※本記事は、2023年4月25日刊行の『MarkeZine』(雑誌)88号に掲載したものです。
米国のリテール企業「Target」が見せる、大きな進化
米国リテールの店舗(オンライン店頭を含む)での刻々とした変化を定点観測していると、日本の2〜3年後に応用できるヒントが満載だ。米国リテールの観測リストとして、計60店舗以上(食品スーパー・百貨店・ドラッグストア・家電量販店・ホームセンター・SOHO周辺のD2Cブランド店など)をBICPチーム(含む筆者)でモニタリングしている。米国代表東西5州における今年の米国流通の最新エッセンスを抽出し、リテール大手「Target」の3ステップとしてお伝えしよう。
米国におけるTargetは、「Walmart」「Amazon」「Costco」「Kroger」「Walgreens」と共に、食品・日用品カテゴリーでリテーラーTOP6に入る。これは2014年に経営再建を期待され就任したブライアン・コーネルCEOとそのチームによる功績と言える。
Targetが見せた3ステップ
- 「売り場」本位ではない、顧客の「買い場」の創出:売り手発想の「品揃え」を超え、「商品単位(サービス単位)」で、「買い場」を提供している。「売り場作り」の発想ではなく、「買いに行く動機」を作る姿勢だ。
- プライベートブランド(PB)への投資比率の大きさ:Targetをはじめとする個性あるリテーラーは、「パーパス(意義・姿勢)」への賛同を募り増やす役目としてPBを展開している。「コスパが高い」CPG商品を並べて利ざやを刈り取る姿勢ではない。
- 「デザイン」の分野への「兆円投資」(数年スパン):デザイン分野への投資とは目に見える「パッケージ」や「店舗レイアウト」への投資判断だけでなく、店頭社員の行動や顧客経験のアップグレードまで見えざる部分も見据えた投資だ。