SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

D2C企業と探る、BX(ブランド体験)の可能性

資生堂がDXを通じて実現する「テーラーメイドなオンリーワン体験」とは

 Webが生活の一部になったことで消費者の興味・関心は細分化され、単一のメッセージを広く発信するだけでは消費者を動かすのが難しくなってきた。多様性を当たり前に受け入れ、自分らしさを尊重する「Z世代」はその傾向が顕著だ。この状況でマーケティングの課題を解決し、売上拡大に必要な概念「BX(Brand Experience:ブランド体験)」をテーマに、wevnal代表の磯山氏が各社の考え方や取り組みを伺う連載。第6回は資生堂ジャパンCDO(Chief Digital Officer)・資生堂インタラクティブビューティーDX本部長のスギモト トシロウ氏に話を聞く。

生涯を通じて「自分らしい健康美」の実現を目指す

磯山:2022年に創業150周年を迎えた資生堂さんは、「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」を企業使命に掲げていらっしゃいます。

スギモト:私たちは、美には人の心を豊かにし、生きる喜びや幸せをもたらす力があると信じています。資生堂は創業以来、人の幸せを願い美の可能性を広げ、新たな価値の発見と創造を行ってきました。これまでもこれからも、美しく健やかな社会と地球が持続していくことに貢献します。そのためには、化粧品事業の利益拡大だけではなく、様々なステークホルダーとの「共創」をベースに社会価値の創造を目指しています。

磯山:具体的に、資生堂さんが目指すブランドの姿とはどのようなものですか?

スギモト:当社では2023年に向けたVISIONに「PERSONAL BEAUTY WELLNESS COMPANY」として、生涯を通じて一人ひとりの自分らしい健康美を実現する企業となることを目指しています。誰かが決めた画一的な美しさではなく、自分のものさしで「自分らしい美しさ」「自分が表現したい美しさ」を決められることをゴールにしています。

 人の数だけ美しさがあり、一人の人間の中にも複数の面があります。それだけ美の表現のバリエーションがあるということなので、それを実現できる環境を提供したいと思っています。

資生堂ジャパン株式会社 CDO(Chief Digital Officer)/資生堂インタラクティブビューティー株式会社 DX本部長 スギモトトシロウ 氏
資生堂ジャパン株式会社 CDO(Chief Digital Officer)/資生堂インタラクティブビューティー株式会社 DX本部長
スギモトトシロウ 氏

磯山:2021年7月には、アクセンチュアとの合弁会社「資生堂インタラクティブビューティー」を創立しましたね。どのような狙いがあったのですか?

スギモト:ビジョン実現のため、変化するお客様と市場環境に迅速に対応し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させ、日本の事業モデルを革新していくことを目的に設立した会社です。当社が長年培ってきたビューティー領域の知見と、デジタルサービスと先端テクノロジーの領域で多くの支援実績を持ち、そして人材育成のノウハウを持つアクセンチュアとの融合により、「Beautyをよく知るデジタル・IT専門家集団」として進化することを目指しています。

コロナ禍で失われた「買い物の楽しみ」を取り戻す

磯山:資生堂インタラクティブビューティーが提供する「新しい美容体験」について、詳しく教えてください。

スギモト:コロナ禍をはじめとする社会情勢の変化により、消費者のニーズや購買行動も大きく変化しています。未来の予測が困難な時代に、資生堂はどのような美容体験を提供すべきなのか。

 その答えの一つとして取り組んでいるのが新しい美容体験、「テーラーメイドなオンリーワン体験(一人ひとりのニーズにあった美容体験)」の実現です。

磯山:コロナ禍は消費者の行動や価値観に大きな影響を与えました。

スギモト:実店舗での購入が制限されたことで、ECでの購入が増えたことはもちろん、多くの店舗を訪れずに1店舗で済ませたり、買い物の回数や時間をなるべく減らしたりする傾向にあります。予定外の購入を控えるため、衝動買いも減っています。

 それと同時に、実際に店頭で商品に触れて試したり、予期せず欲しい商品に出会ったり、信頼できるスタッフに相談しながら選んだりという、買い物の機会が阻害されました。

磯山:特に化粧品という分野では、そういった体験は消費者にとってもブランドにとっても重要な要素だと思います。

スギモト:店舗でのパーソナルビューティーパートナー(以下、PBP)によるタッチアップ(お客様に直接メイクを施すこと)なども一部では現在も制限されています。それでも、「実体験で選ぶ楽しさ」を提供したいと思っています。

 銀座の旗艦店であるSHISEIDO THE STOREでは、最新のバーチャルテクノロジーとリアル店舗のヒューマンタッチを融合させており、五感を使って試せるデジタルテスターや非接触で商品を試せるオートテスター、また日本初導入の先端メディテーション体験なども展開しています。

 また、店舗に行かなくてもシームレスに活用できるクラウド対応の肌分析や3D技術による肌診断、PBPによるWebカウンセリングなど、様々な形でお客様一人ひとりのライフスタイルに合わせた美容体験を提供しています。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
「テーラーメイドなオンリーワン体験」を実現する新サービス

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
D2C企業と探る、BX(ブランド体験)の可能性連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

磯山 博文(イソヤマ ヒロブミ)

株式会社wevnal 代表取締役

 2008年大手インターネット企業に新卒で入社し、メディアレップ事業、新規事業開発に携わる。2011年4月に株式会社 wevnal を創業し、LTV最大化を実現するBXプラットフォーム「BOTCHAN」を展開。累計導入社数は600社を超える。

 12期目を迎えた20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2023/01/10 09:00 https://markezine.jp/article/detail/40941

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング