サイカは「テレビCMのクリエイティブ評価の実態調査」を実施し、その結果を発表した。同調査により、多くの広告主企業がテレビCMのクリエイティブ評価を実施する一方で、評価結果をクリエイティブの改善に十分に活用しきれていない実態が明らかになった。
同調査が行われた背景として、テレビCMの投資対効果が測りにくいことがある。テレビCMの効果を左右する大きな要素の1つとして「クリエイティブの質」が挙げられるが、広告クリエイティブの質は客観的に評価しにくいためだ。
同調査はそうした広告クリエイティブの実態を明らかにすることを目的に、広告宣伝担当者401名を対象に行われた。調査結果の概要は以下の通り。
調査結果サマリー
- クリエイティブ評価の実施形態は、テレビCMのオンエア前後どちらか一方のみで評価を行う企業が過半数
- オンエア前に実施した評価結果のクリエイティブ改善への活用に課題を抱える企業がおよそ6割
- オンエア後に実施した評価結果の次作以降のクリエイティブ改善への活用に課題を抱える企業がおよそ7割
- 評価結果をクリエイティブ改善に活用する際の課題を問う設問では、「評価結果から抽出した改善点を制作に落とし込むことが難しい」と回答した企業が半数を超えてもっとも多く、また、そもそも「評価結果から改善点を抽出することが難しい」との回答が次いで多い結果となった
- クリエイティブ評価を実施していない企業にその理由を問う設問では、「評価する方法がわからない」との回答が最多
テレビCMのクリエイティブ評価の実施有無については、オンエア前後の両方でクリエイティブ評価を行っている企業はおよそ2割にとどまり、オンエア前後どちらか一方の評価のみを行う企業が過半数となった。また、クリエイティブ評価を実施しない企業もおよそ2割存在した。
テレビCMのクリエイティブ評価を実施すると回答した306名に対し、評価の手法について自由記述形式で調査したところ、以下のような回答を得た。
- アンケート調査
- 委託先(広告代理店・コンサルタント・調査会社など)による調査
- サンプル抽出調査
- SNS調査
- AIを活用した調査
- アイトラッキング調査
また、オンエア前にクリエイティブ評価を実施すると回答した202名に対し、評価結果の活用状況を調査したところ、およそ9割の企業が「活用している」と回答した一方、「十分に活用できている」と回答した企業はおよそ3割にとどまり、およそ6割の企業が評価結果のクリエイティブ改善への活用に課題を抱えていることがわかった。
一方、テレビCMのオンエア後にクリエイティブ評価を実施すると回答した193名に、オンエア後の評価結果を次作以降のクリエイティブ制作に活用しているかを調査したところ、およそ9割の企業が「活用している」と答えた。しかし、オンエア前のクリエイティブ評価を実施している企業と比較して「十分に活かせている(15.0%)」との回答が13.7%減少。次作以降の制作に評価結果の活用する点で強く課題を抱えていることがわかった。
また、「課題がある」と回答した164名に対し、課題の具体的内容について聞いたところ、「評価結果から抽出した改善ポイントを制作に落とし込むことが難しい」との回答が半数を超えた。次いで、「評価結果から改善ポイントを抽出することが難しい」との回答が多かった。
次に、クリエイティブ評価を実施していないと回答した208名に対し、その理由を調査したところ、その理由として、「評価する方法がわからない・知見が足りない」との回答がもっとも多く、次いで「社内の体制が整っていない(人手が足りない等)」との回答が多くなった。
【調査概要】
調査名:テレビCMのクリエイティブ評価の実態調査
調査対象期間:2022年9月
調査方法:Webアンケート調査
調査対象:以下の条件を満たす401人の広告宣伝担当者
・テレビCMを出稿している企業に勤務していること
・その企業において、テレビCMの出稿業務に関わっていること
・出稿したテレビCMの効果測定業務に日常的に携わっていること
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