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アソビュー録:顧客起点マーケティングの実践例

「顧客起点マーケティングの裏テーマは、数字と統計的処理の限界からの脱却」アソビュー宮本×西口一希対談

Howで伸ばした売上は、一過性のもので持続しない

西口: 9segsの結果を分解して、その裏側にあるお客様の心理を理解し、仮説をもって次の打ち手を考えていくという顧客起点マーケティングの一連の流れを、もうアソビューの幹部のみなさんはできるようになっています。正直、僕がやることはもうあまりなくて、そろそろお役御免かなと思っているんですが(笑)。ただ、それでも時々、顧客とは関係ないことを突然おっしゃったりするんですよ。そこで、僕が「そこはこうなのでは?」と言うと、自分たちが顧客起点から外れていたことに気づいて、みなさん落ち込まれる(笑)。この、すぐ気づける状態になっているというのが、とても良いことだと思うんです。

宮本:僕はITベンチャーからキャリアを始めていて、グロースハックやプロモーションなどの“How”をずっとやってきました。いわゆる、デジタルマーケ畑の出身です。それまで長年しみついた思考のクセはなかなか抜けなくて、「Howの施策でKPI(数字)を改善しよう」という考えにすぐなってしまうんですよね。西口さんには、そういった思考をチューニングしていただいていると思っています。

西口:ここはとても重要なポイントで、事業主側にいると絶対にそうなってしまうんです。僕も事業主の代表を経験し、今も自分の会社を経営しているので、目の前の数字を追ってしまう気持ちや感覚はわかります。ただ、短期の売上・利益をあげることと、中長期的に継続する売上・利益を作ることは、必ずしも同じではありません

 Howで作った売上は一過性のもので、そこに貢献している顧客層も部分的です。このことを理解した上でやるならば問題ありませんが、本来は中長期に残るお客様を獲得し続けて、お客様の満足度を高め続けることで、短期の売上・利益をあげ、また中長期の売上・利益も伸ばしていくというのが健全なあり方です。

 では、短期的に今やるべきことと長期的にやるべきことを、どうやって一致させるか? その解は、顧客を理解することにしかありません。

N1をイレギュラーの外れ値とするか、重要な「1」とするか

宮本:会社で日々ビジネスをする中で、お客様起点ではなく、自分起点、会社起点になってしまう瞬間やイベントはたくさんあります。たとえば、「このKPIを上げたら、チームや会社に評価されるだろう」というような、人事評価や社内のコミュニケーションの枠組みなどもそうです。顧客起点の意識が自分から抜けないようにするためにも、N1インタビューは今も継続していますし、やり続けるより他はないと思っています。

 そして、今僕が一番カロリーを使っているのは、顧客起点の意識を社員全員に浸透させるための取り組みです。最近、僕のフィードバックに対して、社内のメンバーから「宮本さんが持ってくる課題はイレギュラーな感じがする」と言われることが度々あって。これをイレギュラーで片付けてしまうのか、重要なN1として見るかの議論をよく行っています。会社全体に顧客起点の意識を根付かせるのは、本当に難しいですね。

MZ:社員のみなさんに顧客起点の意識を浸透させるために、どのような取り組みを行われているのですか?

宮本:N1インタビューは、しっかりインタビューできる社内のメンバー複数名により交代で行っているのですが、「この回は、〇〇部署のみなさんもオンラインで参加してください」といった具合で、社員全員にN1インタビューに参加してもらうようにしています。「お客様のこの声は、外れ値ではなく、アソビュー!のこの便益を研ぎ澄ませていくために必要なプロセスなんだ」という認識を社内共通のものにしていくためです。この地道な取り組みをやり続けていくことで、より多くの顧客の課題を解決できるようになるのだろうと思っています。

アソビュー!の顧客起点マーケティング事例の詳細は、アソビュー 専務執行役員 CSMO 宮本武尊氏による全3回の寄稿「アソビュー録:顧客起点マーケティングの実践例」で公開しています

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顧客から目を離さなければ、経営者としてずっと成功し続けられる

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/06/05 08:30 https://markezine.jp/article/detail/42202

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