広告戦略の鍵は「データドリブン」と「メディアミックス」
Rob:ブランドの広告戦略については、あと2つ重要なポイントがあります。「データドリブン」と「メディアミックス」です。
近年はテクノロジーとデータの力を活かして、デジタルでもマスにも匹敵するリーチを期待できるようになっています。ですが、これを実現するためには、データをもとに自分たちがターゲットとする視聴者の今の姿、今日のトレンドを理解しておかなければいけません。そこで、CNNでは、SNSを含むデジタル上のあらゆる側面から視聴者に関するインサイトを得られる“新しいオーディエンス・インテリジェンス・プラットフォーム”を構築しています。現在、特定のブランドを対象にしたテストケースを開発しているところで、今後日本を含む世界のクライアントへ提供していく予定です。
最後に3つ目ですが、マーケティングキャンペーンを行う際、効率的なメディアミックスを行うことの重要性は、今後ますます高まっていくでしょう。実際、CNNでキャンペーンを成功させたブランドは、既存のテレビCMやデジタル広告、SNS、CTV、音声メディアなどを適切に組み合わせ、CNNをマルチプラットフォームとして活用しています。キャンペーンの目的を達成するために必要なメディアは何なのか? 時にはテレビではなく、SNSのほうが効果的であると判断することもありますし、その逆もしかりです。いずれにせよ、キャンペーンの目的を明確に設定しておくことは、前提として重要です。
MZ:様々なメディアを用いる時、どのようにして統合的な効果検証を行うのでしょうか?
Rob:メディアミックスでの効果検証は、注意を払って行わなければならず、簡単ではありません。やはり、先述した通り、キャンペーンの目的を明確にしておくことは効果検証においても重要です。たとえば、キャンペーンの目的として「エンゲージメントの向上」を設定していたら、SNSを用いて視聴者の感情の動きを分析し定量的な数字を導き出すとともに、定性的なインサイト分析も行います。これらを組み合わせて効果検証をした上で、次のキャンペーンに向けてPDCAを回していくという流れです。
MZ:日本でCNNと言えば、テレビのニュースメディアという印象が未だ強いかもしれません。ですが、もはや“ニュースメディアのCNN”ではないのですね。
Rob:CNNは、グローバルで通用するブランド力とストーリーテリングの能力を有しています。これをもって、視聴者とブランドに適切なコンテンツやサービス、ソリューションを提供するためには、我々は単なるメディア企業ではいられません。最新のテクノロジーを追い掛け、いち早く取り入れていくテクノロジー企業としての側面も必要ですし、クリエイティブエージェンシー、はたまた視聴者の今を明らかにするリサーチ企業としての側面も必要になってくると考えています。