電通デジタルは、日経BPコンサルティングに委託し、「日本における企業のデジタルトランスフォーメーション調査(2022年度)」を実施し、その結果を発表した。同調査は2017年以降、経年で調査を続け、今回で6回目となる。
84%の企業がDXに着手、2021年から3%微増
まず、DXの取り組み状況について調査を行った。DXに着手している企業は84%となり、2021年度から7%、2020年度から10%増加という結果となった。
DX推進の障壁は全体的に減少傾向、DX推進環境が整備
次にDXを推進する上での障壁について調査を行った。
最も障壁となっているのは、投資コストで23.2%となった。ただ、2019年度と比較すると、-8.9%となっている上、その他すべての項目で減少していることから、DX推進の障壁は低くなっているということが見て取れる。
75.4%の企業がDXの成果が出ていると回答、2021年から5.5%増
DXの成果創出については、2021年度と比較して5.5%増加の75.4%が成果が出ていると回答。
また、領域に関しては、「業務プロセス/業務システムの改善」といった以前からの改善領域に加え、「部門間連携の強化」「デジタル戦略に即した組織開発・再編成」「イノベーション文化の醸成や推進」「デジタルスキルを向上させるための人材開発・教育・採用」など、組織/企業文化/人材といった基盤領域の伸びが高いことがわかる。
「ミッション・パーパス」の実践度が高い企業ほどDXの成果が顕著
続いて、「ミッション・パーパス」の実践度合いについて調査を行った。
結果としては、ミッション・パーパスの実践ができている企業はできていない企業と比較して大幅に成果が出ていることがわかった。
特に、「『ミッション』や『パーパス』が戦略や思想にとどまらずアクションプランにまで落とし込まれている」企業の79.0%が成果が出ていると回答しており、DX成果が出ていない企業と回答した14.4%と比較して、64.6%の差が出ている。
過去6年間の調査結果から見た、DX成果創出と持続的成長に向けた8つのKSF
続いて、過去6年にわたる調査結果からDX成果創出と持続的成長に向けて8つのKSFを算出した。
結果は以下の通り。
- ミッションやパーパスなどの経営ビジョンに基づき社員が行動
- 組織・人事の変革が行われDX専門組織を起点に社内の部門間連携が円滑
- DXによるビジネスインパクトは中長期視点で管理
- 顧客と従業員の満足度は同等に重要視
- 社会課題解決は自社の重要課題と位置付け事業として取り組む
- 顧客資産を重要視し、顧客体験価値を高め続ける取り組みを実施
- データの利活用サイクルが確立され、データ活用人材の育成強化に積極的
- 社内・社外問わず人材交流や協働、共創が活発
実際、成果が出ている企業、出ていない企業で8つのKSFの実践度を比較すると、DX成果ありと回答した企業の約80%が実践していることがわかる。
【調査概要】
対象者:従業員数500人以上の国内企業所属者
サンプル数:3,000
対象者の業種:全業種※日経BPグループモニターおよび提携モニターを対象
対象者の所属:経営・社業全般、経営企画・事業開発、営業/営業企画・販売、カスタマーサービス、製品開発、企画・調査・マーケティング、デジタル統括/推進、IT/情報システム、広報/宣伝
対象者の役職:経営者・役員クラス、本部長・事業部長/部長クラス、課長クラス、係長・主任クラス
時期:2022年12月12日~12月21日
主な項目:DXの取り組み状況、DXの取り組み領域、DXの計画・推進上の障壁・課題、DX人材に関する具体的な課題、など
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