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マーケティング最新事例2023

「出会い系」の先行イメージを越えていく。「人との出会い・普通の価値観」すらも変えるTinderの視座

みんな使っているけど、自分は使わない?マッチングアプリのパーセプションを変えていく

MZ:Tinderのブランドコミュニケーションについても、お話を聞かせて下さい。まずは、Tinder自体のプロモーションについて。日本でも斬新な施策を色々実施されてきましたよね。

永野:Tinderのプロモーションにおいては、第一に認知度を上げることを重要視しています。次に意識しているのは、「みんなTinderを使っているけど、自分が使うものではない」というTinderに対する認識を変えることです。人との出会いは、あらゆる人に関係すること。以前のプロモーションでも言っていますが、Tinderはすべてのシングルメンバーを歓迎しています。まずは使ってみて、どんな世界が広がっているのかを体験してみてほしいという考えで、プロモーションを企画しています。

MZ:ユーザーの半数以上がZ世代ということなので、コミュニケーションで用いる媒体はSNSが中心になってくるのでしょうか?

永野:はい、広告を展開する時はデジタル広告が中心です。加えて、Tinder Japanは、渋谷という街にすごくこだわりを持っています。日本ではこれまで渋谷をTinderの中心地として、OOHを含むほとんどすべてのプロモーションを渋谷で行ってきました

MZ:渋谷にこだわる理由は?

永野:そもそも、日本で最もTinderのアクティブユーザー数が多いエリアが渋谷というのにも理由にありますが、若者の文化が広がっていくとき、その中心に渋谷という街があると考えているのが大きいですね。若者が集まる渋谷では色んなドラマや青春が繰り広げられている。そんな側面に着目しています。

 2022年には、渋谷でブランドキャンペーン「Swipe Mart」も実施しました。「一瞬で青春。」というコピーのもと、3日間限定でTinderコンビニをオープンし、アプリ利用者にグッズを配布したり、フォトブースを店舗内に設けたりしたのですが、本当に大きな反響がありました。マッチングアプリは食料品や生活用品などの生活必需品ではないため、自分に関係あるものとして目を留めてもらう、気に留めてもらうには、サプライズファクターとなるような面白い要素、若年層が惹きつけられるような材料が必要です。その意味で、「Swipe Mart」はTinderの認知および話題化という目的をしっかり達成できた施策だったと思っています。

2022年実施の「Swipe Mart」
2022年実施の「Swipe Mart」

“出会い”を提供しているTinderが果たすべき責任

MZ:Tinderは、アプリサービスのプロモーションだけでなく、様々なテーマにおいて社会的な啓蒙活動も行っています。コロナ禍では「ワクチンの接種状況」や「ワクチン接種に対する考え方」をアプリ内で表現できる施策を展開したり、2022年の参議院選挙では投票を呼び掛けるキャンペーンも行われていました。ここでは、直近の取り組みとして、2023年4月にオープンされたオリジナルサイト「Let’s Talk Gender」についてお話を聞きたいと思っています。

永野:「Let’s Talk Gender」は、多様なジェンダーについて学び、みんなが考えを深めることのできるサイトとしてオープンしました。我々には、“出会い”に関するサービスを提供している者としての責任があります。メンバーはもちろん、Tinderを現在利用していない人も含めた社会全体に向けて、ジェンダーについて知り、考え、対話を促していくようなきっかけを提供したいという考えで、「Let’s Talk Gender」を制作しました。

「Let’s Talk Gender」制作にあたっては、エディター・フォトグラファー・ライターとして活動している中里虎鉄さん、ライターの大谷明日香さん、イラストレーターのAdaさんなどが担当
「Let’s Talk Gender」制作にあたっては、エディター・フォトグラファー・ライターとして活動している中里虎鉄さん、ライターの大谷明日香さん、イラストレーターのAdaさんなどが担当

 「Let’s Talk Gender」のサイトの制作にあたっては、本当に素晴らしいチームのみなさんが集まって下さいました。メンバーの大半はLGBTQ+コミュニティの当事者です。やはり、Tinderではなく、当事者のみなさんに語っていただくことでしか伝えられないものがあったように思います。

多様な性の在り方を伝えるため、LGBTQ+コミュニティの10名へのインタビュー内容も掲載
多様な性の在り方を伝えるため、LGBTQ+コミュニティの10名へのインタビュー内容動画も掲載

MZ:UI/UXを見ても、こだわりを持って制作されたことが伝わってきます。

永野:サイトのビジュアルそのものが素晴らしいのはもちろんですが、「自分は関係ない」ではなく、誰が見ても「これは自分にも関係あるかもしれない」と立ち止まって、自分ごととして捉えられるようなサイトにしたいと思い、制作を行いました。

 たとえば、このサイトには区切りや終わりがありません。一つのコンテンツを読んだら、その下のコンテンツへと流れるようにただ読み進めていく、という作りになっています。このサイトにあるコンテンツはすべて必要なもので、一つも無駄なものはありません。サイトに載せているコンテンツは情報量としては多いかもしれませんが、だからこそ、すべて読んでもらえるような仕組みにしています。

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みんなで「これまでの普通」を塗り替えていきたい

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2023/06/13 09:30 https://markezine.jp/article/detail/42285

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