保有すると強い資格は「統計検定」「ウェブ解析士」
その他の要素で見ると、保有する資格によっても年収に差がついてきます。
表はマーケティング職の保有資格ごとの平均年収と、マーケティング職全体の平均年収との差をまとめたものです。これによると、「統計検定2級」を保有するマーケティング職の平均年収は698万円で、全体の平均年収より150万円高くなっています。

マーケティング職では、特にリサーチや定量調査などの業務において高度な数値分析の能力を求められます。「統計検定」の保有者は、そうした能力に秀でていると評価されやすく、それが年収面にも表れていると考えられます。
また、「Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ)」は特にWebマーケティングで役立つ資格で、保有者の平均年収は603万円、全体の平均年収を55万円上回っています。加えて、「ウェブ解析士(初級)」の保有者の平均年収は587万円と、こちらも全体を39万円上回っていました。
「リサーチ専任人材」は大企業に限られるが高年収
資格のほか、経験職種や保有スキルも、年収を左右する要素として挙げられます。
マーケティング職の場合、特にリサーチ関連スキルの保有者は年収が高い傾向があります。次の図はマーケティング職における「保有スキル別平均年収ランキング」をまとめたものです。これによると、「リサーチ」の中でも「調査設計(定量)」スキル保有者の平均年収は677万円と、全体の平均年収を129万円も上回っています。

マーケティングにおいてリサーチは非常に重要な要素ですが、中小企業の場合は調査会社を活用することも多いと思います。リサーチ専任人材を抱える企業は各業界の最大手企業に限られる傾向があり、関連スキル保有者の年収もそれに応じて高くなっているのではないでしょうか。
さらに、次の図は「スキルによる平均年収の比較」を整理したものです。これを見ると、「上場(企業)」所属のマーケティング職の平均年収は636万円で、全体平均を88万円上回っています。一方、中小企業の多い「店頭(公開企業)」所属マーケティング職の平均年収は539万円、「非上場(企業)」の平均は554万円と、上場企業所属よりも低い傾向が。ほか、外資系企業所属の平均年収は674万円と、全体平均を126万円も上回っていました。
「保有スキル」別の傾向から考えるキャリアプラン
「保有スキル」に関しては、「企画(サービス企画・ブランド戦略、営業企画)」スキル保有者の平均年収が高くなっています。「ブランド戦略立案」スキル保有者の平均年収は620万円で、全体の平均年収を72万円上回っていました。

また、「新規商品・サービス企画」は577万円、「既存商品・サービス企画」は576万円と、いずれも全体平均より多くなっています。「戦略策定」や「予算策定」といった職務は、多くの企業において、広告運用や販促の実務より上流の仕事に位置付けられています。そのため、関連スキル保有者の平均年収もそれに応じて高くなると考えられます。
ただ、大企業に所属していると、なかなか「企画」関連業務に携われない場合もあると思います。あえて中小・ベンチャー企業で経験を積み、それからステップアップを図るほうが、キャリア戦略としては有効なのかもしれません。