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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

20万人のファンコミュニティから得た本音で商品が大ヒット アテニア流「インサイトを引き出す」運営

心理と購買の2軸で捉えるアテニア独自の「ファン度」指標

——アテニアさんではファンをどのように定義していらっしゃるのでしょうか。

 ファンの形に明確な定義はありませが、お客様のファン度を可視化し、定点観測できる仕組みを整えています。

 まず縦軸を心理軸として「好感」「納得感」「愛着」と3つに分けています。最初は「何か良いブランドだな」と思う好感のステージ」、次に「これはいい商品だ」と納得するステージ、最後に「アテニアという会社や考え方が好き」という愛着の3段階で、順にロイヤルティが上がっていきます。

 横軸は購買軸として購入商品のカテゴリー数に応じて3段階に分けています。アテニアは、スキンケアやメイク、健康食品やファッションなど、様々な商品カテゴリーを展開しています。心理軸が高まるにつれてお客様の購入するカテゴリー数が増える、カテゴリー数が増えることでロイヤリティが高まるといった、好循環を生むと考えています。

——独自性のある面白いカテゴリー分けですね。

 顧客ロイヤルティを測る指標としては「他者に推奨したいか」という点を軸にしたNPS(ネット・プロモーター・スコア)が有名です。しかし、化粧品は肌質に合うかも重要なため、他者に推奨しにくい側面があることや、ファン度を上げるために具体的に何に取り組むべきなのかが定まりにくいと考え、採用を見送りました。

 先ほどの好感・納得・愛着のように、「どういうアプローチをすればこう感じる人が増えるだろうか」とお客様を具体的にイメージしながら取り組みを評価できるようにしたいと考え、現在の形に落ち着きました。

ファンの抱えるストレスをヒントに生まれた「ドレススノー」

——ファンコミュニティの運営で得られた成果を教えてください。

 最も大きな成果は、ここ数年の業績を大きく引き上げた「ドレススノー」が誕生したことです。コミュニティのコメントをよく見ると、お客様の本音やインサイトをつかめます。そのため、我々社員もコミュニティの話題を見る癖がついているのですが、この商品もまさにインサイトから生まれました。

ファンのインサイトから生まれた「ドレススノー」
ファンのインサイトから生まれた「ドレススノー」

 アテニアのターゲットである40代の方は、肌でいえばシワ対策を行うエイジングケアか、シミ対策の美白ケアかで迷う方が多いんです。多くの化粧品ブランドはエイジングと美白で別々の商品ラインを持っているのですが、コミュニティ内では「本当はシワが気になりつつも美白ラインを使っている」「美白対策に後ろ髪を引っ張られている」といった、どちらを使ったらいいか悩んでいる声がありました。これにより、選ぶことに関するストレスがインサイトとして浮かび上がったんです。

 そこで当初は美白ラインとして出そうとしていたドレススノーを、美白とシワ対策の両方を同時にかなえるスキンケアとして開発し、「私は、選ばない」というメッセージを出しました。商品の機能ではなく、「背景にある『選ぶこと』に関するストレスを解消するためにドレススノーを開発した」という想いが多くの共感を呼びました。これにより、2021年の基礎スキンケアの売上がコロナ禍にも関わらず前年比126%となり、大きな成長となりました。

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参加者の登録数だけでなく「アクション率」を追う重要性

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

土屋 典正(編集部)(ツチヤ ノリマサ)

法政大学法学部を卒業。MarkeZine編集部に所属。

 

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/02/01 07:00 https://markezine.jp/article/detail/41043

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