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Z世代戦略のカギはヒアリングと言語化の徹底 カンロの「若者の飴離れ」対応策

 自社の主力事業から若者が離反しはじめたらどうすべきだろうか?日本を代表するキャンディメーカーであるカンロは「若者の飴離れ」を課題に据え、Z世代と新たなキャンディの共同開発を行う「Z世代 飴の原体験共創プロジェクト」をするなど、若年層向けの戦略に注力している。同プロジェクトの責任者を務める河野亜紀氏から、Z世代に寄り添うためのヒントを探った。

「カバンに飴がある=イケている」の実現がミッション

──はじめにご担当の業務領域とミッションを教えてください。

 新卒でカンロに入社して以来、マーケティングプロモーション領域を担当しています。現在はピュレグミ・カンデミーナブランド部に所属し、両ブランドの戦略やプロモーションの企画、実行が主な業務です。同時に、Z世代飴の原体験共創プロジェクトを立ち上げ、そちらのリーダーも務めています。

カンロ株式会社 コア事業本部 ピュレグミ・カンデミーナブランド部 課長 河野 亜紀氏

カンロ株式会社 コア事業本部 ピュレグミ・カンデミーナブランド部 課長 河野亜紀氏

 同プロジェクトを含む、Z世代に向けた取り組みの根底には、カンロが2022年に策定した企業パーパス「Sweeten the future 心がひとつぶ、大きくなる。」があります。

 飴を舐めた時には、ほっとしたり、きゅんとしたり、安心する気持ち、またそれによって人に優しくできる心が生まれると考えています。このパーパスには、カンロの技術力によって、そうした「心がひとつぶ大きくなる瞬間」を積み重ねることで、人と社会の持続可能な未来に貢献していきたいという想いが込められています。

 そこに行き着くために、未来をともに担うZ世代への取り組みを強化しており、Z世代 飴の原体験共創プロジェクトはその一環として行っています。

 このプロジェクトでは、若者にとって飴をときめく存在にしていきたいと考えており、女子高生にとってカバンの中に飴があることがイケていると思ってもらえるような世界を目指しています

飴とグミで異なる顧客層 能動的な体験が差を生む

──Z世代向けの施策に力を入れるようになったと伺いましたが、そもそも御社で抱えている従来の顧客の年齢層にはどのような傾向がありますか?

 前提として、弊社で扱うキャンディのカテゴリーの中でもハードキャンディ(飴)とグミキャンディに大別され、そこで顧客層が異なります。その中でハードキャンディは、主要な顧客層が40~60代でやや高齢化現象にあるという問題があります。長期的に見ると大きな課題になるため、顧客のボリュームゾーンから外れてしまっている若年層を取り込むことが急務だと考えています。

 一方、グミキャンディに関しては、今非常に好調です。ピュレグミをはじめとした多くの商品がZ世代にも広く受け入れられています。

 キャンディ全般において、コロナ禍初期には生活様式の変化が要因となって売上が落ちたのですが、グミは比較的早く盛り返しました。間食増加の背景下、他のお菓に比べて満腹感が得られやすく罪悪感が少ないという点や、幼少期にグミをおやつとして育った方が親世代となったことでおうち時間で母親が子どもに与えやすい存在になったこと。そして、何よりもカラフルさや食感も楽しいお菓子であるという点が支持された理由として見られます。

 グミは色や形、味、食感のバリエーションが非常に豊富で話題に上がりやすいのも長所です。SNSでも「食べてみたよ」と共有しやすく、コミュニケーションが生まれるという点でZ世代に支持されていることもグミの売上伸長において大きな要因だと感じています。

──グミキャンディと比較した際にハードキャンディの顧客層が高齢化している要因はなんでしょうか?

 幼い頃からの飴との関わり方と、昔に比べて他のお菓子のバリエーションが豊富であることが影響していると思っています。

 実際にリサーチしたところ、Z世代も実は飴を食べた経験自体はあり、幼い頃に両親や祖父母からもらった記憶がある方は多いです。しかし、いずれも受動的な体験で、自分で買って食べた、人にあげたといったエピソードがほとんど出てきませんでした。

 要因としては、昔に比べてチョコレートやスナックにおいても手軽に食べられるお菓子のバリエーションが増えてきていることで飴の存在感が薄くなってしまっていることだと考えています。能動的な体験がなく、他に多くの選択肢がある中で、大人になって自分がお菓子を買う際に飴を選ぶきっかけがなくなっているのではないでしょうか。

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この記事の著者

土屋 典正(編集部)(ツチヤ ノリマサ)

法政大学法学部を卒業。新卒で人材派遣の会社にて営業職を経験し、翔泳社に入社。MarkeZine編集部に所属。

 

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/12/26 08:00 https://markezine.jp/article/detail/40766

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