情報接触から見える、アルファ世代の4つのクラスター
アルファ世代についてより詳しく理解するため、インテージではデバイスとコンテンツの利用時間を用いてクラスター分析を行った。すると、4つの利用属性に分類することができた(図表3)。属性ごとにライフスタイルや価値観、保護者のタイプなどに差異があることがわかった。本稿では4つのクラスターについて簡単に紹介する。

クラスター1:テレビ番組好きっ子
全体の27%を占め、平日・休日のテレビ番組・録画番組の視聴時間が長い。学校での過ごし方や授業・行事への関与などの学校に関する意識は、クラスター間で有意差がある項目すべてにおいて最も高く、学校生活に対して好意的だった。消費意識は、新商品よりも今使っているものを買う継続購入意向がクラスター間で有意に高かった。
また、有意差は認められなかったが、海外の学校への進学意向が最も低く、保守的な性格を有していると考えられる。保護者は、教育指導などはせず、子どもを自由にのびのびさせる方針が強い。
クラスター2:テレビで動画っ子
全体の29%を占め、無料・有料ともにテレビで動画の視聴時間が長い。使用可能デバイス数はクラスター間で一番多い。学校に関する意識は、他のクラスターよりもネガティブで、特に運動会などの行事と学校へ毎日通学したい気持ちが有意に低かった。消費意識は、新商品よりも今使っているものを買う項目で有意に低かった。
加えて、有意差は認められなかったが、海外の学校への進学意向が最も高く、チャレンジ精神旺盛な性格を有していると考えられる。保護者は、教育指導などはせず、子どもを自由にのびのびさせる方針が強い。
クラスター3:ゲーム好きっ子
全体の12%を占め、ゲーム全般にあてる時間と無料・有料ともにタブレットを使用した動画の視聴時間が長い。学校に関する意識は、他のクラスターよりもネガティブで、特に授業や話し合いへの積極的な関与と授業の楽しさの項目が有意に低かった。加えて、学習に関する価値観で問題を解くおもしろさが他クラスターに比べ、有意に低かったことから、型にはめた学習方法を好まないことが推察できる。
消費意識は、他クラスターに比べ、衝動買い傾向と毎日の生活を充実させて楽しむことに力を入れたい意識が有意に高かった。以上のことから、型にはまらない今を全力で楽しむ楽観的な性格を有していると考えられる。保護者は、様々な指導方法を試して試行錯誤する傾向が強い。
クラスター4:将来投資っ子
全体の32%を占め、テレビ番組・動画・ゲームのいずれも視聴時間が短い。使用可能デバイス数もクラスター間で一番少ない。学校に関する意識は、クラスター間でポジティブだった。有意差は認められなかったが、学力の高い学校を卒業することを他のクラスターよりも大切だと感じている。
消費意識は、衝動買いをしないようにしている項目が有意に高く、毎日の生活を充実させて楽しみたい項目では有意に低かった。今よりも将来を重視する堅実な性格を有していると考えられる。保護者は、終わるまで細かく教育指導する教育熱心な傾向が強い。
4つのクラスターから見えたもの
デバイスとコンテンツの利用時間は1つのライフスタイルであり、価値観などへ直接的な影響を与えているかはわからない。つまり、因果的な解釈はできないが、行動的指標から分類した結果、クラスター間の心理的違いを把握することができた。