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イベントレポート

ブランドは「n=1」とどう向き合い、価値につなげるか? キリンとスマイルズの実践から紐解く

n=1を捉えにくい時は手紙を書く

高山:お二人がn=1を起点としたアプローチを推進されるにあたって、難しさを感じるポイントはありますか。

野崎:よく「どのn=1を選び取れば良いか」と質問されることがあります。一人ひとりのn=1があるとはいえ、全員分をまとめて平均化しても、多数決をとっても、出てくるものはもはやn=1とは言えないからです。そこでセンスを問われるのが、n=1を汎用化するプロセスです。そのn=1が特定の個人に閉じたものではなく、ほかの誰かにもあてはまる汎用性を備えているか。その点をロジックで補強するようにしています。

平山:キリンのような大きい組織の場合、n=1を想起するハードルがどうしても高くなってしまいがちです。社内の担当者から「オウンドメディアで記事を書いてほしい」と言われたものの、誰に何を伝えれば良いかわからなくなることがあります。そんなとき、僕は担当者に手紙を書いてもらうんです。人は手紙を書こうとする際、受け手を想像しますよね。同時に書き手が自分の考えを言語化するプロセスも発生するため、僕が両者のn=1を理解する手立てになるのです。

ほとんどのマスプロダクトはn=1から始まっている

高山:最後に、n=1を起点としたアプローチから新たに生み出したい価値や、各社でチャレンジしたいことをお話しください。

平山:キリンのようなマスプロダクトを製造するメーカーからも、スマイルズさんのブランドのように、つくり手/受け手のn=1を想像し得る商品が生まれてくると面白いなと思います。マスプロダクトの場合、つくり手の顔が表に出ることは基本的にありませんよね。テレビCMのように、そのブランドがイメージするキャラクターを通して発信するプロモーション手法が一般的です。

野崎:ホンダの「カブ」もソニーの「ウォークマン」も、ほとんどのマスプロダクトはn=1から始まっているはずなんです。むしろn=1がなければ誰にも響かない「n=0」であり、マスプロダクトになっていきません。とはいえ、企業が新たに事業を始める際は、市場動向などのマクロなデータからスタートするやり方が定石です。

 コンサルティング事業を通じて、マスもニッチもn=1から始められるようサポートし続けたいですし、皆が「俺のn=1を見てくれ」と思えるようになれば、働くこと自体が俄然ワクワクしたものになるはずです。

高山:お二人とも素晴らしいお話をありがとうございました。

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/03/01 07:00 https://markezine.jp/article/detail/41336

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