女性リーダーの輩出を目指す、半年間の育成プログラム
――CDO室では具体的にどのような活動を行っているのですか?
現在、経営の課題解決を実現したいと思っている有志から抜擢した現場のメンバーで運営しています。みんな本業と兼務する形で現場の声を拾いながら活動しており、CDO室から生まれたアイデアや施策を人事や広報などのチームに持ち寄り、実動させるというアプローチを取っています。
「女性リーダーの輩出」においては、2021年4月から「WoW(Way of Woman)」というプロジェクトを行っています。これは、女性社員のスキル向上を目的に、100%立候補制でスタートしたネットワーク研修です。希望者は半年間の育成プログラムを受講できるほか、山内と参加者でワーキンググループを作り世の中のトレンドや市場の動向を理解するためのワークを行ったりもしています。
――育成プログラムでは、どのようなことをされるのですか?
前半はクリティカルシンキングやプレゼンテーションなど、ビジネスマンとして広く必要な基礎スキルを中心とした講義を行い、後半では自分が目指すリーダー像を深掘りするようなリーダーシップ研修を行っています。いずれも外部から講師をお招きし、我々が大事にしたい価値観や考え方を織り交ぜる形でオリジナルの研修を作っています。
これまで半年間のプログラムを計2回行っており、ちょうど先日2回目が終わったところです。1期は9人、2期は7人で計16人が参加しました。
――参加された女性社員からはどのような声があがっていますか?
1期も2期も満足度は100%だったのですが、中でも好評だったのは、後期に実施したリーダーシップ研修です。「なんとなくリーダーになりたい」「なんとなく上にあがりたい」と思っていた社員が、その解像度を上げて道筋を見つけるために非常に役立ったようです。リーダーシップ研修は「本当にリーダーになりたいですか?」「なぜなりたいのですか?」という問いから始まります。そして、自分が目指すリーダー像や向かうべき方向を確認し、現状とのギャップが見つかったらいかに軌道修正をするかを考えます。自己分析に近いのかもしれませんが、リーダーを目指す上で必要な道筋をそれぞれ見つけられたようです。
――CDOとして活動をする中で、吉田さん自身が得た気づきや学びはありますか?
先述のリーダーシップ研修を見ていると、それぞれ目指す方向性や重視する価値観などが本当にバラバラで。これは驚きでもあり、私にとって大きな気づきとなりました。たとえば、そもそも働く理由やモチベーションが「組織への貢献」にあるのか、「自分自身のステップアップ」にあるのか、はたまた「新しいものを生み出したい」という欲求にあるのかも違えば、仕事で重視する価値観も「成長」「美学」「個性」「安心」などメンバーによって様々でした。同じ組織にいて、みんな同じくリーダーになりたいと思っていても、考え方の根っこはみんな違うわけです。組織のフェーズはその時々によって変わりますから、「この分野は〇〇に任せよう」「この過程は〇〇に任せよう」など、強い組織を作っていく上では個々の違いがプラスに働くと思っています。
ひとつ課題であると感じたのは、今回わかったメンバーの重視していることや価値観を経営とどう結び付けていくか? ということです。CyberZには個の価値観を重視する文化はありますが、それを活かして組織課題を解決する、新たな挑戦をするというところはまだまだ改善の余地があると考えています。
若手が最速で活躍できる、強い組織を目指して
――吉田さんは、若手が最速で活躍できる組織作りを目指すなど、組織強化・育成にも携わられています。そういった中で、意識していることはありますか?
3つ重視していることがあります。まず1つ目は「経営の考えを現場にきちんと落とす」ということ。年々社員の数も増え、国籍やバックグラウンドが違うメンバーも増えてきました。先述の通り、個人の考え方はそれぞれ多様でよいと思うのですが、組織の方針やビジョンに対しては社員間で統一された認識が必要です。そのために、経営の声をかみ砕いて現場に伝えることは私の重要な役割だと思っています。
次に2つ目は、「自分で考える癖をつける」ということです。インターネット産業の歴史も長くなり、また複雑化が進む中で、我々は未知の正解を常に探っています。そのような状況下では、社員の考える力が大事になります。現場から出たアウトプットに対しては、「なぜそう思ったのか」「どんな目的があるのか」「その根拠は何か」など、メンバー自身が納得して動けるまでゴーサインを出さないようにしています。私以上の思考の幅と、私には思いつかないアプローチが生まれる組織であることが大切です。
最後に3つ目は、最近よく聞く言葉ですが「心理的安全性」を重視しています。これは2つ目の項目に関連しており、意思を持って挑戦しても、もちろん失敗することはありますよね。そうした時には、トライしたこと自体を肯定します。そこで生じる責任を持つのは、マネジメント層の役割の一つです。メンバーが「また挑戦しよう」と思えるように努めています。