この先、企業に求められるのは「ストーリーテリング」の力
MarkeZine編集部(以下、MZ):CNNでは、世界中の様々な国の企業のプロモーションが日々展開されています。Robさんは、近年の広告業界の動向をどうご覧になっていますか?
Rob:日本でも同様だと思いますが、多くのブランドおよび行政機関が昨今「サステナビリティ」「ESG」にフォーカスしており、CNNでもこの傾向は強くあります。CNNの視聴者においても「ブランドには世の中で起きている様々な問題にしっかりと責任を持ってほしい」「気候変動などの環境問題に対してブランドがどのような貢献活動をしているのか知りたい」といったニーズは非常に大きく、サステナビリティ、ESGのテーマに高い関心が寄せられています。
こうした傾向を踏まえ、企業の広告戦略で重要になってくるのが「ストーリーテリング」です。CSRに関しては広報的な発信だけでなく、アクションを起こしていることが大前提として求められますが、次のステップとして自社のアクションをオーセンティックに伝えていくことが求められます。すなわち、嘘偽りなくかつ誠実に自社のストーリーを伝えることの重要性が高まっているのです。
世の中にインパクトをもたらす「CNN Effect」
MZ:広告として視聴者を惹きつけることを踏まえて、ストーリーを伝える時に大切なことはありますか?
Rob:ストーリーテリングで大切なのは、人間的な要素があることだと思っています。“人”が中心にあるストーリーの中で、その人の情熱や想いまで描き伝える。これによって、視聴者の感情を揺り動かし、アクションをともなった反応、ひいては「CNN Effect(CNN効果)」を生み出すことができるからです。
CNNでは、歴史あるニュースメディアとしての知見を活かし、ブランドが真実をもってストーリーを伝えるためのサポートをしています。CNNの「Branding Studio」では、ブランデッド・コンテンツ(2~3分のショート動画)の制作・配信を支援しているのですが、このブランデッド・コンテンツには往々にして“何かしら素晴らしいもの秘めた人物”のストーリーが描かれることが多いのです。ここでストーリーの主役になる人物は、著名人やセレブリティである必要はありません。私も含めて、誰もが輝かしい素晴らしいものを秘めている。そんなところに焦点を当てたコンテンツが多い傾向があります。
MZ:お話の中に出てきた「CNN効果」とは何でしょうか? 詳しく教えてください。
Rob: CNNが伝える真実のストーリーは、世界中の注目を集め、意見を形成し、市場を動かし、そして変化を生み出します。あるストーリーを伝えた時、それがニュースであれ、スポンサードコンテンツであれ、ブランデッド・コンテンツであれ、目に見える形で大きなインパクトを生み出すことに変わりはありません。我々はこれを「CNN効果」と呼んでいます。
たとえば、CNNでは「CNN Freedom Project」という取り組みを行っています。これは現代の奴隷制度にスポットライトを当て、変革を促すことを目的にしたマルチプラットフォーム上での取り組みです。関連して、学生手動のSNSイベント「My Freedom Day」も開催されており、これには100を超える国々から数千人もの学生が参加。オンラインでのディスカッションやビデオキャンペーンなど、様々な活動が行われています。世界で4億2,500万超の世帯がCNNのテレビチャンネルを視聴し、デジタルでは毎月1億6,600万UUというCNNの影響力とブランドへの信頼性、ストーリーテリングの力によって、社会に大きなインパクトを与えているのです。