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データで紐解く、現代子育て世帯のインサイトとその変化

性別に対する固定観念も多様化。現代子育て世帯の意識の変化と、マーケ施策活用のヒント

習い事やランドセルの色に見る、固定観念の変化の表れ

 近年はライフスタイルの多様化にともなう意識の変化とともに、性別に関係なく誰でも使用しやすいデザインの商品が増加しつつあります。たとえば美容グッズでは「多くの女性はピンクを好む」といった固定観念の脱却により、性別に関わらず購入・使用しやすい色のバリエーションも販売されるようになってきています。

 このような動きが見られる昨今、子ども向け商品はどうしていくべきなのでしょうか? ヒントを得るべく、第一子妊娠中の妊婦さんに「男の子が生まれた場合、もしくは女の子が生まれた場合」にどのようなものを購入したいか、習わせたいかを質問した結果が図表2となります。

図表2 子どもの性別に関する価値観
出典:株式会社コズレ 子育てマーケティング研究所(2021年8月調査、分析対象:第一子妊娠中の妊婦さん677名、クリックして拡大)

 注目すべきは、青点線で囲った「男の子には黒のランドセル、女の子には赤のランドセルを購入したい」と「男の子にはサッカー、女の子にはピアノを習わせたい」です。前者は「そう思わない」の割合が40.47%、後者は47.12%とそれぞれ非常に高くなっています。

女の子のママはより保守的?

 では、子どもの性別が実際に判明した妊婦さんはどう思っているのでしょうか。第一子妊娠中の妊婦さんのうち、子どもの性別が判明した妊婦さんの結果を抜き出したものが図表3です。

図表3 子どもの性別が判明した妊婦さんの子どもの性別に関する価値観
出典:株式会社コズレ 子育てマーケティング研究所(2021年8月調査、分析対象:第一子妊娠中の妊婦さん677名のうち、子どもの性別が判明した81名※男の子:41名、女の子:40名、クリックして拡大)

 興味深いのは、生まれてくる子が男の子と判明した妊婦さんより、女の子と判明した妊婦さんのほうが5項目すべてにおいて「そう思う」と回答した割合が高いことです。このことから、女の子のママはより保守的な購買行動をとる傾向にあるのかもしれません。

 この仮説のもと、女の子用のベビーグッズや子育て世帯向け商品・サービスを残す戦略も1つの方法です。もちろん、女の子“だけ”に向けた商品と捉えられてしまうリスクには配慮が必要です。広告の好例として、IKEAオンラインショップの「DUKTIG おままごとキッチン」の使用イメージ写真があります。その中では、当該商品で遊ぶ子どもに男の子と女の子の両方を採用しています。女の子“だけ”にしていないことがポイントです。

出典:https://www.ikea.com/jp/ja/p/duktig-play-kitchen-birch-40319973/
出典:IKEA「DUKTIG ドゥクティグ おままごとキッチン」商品情報

 図表3内、特に「男の子にはミニカー、女の子にはおままごとセットを購入したい」に関して、「そう思う」と回答した割合が、生まれてくる子が男の子と判明した妊婦さんは17.50%なのに対し、女の子と判明した妊婦さんは39.02%と大差がつきました。そして「男の子には黒のランドセル、女の子には赤のランドセルを購入したい」「男の子にはサッカー、女の子にはピアノを習わせたい」に関しても同様に大差が付いています。

 以上から「おもちゃ」「ランドセル」「教育(習い事)」については、男の子のママに向けた男の子向けの商品を販売するよりは、女の子のママに向けた女の子向けの商品を販売する戦略のほうが、より有効だと考えられます。

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エアコンや空気清浄機はパパが購入に影響力を持つ

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この記事の著者

飯野 純彦(イイノ アツヒコ)

1980年群馬県生まれ。慶應義塾大学大学院修士、博士課程を経て、滋賀大学経済学部特任講師、秋田大学教育文化学部専任講師。2017年より友人らが起業した株式会社コズレに参画。現在、コズレ子育てマーケティング研究所所長としてベビー用品・関連サービス企業のみならず、子育て世代にアプローチしたい多くの企業のマーケティング・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2023/01/06 08:00 https://markezine.jp/article/detail/40850

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