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人を育てる。組織を育てる。

戦略的思考力のある強い組織をいかに作るか?田岡凌氏に聞いた「マーケ先進企業から学べる組織強化の要」

「仕組み」が組織の戦略的思考力を高める

MZ:顧客中心の組織にする、言語を統一する。これらを実現するために何か実践できるポイントはありますか?

田岡:2段階でお話ししたいと思います。まずは、組織のベースとなる「OS」をインストールすることです。ここで言うOSとは、WHO/WHATを軸にする基本的なマーケティング戦略の考え方を指していて、この考え方を組織にインストールさせる必要があります。また、WHO/WHATを組織に浸透させていく時は、口で伝えるのではなく、「仕組み」が大事だと思っています。

 冒頭でお話ししたマーケティング先進企業では、みんなが戦略を立てられるように、言語や考え方、フレームワークの統一が徹底されています。世界中どこのオフィスにいるメンバーも、本社と同じ考え方でマーケティング戦略を策定し、同じ規定・ステップで施策を実行できるようにする。この仕組みや枠組みが圧倒的に強いんです。

 もう少し具体的に言うと、企画開発の時点から各プロモーションの企画に至るあらゆるステップで、WHO/WHATに立ち戻りながら全てをドキュメント化する作業が業務に組み込まれています。この仕組みの中で、考えるんです。枠を埋めるために無理やりにでも絞り出す。言い方を変えると、枠があるから考えるし、ここで思考が深まるとも言えます。これを無限に繰り返すことで、OS的な考え方がメンバーに浸透していくのだと思います。

 ベースのOSが整ったら、次は「体験」です。顧客との接点を作り、マーケティングのOSを肌で感じられるような原体験を、組織として継続的に持つことができるか――顧客中心の組織にしていくには、これが極めて重要だと思っています。

 私がネスカフェを担当していた時、一番勉強になったなと思ったのは、実はお客様のお宅訪問でした。商品の企画開発をする時、机上では「ここがブルーオーシャンだよね」「我々のターゲットはこういう人だよね」と一見賢明な仮説を立てるのですが、実際にお客様の家に行ってみると、普通の顧客インタビューとは比べ物にならないほどの情報量があります。「子育て世代といっても、こういう感じで子育てをしているのか」「生活のこんなところにこだわりを持たれているのか」「こんな風にコーヒーマシンを使われているのか」といった具合ですね。私自身、このお宅訪問をしてから、顧客についての理解がぐっと深まったと感じました。

 また、私が同じくネスカフェ担当だった時、「ネスカフェアンバサダー サンクスパーティー」というイベントがありました。このパーティは、全国に数十万人いるネスカフェアンバサダーの皆さまを全国各地のホテルにご招待し、感謝を伝えるというのもので、ネスカフェの各ブランドの担当者が参加し、アンバサダーの方々をおもてなししました。振り返ってみると、「私たちのサービスは“誰を”幸せにするものなのか」という顧客の認識が、この施策を通じて各担当者の間で一気に近づいていたように感じます。

 こうしたお客様との原体験こそがマーケティングの幹となり、結果としてマーケティングの言語統一も進むのだと思っています。

MZ:具体的なノウハウをたくさん教えて下さり、ありがとうございました!

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2023/07/28 09:31 https://markezine.jp/article/detail/42733

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