが、今回のテーマにおいて強調しておきたいのは、企業がデジタルツールを使ってどのように個人とのタッチポイントを増やしていくのかについて検討する時期が来ているということ。また、その時Web3.0時代をイメージしておくことが重要になってくるということです。

 Web3.0とエンターテインメントについては既に色々な情報がありますが、Web3.0がメディアやエンターテインメント業界の発展、ファン体験にどのような影響を及ぼし、それはブランドにとって何を意味することになるのか。そして、それは社会のありようをどう変える可能性を秘めているのか。デザインの未来を読むWGSNの視点を借りて、解説を進めていきます。

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DAOの後押しなど、デモクラタイズ(民主化)が進む動き

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この記事の著者

浅沼 小優(アサヌマ コユウ)

伊藤忠ファッションシステム株式会社 ifs未来研究所 上席研究員 大手住宅メーカー、米国でのインテリアディスプレイデザイナー、バイヤー業務を経て、帰国後LVMHグループ、ロエベ他にてマーケティング、マーチャンダイジングを担当。デザイン予測を提供する英国WGSN日本統括を経て、2019年より現職。W...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/01/13 15:01 https://markezine.jp/article/detail/40717

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