SNSで見えた「買うべき美容アイテム」への不信感
上記のような美容トレンドがありつつ、SNS上の美容発信自体に対しても、注目すべきトレンドがあります。
ここ最近、TikTokで新たなトレンドとなりつつあるのが「deinfluencing(ディ・インフルエンシング)」と呼ばれるムーブメントです。SNSのインフルエンサーたちは様々な方法でオススメの商品を紹介し、消費を促しています。その結果、必要のないものまで買ってしまいお金を浪費してしまうという生活者が増えています。
Metaが実施した調査によると、Instagramでサービスや製品を見た消費者の54%がその直後や、しばらく時間を置いた後に購入を行っているという結果が出ています。
こういった昨今の消費行動に対し、ディ・インフルエンシングを行うクリエイターたちは、流行りに乗せられて不要なものを買わないように呼びかけるコンテンツを発信しており、TikTokの#deinfluencingというハッシュタグは、これまで累計3億2,000万回以上も表示されています。
このムーブメントはまだ日本国内では話題になっておりませんが、SNS上の美容コミュニティでは、美容インフルエンサーが進めるアイテムに対し不信感を抱く声が見られ始めています。
この1年間で、医学的根拠のない化粧品に対し薬機法を犯して宣伝しているインフルエンサーや、次から次へとコスメを絶賛してアフィリエイトリンクへ誘導させるインフルエンサー、「使ってみて良かったから紹介している」と言いながら実はステルスマーケティングだったことが発覚したインフルエンサーがバッシングを受けるといった出来事が起こっています。
また、ステルスマーケティングや見境のないインフルエンサーPRが多すぎる商品は、効果があったとしてもブランドイメージは悪いという意見も見られました。
こういった背景もあり、SNSの美容情報に対して「信頼感」や「自分に合っているかどうか」を重視し取捨選択する動きはますます強まっていくと考えられます。
フォロワー数の多い美容インフルエンサーが耳ざわりの良い言葉で絶賛すれば話題になる時代は過ぎ去り、ユーザーが商品・ブランドに信頼感を持てることや、自身の顔立ちや肌質(体質)などに相性の良さを感じられることが、選ばれる情報のポイントになりそうです。