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米国最新事情レポート『BICP MAD MAN Report』

米国D2Cユニコーンは、「反動」を乗り越えて

 米国やグローバルにおける広告・マーケティング業界の最新情報をまとめたベストインクラスプロデューサーズ発行の『BICP MAD MAN Report』。そのカットアップ版をお届けする本連載、今月は米国D2Cブランドに見る、D2Cビジネスのネクストステージを解説する。(※本記事は、2023年1月25日刊行の『MarkeZine』(雑誌)85号に掲載したものです)

MAD MAN REPORT 60分濃縮セミナーを開催!

 2月28日(火)に、MAD MAN REPORT著者の榮枝洋文さんによるウェビナーを開催します。目の前にある今日明日の課題ではなく、もう少し先にある「日本ではまだ見えていない」現象や、「重要だけど見落としている数字」に目を向け、データ市場の潮流を読み解く60分です。貴重なこの機会をお見逃しなく……!

D2Cマットレスのオンライン販売「Casper」の非上場化の「技」

 「D2C初期」の成長ビジネスモデルが、NYではガラリと次へ転換している片鱗3つを紹介しよう。「D2Cとリアル(店舗)状況」をテーマに、BICPメンバーが「目と、アプリと、足」をデバイスにして、マンハッタン〜ブルックリン界隈のD2Cブランド約70拠点を徹底的にローラー取材した。その時に気付いた事例として、1つ目は寝具マットレスのD2C「Casper」を挙げる。

NoHoにあるCasperの店舗を視察する様子(2022年10月末、Kazuki Nishimura撮影)
SoHoにあるCasperの店舗を視察する様子(2022年10月末、BICP Kazuki Nishimura撮影)

 2014年に創業したCasperは「店舗不要で、寝具のベッド(マットレス)を丸めて箱で配送するD2C」としたカテゴリーを創出した。2018年には、当時米国マットレス小売の「店舗」最大手チェーンの「Mattress Firm」(約3,200店舗)を倒産に追いやるほど、業界の「ディスラプター」として躍進。その勢いで2020年2月(外出自粛の特需が始まる直前!)にIPOを果たしている。

 このIPO資本政策は、マーケティング上の施策に大きな変化を見せる。グロース戦略とした広告と店舗費用投下にアクセルを踏み赤字幅を増やすばかりで、事業価値が作れず経営破綻の秒読みにまで急落したのだ。IPO後たった2年の今年11月、PEファンドへの売却(非上場化)で資金難を切り抜け、創業者は辞任して、新CEOにはリテーラー卸販売の経験が豊富なエミリー・エイレル氏が就いた。

 Casperの創業時は「Sleep Economyの旗手」「Casperは睡眠事業のNikeになる」との新D2C創造の「理想」を掲げていた。一転してエイレル新CEOはD2Cマットレス事業を旧来の王道といえる「店舗チェーンへの卸販売事業主に移行する」「現実の収益性重視(倹約)へ切り替える」方針へと転換し、大手百貨店「Macy’s」の取締役にも名をつらねた。実際、自社店舗の増設を止めてMacy’sだけでなく「Target」、「Nordstrom」などの大手スーパーや百貨店へ卸売りする戦略でスケール化させ、既に店内展示されている。

 もちろん「(高利益率の)ダイレクト=D2C」事業から「(実利の、薄利多売の)卸売り=B2B」への押し戻しの転換は、利益構造が「逆転」する大きな痛手をともなう覚悟だ。取扱量は増えても、中間コミッションと展示家賃などの販管費コストも増加する天秤である。

 D2Cとして旗揚げしたブランドの多くが一度は考えてしまう、マス・スケール化(薄利多売)への目移りとも言われ、「よくあるジレンマ(付け焼き刃)」だ。2023年はこのようなCasperを先例としたCEO交代と「ブローバック(反動、押し戻し)」がさらに多発化する。

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この記事の著者

榮枝 洋文(サカエダ ヒロフミ)

株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)/ニューヨークオフィス代表 英WPPグループ傘下にて日本の広告会社の中国・香港、そして米国法人CFO兼副社長の後、株式会社デジタルインテリジェンス取締役を経て現職。海外経営マネジメントをベースにしたコンサルテーションを行う。日本広告業協会(JAAA)会報誌コラムニスト。著書に『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)。ニューヨーク最新動向を解説する『MAD MAN Report』を発刊。米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/02/02 09:56 https://markezine.jp/article/detail/41066

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