いつでも、どこでも結果を出せる人の共通点
長谷川氏のキャリアは、業界、役職、国のすべてにおいて幅が広い。幼少期をアメリカで過ごし、日本で学生制時代を過ごした後、新卒で東京海上火災に入社。2002年にP&Gに入社し、「Pampers」や「Braun」「SK-Ⅱ」「Gillette」といったブランドのマーケティング、およびマネジメントを経験した。P&Gで10年間キャリアを積んだ後、楽天に転職。シンガポールでグローバル・マーケティングチームの立ち上げを務め、上級執行役員としてグローバルおよび国内グループ全体のマーケティングを管掌している。
さらに2015年にはFacebook Japanの代表取締役に就任し、在任中は国内におけるInstagramの急成長を牽引した。そして2019年8月、自身の長年の目標であった起業を実現。「ブランドと人の発射台」をミッションに掲げ、ブランド運営や支援、M&A事業を手掛けるMOON-Xを創業、現在に至る。
そんな長谷川氏は、国内外で多くの優秀なビジネスパーソンと共に仕事をする中で、いつも結果を出せる人には共通点があることに気づいたという。
「自分自身を成長させながら、仕事で結果を出して成功するための秘訣は『Plan』『Stock』『Welcome』の3つに集約できます。この3つは、私がこれまで一緒に仕事をしてきた優秀な方たちすべてに共通していたもの。これが継続的に自分を成長させるのです」(長谷川氏)
講演で長谷川氏は、これら3つの秘訣について、それぞれ説明していった。
P&Gで用いられているマネジメント手法を応用
「まずは1つ目のPlanについて。ここでプランニングするのは『自分の人生』です。当たり前ですが、誰にとっても自分の人生は大事ですよね。ですが、どうハンドリングすればいいかわからない方も多いのではないでしょうか。僕自身も人生やキャリアをどうしたらいいかわからず模索していたのですが、その中で衝撃的な出合いがありました」(長谷川氏)
長谷川氏が衝撃を受けたのは、P&Gで用いられているプロジェクトマネジメントの手法だった。この手法では、成功とゴールの定義を明確にした上で、マイルストーンを敷いて進めていくという2ステップが基本になる。プロジェクトマネジメントの手法としては王道かもしれないが、実際にやり切るのは難しい。P&Gは、この2ステップを徹底的に突き詰める環境だったそうだ。
たとえば、Pampersで紙質の柔らかいおむつを発売しようと企画する時。ステップ1では「売上・利益への影響」「その新商品がある場合とない場合で、どのような差分を生み出そうとしているのか」「実際に利用する生活者にとってどのようなメリットがあるか」「Pampersというブランドに対して何をもたらすのか」など、収益面だけでなく様々な視点から成功やゴールを定義していく。
次にステップ2では、定義したゴールを実現するために、いつまでに何をするか、具体的な日付を決めて進めていく。非常にシンプルな2ステップだが、長谷川氏にとっては深い腹落ちがあったという。
「何をもって成功とみなすかの定義を明確にし、具体的なマイルストーンを敷いていくというプロジェクトマネジメント手法を愚直に実行すれば、自身が担当するプロジェクトの成功確率を確実に上げられます。これは、自分のキャリアや人生にも応用できるのでは? と考えたのです」(長谷川氏)