広告運用の効率化に向けて、様々な活用が可能
改めて、広告運用における一般的なフローは、次のような流れが多い。
1.ヒアリングし、課題と目的を明確化する
2.調査を行い、戦略を立案する
3.ターゲットおよび広告媒体を選定する
4.ターゲットや訴求軸に沿った広告コピー、クリエイティブを考案する
5.配信する
6.配信実績を分析し、レポートを作成する
7.必要に応じて改善アクションを行う
上記のフローにおける課題を広告代理店にインタビューすると、以下のような声が寄せられた。
・訴求軸調査やキーワード探索に時間がかかる
・一人の担当者が一つの商材やクライアントを担当しており、新しいアイデアの考案に苦労する
・経験に頼り、過去の勝ち筋であるキーワードを使い回している
・新しいターゲットに刺さるキーワード探索に手が回らない
・改善するにも実績に基づいた改善策の検討に時間がかかる
これらはいずれも構造的な課題であるが、HyperCLOVAを使うことで改善を試みることができる。たとえば、HyperCLOVAを用いてLPなどからキーワードを自動抽出することで、調査にかかる時間を短縮したり。商品カテゴリ/配信媒体/いくつかのキーワード/訴求軸/ターゲットなどをHyperCLOVAにインプットし、各要素に合わせたコピー案を自動で複数生成することで、コピー/クリエイティブの考案を効率化・多様化したり。さらに今後は、HyperCLOVAに蓄積したデータを基に広告効果を予測する機能の提供も予定しているという。
「基盤モデルを実際のビジネスシーンで利用するには、いくつか課題がありました。ベースの基盤モデルでは、事実と異なる内容や不適切な内容を生成する可能性があり、個別の業種や業務の表現や知識に対応できない可能性があったのです。コスト面での改善も必要でした。しかしLINEでは、ベースの基盤モデルを様々なシーンに合わせてチューニングしたりフィルタリングしたりすることで、ビジネスでの活用に最適化する方法を研究してきました」(永野氏)
HyperCLOVAで調査から考案、改善までを幅広くこなすことで、業務効率改善や工数削減になる。そして広告のコンセプトや訴求軸の策定、戦略立案やクリエイティブ制作など、人間の洞察力が必要かつ時間をかけて取り組むべき領域に時間を充てられる。
AIは「人間の仕事を奪うのでは」と話題になることも多い。しかしツールを使うのは人間。人間が本来の力を発揮すべき、よりクリエイティブな部分に注力する時間を作るためにツールを活用するのである。今回は広告文・キャッチコピー生成についての話題だったが、マーケティングの各フェーズで活用できるプロダクトも準備中とのこと。今後の情報にも期待したい。