ユーザーにとって有益な情報発信を行う「コンテンツマーケティング」
「大量生産、大量消費は通用しなくなった」といわれる先行き不透明なVUCA(ブーカ)時代においては、商品やサービスの価値をユーザーに伝え、購買につなげるために、ユーザーにとって有益な情報発信による訴求が求められます。
コンテンツマーケティングは、自社で作成したコンテンツをユーザーとの接点として、自社商材の価値を発信する取り組みです。
今回は、コンテンツマーケティングの概要や実施方法を紹介しますので、自社のプロモーション手段でお悩みの場合はぜひお役立てください。
コンテンツマーケティングとは?
コンテンツマーケティングとは、自社の見込み顧客(リード)が求める「コンテンツ(=情報)」を提供し、当該コンテンツを通じてリレーション(関係性)を形成し、自社商材について知ってもらうためのマーケティング手法です。
どれだけ魅力的な商品やサービスを開発したとしても、顧客からの認知を得られず、その価値が伝わらなければ、購買数は伸び悩みます。また、企業起点でただ闇雲に情報を発信するだけでは、顧客離れにつながりかねません。なぜなら、企業が「発信したい情報」は、自社都合に寄ったものが多く、必ずしも顧客ニーズに寄り添っているとはいえないからです。
コンテンツマーケティングで論点となるのはまさにこの顧客ニーズであり、顧客にとって価値ある情報をいわば“お土産”として提供することで、自社や商材について知ってもらうという等価交換を図ります。とはいえ、よく知らない企業の商品やサービスよりも、自分が愛着を持っている企業のものを利用したいと考えるのは自然なことであるため、コンテンツマーケティングで信頼感の醸成を図っていきます。
コンテンツマーケティングは短期的な売上アップという「目に見える成果」にはつながりにくいものの、企業間の競争が激化し、顧客側の比較・検討も容易に行えるようになった現代においては重要度が高いといえるでしょう。
どんな「コンテンツ」を作成するのか?
では、コンテンツマーケティングにおける「コンテンツ」とは、具体的には何を指すのでしょうか。それは、顧客側が求める情報を、記事コンテンツや動画媒体などの何らかの形でパッケージングしたものです。
「コンテンツマーケティング=オウンドメディアによる記事作成」と誤解されがちですが、テキストオンリーの情報発信だけではなく、動画や音声、図表などさまざまなものが含まれます。
企業次第では、何らかのキーワードを入力するだけで顧客が求める情報を伝達するジェネレータのようなツールを活用するケースもあるでしょう。
以上を踏まえて、コンテンツマーケティングで活用されるおもなコンテンツ例を以下に紹介します。
- Webメディアにおけるブログ記事
- ホワイトペーパー
- 動画媒体
- セミナー(ウェビナー)
- メールマガジン
- SNS
- プレスリリース
コンテンツマーケティングとSEOの違い
コンテンツマーケティングと混同されがちなマーケティング手法として、「コンテンツSEO」が挙げられます。
SEOとは「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略で、ユーザーが検索すると予測されるキーワードの検索結果上で表示順位を向上させ、自然(オーガニック)検索経由での流入増を図る施策です。「検索結果で上位表示できるコンテンツ(おもに記事メディア)を作ること」とも言い換えられます。よってコンテンツSEOはあくまでも、顧客が必要とする情報を届けるためのタッチポイントのひとつと認識しましょう。
コンテンツマーケティングで作成するコンテンツのなかには、ブログ記事も含まれると前述したように、両者の関係は「コンテンツマーケティング⊇コンテンツSEO」になっています。
しかし、自社のビジネスモデルや顧客の特性次第では、コンテンツSEOが適さない場合があります。たとえば自社が狙いたいキーワードの「検索ボリューム」が低い場合です。検索ボリュームとは、どれだけのユーザーに検索されているかを表す指標で、SEOで重要な要素とのひとつです。BtoBでは特に顕著で、そのようなケースも珍しくありません。そういった場合は、SEOではなく「ホワイトペーパーの配布」「メルマガ配信」など、別の手法を検討する必要があります。
コンテンツマーケティングが必要とされている背景
以上のような特徴を持つコンテンツマーケティングが日本企業でも必要とされているおもな背景としては、以下の2点が挙げられます。
- 「売り込み型」のマーケティングが通用しない時代になった
- 新たな消費行動モデル「ZWOT」への対応が必要になった
次項より、それぞれ個別に解説します。
「売り込み型」のマーケティングが通用しない時代になった
冒頭でも述べたとおり、ユーザーは自力で商品やサービスを比較・検討しやすくなりました。それにより、企業が当たり前に活用していたテレビCMや新聞広告のようなマス広告、バナーなどのデジタル広告、架電による一方的なセールスといった「売り込み型」のアプローチは通用しなくなりつつあります。
スマートフォンの普及により、ユーザーは知りたいコトやモノに関する情報を能動的に探すようになりました。そのため、新しい商品やサービスに関する情報との接触機会はテレビCMやアナログ媒体の広告よりも、ネット上の方が多くなってきています。
これは何も、BtoC領域に限った話ではありません。元来、「できるだけ多くの顧客を訪ねる」スタイルの訪問営業が重要視されてきたBtoB領域においても、営業手段のパラダイムシフトが起こっています。BtoBでも「忙しいから」と訪問営業を断られたり、「用事もないのに」と心証を損なったりするケースが珍しくなくなってきているのです。
このような背景から、高いクオリティーで情報をパッケージングしたコンテンツを介して顧客と関係性を構築することが求められていると考えられます。
テレビCMもバナー広告も、「自社が届けたい情報」にほかなりません。そのため、さまざまなコンテンツに触れる機会の多いユーザーからしてみれば、チャンネルを変えたり、広告をスキップしたりといった「無視」を行う習慣が浸透しつつあるのが現状です。
さらに、コンテンツSEOで重要な役割を担うGoogleでは、「よりユーザーにとって良質なコンテンツ」を重視したサイトを上位表示させるよう、アルゴリズムのアップデートを繰り返しています。このことからも、自社の顧客ニーズを起点にした情報がいかに重要であるかがわかるでしょう。
新たな消費行動モデル「ZWOT」への対応が必要になった
情報収集が容易に行えるようになった昨今では、顧客の消費行動も大きく変化しました。Googleによって「ZMOT(Zero Moment of Truth)」と名付けられた新たな行動モデルでは、「顧客は店舗を訪れるよりも前に、ネット上でどの商品を購入するかを決めている」とされています。
自分で情報収集を行ったうえで事前に意思決定を行うスタイルの顧客にとって、テレビCMのような売り込み型の広告などはあくまで最初の接点に過ぎず、商品購入の決定打にはなりません。
以上を踏まえると、顧客が求める情報を提供したうえで、自社を選んでもらえる確度を高めるコンテンツマーケティングが注目されている理由がうかがえます。
企業がコンテンツマーケティングに取り組むメリット
コンテンツマーケティングに企業が取り組むメリットはさまざまありますが、代表的なものは以下の4つといえるでしょう。
- コンテンツが「ストック型資産」となる
- 中長期での費用対効果が高い
- SNSと相性が良く、顧客接点が増える
- 顧客ロイヤリティを高められる
以下より、各メリットについて詳しく紹介します。
コンテンツが「ストック型の資産」となる
コンテンツマーケティングで作成するコンテンツは、一度作りさえすれば、その後にわたって自社に残り続ける「ストック型の資産」となります。一度作成したコンテンツを通して、既存顧客との接点を保ち続けたり、新たな顧客からの認知を獲得したりする集客のチャネルになるのです。
また、1つのコンテンツを拡張利用し、さまざまな形で顧客に届けることもできます。
たとえば、ウェビナーで使用した資料は「ホワイトペーパー化して配布する」「記事コンテンツ化する」「内容を切り取ってSNSで発信する」といった使い回しが可能です。
このように、作り込まれたコンテンツは、さまざまな形式のコンテンツにパッケージングできるため、自社にとっては価値ある資産となるのです。
以上の理由から、オウンドメディアはコンテンツマーケティングで形成できるストック型の代表的な資産といえます。
さらに、複数の記事コンテンツや導入事例などを抱えた、自社ドメイン・サーバー内に立ち上げたサイトであれば、新たな顧客の呼水としても、商談時の営業資料としても機能します。たとえば、最初は外部プラットフォームでコンテンツを公開し、安定的なPVが高まったタイミングで自社ドメイン内にコンテンツを移すという施策も有効です。
ドメインの信頼度が高ければ、検索結果で上位表示しやすくなるため、自社ドメインの評価を高めつつ、初期段階からコンテンツSEOによる集客も狙うことができます。
中長期での費用対効果が高い
ストック型の資産になる作成コンテンツは、自社商材の集客やブランディングに寄与するため、場合によっては費用をかけて広告出稿などを行う必要がなくなっていきます。
成果につなげるために継続的な予算投下が必須となる広告出稿に対して、コンテンツマーケティングは軌道に乗りさえすれば、継続するほどに費用対効果が高まっていくのです。自社にノウハウがなく、コンテンツの数もそろっていない初期段階においては一定の費用を要しますが、中長期的に考えると比較的少ない予算で既存顧客との関係性を深めたり、まだ見ぬ潜在顧客にアプローチしたりといったことが実現可能です。
また、作成したコンテンツが残り続けるため、自社で「いったん取り組みをストップする」という選択肢をとっても、顧客との接点は残り続けます。ただし、更新が止まったり取り上げている情報が古くなったりすることで、表示順位や集客効果が下がる可能性もあるため、定期的にブラッシュアップを行いましょう。
SNSと相性が良く、顧客接点が増える
昨今の記事コンテンツや動画媒体では、TwitterやFacebookなどのSNSにシェアするためのボタンがついているケースが、なかば当たり前になりました。そのため、顧客にとって有益な情報を発信すれば、それを閲覧した顧客が自分のSNSアカウントで拡散することによる、相乗効果が期待できます。
これは、「セールスではなく、あくまで役に立つ情報を発信する」「数多くのコンテンツを作成する」という、コンテンツマーケティングの特性とマッチしたものです。場合によっては、顧客が自社商材やサービスの口コミまでプラスしてシェアしてくれるケースもあり、まさに“生きた広告”として機能します。
SNSのシェアが多く行われれば、自社は労力をかけることなく、購買するかどうか迷っている顧客を後押しできます。さらに、購買につながるわけではない「お悩み客」「そのうち客」といった、潜在顧客との接点構築も望めます。
ただし、SNSでシェアされやすくなるということは、過激な内容や間違った情報発信を行ってしまった場合も、簡単に拡散されやすくなるということです。自社のイメージや信頼性を傷つけかねない情報は発信しないよう留意しましょう。
顧客ロイヤリティを高められる
コンテンツマーケティングによる顧客とのリレーションの深掘りを続ければ、顧客ロイヤリティの高まりも期待できます。ロイヤリティとは「信頼」「愛着」といった意味合いです。ロイヤリティが高まっている顧客は、自社のファンであるともいえるでしょう。
顧客にとって価値あるコンテンツを作ることでロイヤリティの醸成を狙うためには、コンテンツに触れた顧客の反応をデータとして蓄積し、分析したうえで、発信する情報をさらにブラッシュアップし続けなければなりません。
たとえば、コンテンツSEOでは「アクセス解析ツール」「ヒートマップ」といったツールを利用して、顧客の流入経路や関心度の高いセクションを可視化することで、自社で今後制作するコンテンツの内容に反映できます。
顧客ロイヤリティは、こういった地道な取り組みを繰り返してやっと醸成できるものです。ロイヤリティが高まれば、自社の商品やサービスに関する情報に興味を持ってもらいやすくなり、顧客のニーズが顕在化したタイミングに自社が想起されやすくなるでしょう。
コンテンツマーケティングのデメリット
コンテンツマーケティングはメリットだけでなく「コンテンツの作成に時間とコストがかかる」「短期間で成果につながりにくい」などのデメリットも存在します。具体的に解説しますので、自社で取り組む際の参考にしてください。
コンテンツの作成に時間と予算がかかる
コンテンツマーケティングで顧客にとって価値ある情報と届けるためには、多くの時間的・予算的なコストが求められます。これは「コンテンツ発信段階では認知されていない」というだけの意味合いではなく、顧客がどんなニーズやウォンツを持ち、どんな情報に関心があるかを精度高く把握する必要があるということです。顧客が求める情報を可視化したうえで、質の高いコンテンツを大量に作成するためには、数年スパンでの時間がかかるでしょう。
たとえば、検索結果における上位表示を目指すコンテンツSEOの場合、検索結果1位~10位の上位記事を参考にして、顧客の検索意図を分析し、競合他社以上に充実した記事コンテンツを作成する必要があります。
また、コンテンツ作成を外部の制作会社に依頼する場合は、やり取りに要する時間やコストも膨れ上がる傾向にあります。とはいえ、コンテンツ作成を内製化する場合は、社内の体制構築や人材育成が間に合わないというケースも往々にしてあるでしょう。
ただし、こういった課題はコンテンツマーケティングに着手するあらゆる企業が直面するものともいえます。そのため、これらの課題をクリアし、コンテンツマーケティングの取り組みを効率化できれば、他社よりも優位なポジションを築ける可能性もあるでしょう。
短期間で成果につながりにくい
コンテンツマーケティングは、短期目線では成果につながりにくいと前述しました。これは、社内で施策の必要性やコストパフォーマンスを説明する際、明確な効果を“見える化”できず、上長やメンバーからの承認を得づらいということを意味しています。
自社でコンテンツマーケティングに取り組む際は「すぐに効果が出るものではない」という前提を社内のあらゆるステークホルダー(利害関係者)に共有し、理解を得なければなりません。
もし、コンテンツマーケティングが短期間で成果につながることを強く望まれているなら、自社が解決すべき課題は別にある可能性があるので、別の手法を検討する必要があります。
このように、コンテンツマーケティングでは「中長期的なビジョンは描けるか」「成果が出るまでのリソース(予算や人材)を用意できるか」という点において課題が発生しがちです。
一方で、それさえクリアできれば、将来的には自社に貢献してくれる取り組みであるともいえます。
企業でコンテンツマーケティングを実践するためのステップ
コンテンツマーケティングの実施手順は企業によって異なりますが、一般的には以下の手順で行います。
1.課題を起点にして施策の目的を明確化する
2.顧客分析を基にペルソナ設計を行う
3.コンテンツマーケティングの戦略オプションを策定する
4.施策ごとの評価指標(KGI・KPI)を定義する
5.PDCAサイクルによる施策の効果改善
1.課題を起点にして施策の目的を明確化する
コンテンツマーケティングに取り組む際は、まずは自社で解決したい課題を明確にする必要があります。
ここでいう課題とは「新規顧客の獲得」「新商品・サービスの認知拡大」「単純想起の実現」などです。自社が抱える課題とリソース次第でどういった手法を採るかが異なってきます。
たとえば、新規顧客の獲得を増やす場合は「コンテンツSEO」「SNS運用」、リスト確保した顧客の純粋想起を狙っていく場合は「メルマガ配信を最優先」といったように、自社のビジネス要件に伴って複数のアプローチ手段が検討されます。
ただし、前述したように自社が抱える課題が「短期目線での業績改善」などである場合、コンテンツマーケティングではなく広告キャンペーンなどを実行すべきでしょう。
2.顧客分析を基にペルソナ設計を行う
コンテンツマーケティングは、顧客にとって価値ある情報を届けるマーケティング手法です。そのため、前提となる顧客ニーズの理解は必須要件であるといえます。顧客ニーズを理解するためには、自社が狙うべき理想の顧客像である「ペルソナ」を設計すると効果的です。
ペルソナ設計では、漠然とした興味関心だけでなく、年齢や職業、家族構成、普段とっている行動などをできるだけ具体的に定義します。それによって、コンテンツマーケティングで届けるべき情報を詳細に把握できるだけでなく、長期目線でも発信内容にブレが生じにくくなるのです。
3.コンテンツマーケティングの戦略オプションを策定する
手順2で設計したペルソナが購買に至るまでには「認知→関心→比較→検討→購買」と、複数フェーズに分かれた行動をとります。ペルソナが位置するフェーズに応じて、届けるべき情報や顧客接点も異なるため、コンテンツマーケティングはこれを踏まえた「顧客接点」「届けるべき情報」を可視化しなければなりません。
ペルソナの行動を整理するうえでは「カスタマージャーニーマップ」の作成が推奨されます。カスタマージャーニーマップとは、顧客が自社商材を認知し、購買に至るまでの行動の流れをマッピングしたもので、各フェーズにおける顧客接点やペルソナの感情や行動を整理する役割を担うものです。
カスタマージャーニーマップを作成すると「ペルソナが何を考え、どう行動するのか」がわかるため、コンテンツマーケティングを体系的に実施できます。たとえば「認知前のペルソナに対しては、SEOとSNSで接点構築を図る」「関心の段階にあるペルソナなら、メルマガ配信やウェビナーも組み合わせる」などです。
4.施策ごとの評価指標(KGI・KPI)を定義する
「誰に、どのようなコンテンツを届けるか」が決まったら、コンテンツマーケティング施策の「KGI」「KPI」を設定します。それぞれの用語の意味については、以下のとおりです。
KGI(Key Goal Indicator )……コンテンツマーケティングで達成すべき最終ゴール
KPI(Key Performance Indicators)……KGIを達成するために必要な中間目標
上記のとおり、KPIは最終ゴールに至るまでの中間ゴールであり、複数設定する必要があります。たとえばコンテンツSEOなら「各ページの順位」「ページごとのCV数(率)」、メルマガ配信なら「開封率」「メールごとのCV数(率)」などをKPIとして設定するとよいでしょう。
このように、コンテンツマーケティングにおけるKPI設計は、施策ごとに行う必要があります。目標数値を設定する際には「ペルソナを次の購買ステージに進めるためには、どうすればよいか」という視点を持ちましょう。
5.PDCAサイクルによる施策の効果改善
コンテンツを配信したあとは、新規のコンテンツ作成と並行しつつ、手順4で定めたKPIの達成度合いを確認し、効果測定を行います。
この際、さまざまな分析ツールを活用する必要があります。たとえば、コンテンツの場合「Google アナリティクス」「Google サーチコンソール」 といった無料の分析ツールでも、各記事コンテンツの「PV数」「イベント数」などの数値測定が可能です。
企業のコンテンツマーケティングに役立つツール例
コンテンツマーケティングを実施する際には、以下のようなデジタルツールの活用も求められます。
- MA(マーケティングオートメーション)
- CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)
- Googleアナリティクス
- Googleサーチコンソール
以下より、それぞれについて解説しますので、お役立てください。
MA(マーケティングオートメーション)
昨今の企業のマーケティングシーンでは「MA(マーケティングオートメーション)」の活用も主流になりました。MAは、コンテンツマーケティングにおいても有益なツールです。
MAに期待される主要機能は「マーケティング活動における特定のプロセスや業務を自動化すること」であり、導入により「作成したコンテンツのメルマガ配信」「顧客データの収集・分析」などの業務を自動化できます。
さらには、コンテンツマーケティングのチーム内で蓄積した顧客情報をインサイドセールスや営業部門などに漏れなくパスすることで、他部門まで含めた効率化が可能です。
しかしながら、MAツールは導入したからといって、必ずしも成果につながるものではありません。MA導入を成功させる勘所として「何をどう自動化するのか」という、活用範囲の把握が求められます。
CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)
CMSとは「Contents Management System(コンテンツ・マネジメント・システム)」の略で、コンテンツマーケティングでSEOを実施する際には必須ともいえるツールです。CMSには、オウンドメディアの構築や記事コンテンツの更新をするための必要機能が実装されています。
ツールにより機能や難易度は異なりますが、CMSを使えば専門知識がなくても比較的簡単にコンテンツの編集や公開が可能です。有名なCMSとしては、WordPressが挙げられます。
Googleアナリティクス
Googleアナリティクスは、Googleが提供している無料のアクセス解析ツールで、CMSと同様にコンテンツSEOにおいて重要なツールの一つです。Googleアナリティクスを使えば、自社サイトの獲得流入数や流入経路、訪問ユーザーがサイト上でとった行動を可視化できます。
Googleサーチコンソール
Googleサーチコンソールは、Googleアナリティクスとは逆にユーザーが自社サイトに“訪問する前”の行動を調べるツールです。流入前にユーザーが調べたキーワードや、各ページの平均掲載順位やクリック率などがわかり、これから作成するコンテンツSEOにも役立ちます。
コンテンツマーケティングの成功事例
ここからは、コンテンツマーケティングの成功事例について紹介します。成果につながった例を確認し、自社の取り組みに役立てましょう。
「カインズ」のオウンドメディア活用事例
関東を中心として、全国200店舗以上を展開するホームセンター事業者の株式会社カインズは、オウンドメディア「となりのカインズさん」を運営しています。同メディアでは「飯盒で上手にご飯を炊くコツ」「【ベランダガーデニング】マンションで出来るおすすめポイント」などのお役立ちコンテンツを発信し続けてきました。
さらに、「ホットサンドメーカーに肉をぶち込むだけ。“絶望的に頭の悪い”家飲みレシピを教えよう」「信長もビックリ! ホームセンターの野望2020」といった、キャッチーなタイトルの記事が散見されるのも特徴です。
同社のコンテンツマーケティングでは、オウンドメディア活用を全社改革のためのプラットフォームと位置づけ、自社メディアを通じた“リアルとデジタルの融合”を目指しています。また、クオリティーや世界観を押し付けないことを前提としたうえで、コンテンツの差別化や多様なコンテンツ作成に取り組んでいる点も特徴的です。
このような取り組みを通じて、同社が「第3の創業期」として注力したコンテンツマーケティング施策では、メディア立ち上げから約1年で月間400万以上のPV数を獲得し、実店舗への送客にも成功しています。
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PVは60%、資料DLは50%増加した「契約ウォッチ」の事例
株式会社LegalOn Technologies(リーガルオンテクノロジーズ)が運営する契約審査プラットフォーム「LegalForce」では、2020年8月にオウンドメディア「契約ウォッチ」を立ち上げています。「立ち上げ当時は契約にまつわるメディア自体存在しなかった」と語る同社のコンテンツマーケティングでは「PV」「資料のダウンロード数」「新規顧客の獲得数」をKPIに設定し、施策を改善しました。
同オウンドメディアで取り扱うコンテンツは、高い専門性が求められる「YMYL(Your Money Your Life)」ジャンルであり、SEOにおける難易度も高い傾向にあります。そこで同社では、「一次情報の記載」「専門性の高いコンテンツ制作」「リライト体制の構築」などを実施し、信頼性や親しみやすさ、わかりやすさを重視 したコンテンツ作成を行っています。
さらに「SNS運用」「LINEスタンプやホワイトペーパーの提供」も行った結果、PVは2021年5月から2022年5月までに約63%増加し、資料ダウンロード数は約50%増加しました。
BtoB領域においても、コンテンツマーケティングがコンバージョン増加に寄与することを
示す事例といえるでしょう。
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「大丸松坂屋百貨店」のYouTube活用例
株式会社大丸松坂屋百貨店では、運営するYouTubeチャンネルの再生回数が100回ほどという状況を受け、コミュニケーション戦略を再定義しています。
たとえば、北海道市や食品催事に興味のある幅広い年齢層へのリーチを狙ってYouTube
広告を配信した際には、2021年の北海道市オンラインショッピングの売上は前回開催比約2.58倍に増加するといった成果につながりました。紙媒体を中心とした宣伝戦略を行っていた企業がデジタルシフトを成功させた事例として、印象に残ります。
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まとめ
コンテンツマーケティングとは、「顧客が必要とする情報を発信する→その結果として、自社商材に興味をもらってもらう」という仕組みにほかなりません。顧客による商品やサービスの比較・検討が容易になり、売り込み型のアプローチが通用しなくなった現代において、コンテンツマーケティングは重要度の高い施策といえます。
顧客へのアプローチ手段は多岐にわたりますが、自社の強みや目標などを踏まえて適切なアプローチを行うことで、成果につなげていきましょう。