新規顧客開拓に向け、新たに縦型動画広告を採用
MarkeZine編集部(以下、MZ):皆様の自己紹介をお願いします。
本多(ウォータースタンド):ウォータースタンドは、従来の宅配型ウォーターサーバーとは異なり、お水の購入もボトル交換もない「給水型」の新しいウォーターサーバーを展開しています。その中で私は、経営企画部でマーケティングとデザインを担当しています。
今回は「極予測LED」を活用して、縦型動画のInstagram広告を導入。新規顧客開拓の取り組みについてお話しできればと思います。
原(サイバーエース):極予測LEDは、広告効果の事前予測ができる「極予測AI」の効果予測技術を用いて、AIでリアルタイムに効果予測をしながら動画から静止画まで広告効果が高いクリエイティブ素材を撮影し続けることができます。背景素材には、高精細なLEDウォールで自由度の高い撮影が可能な「LED STUDIO」を組み合わせた、まさに次世代の映像制作サービスです。
サイバーエースでは、現在需要の高まっている縦型動画に対応する独自の専任組織「VCL」を立ち上げ、私はそこでリーダーを務めています。今回は、ウォータースタンド様のInstagram広告において縦型動画を提案。クリエイティブ制作から効果検証までサポートさせていただきました。
鈴木(サイバーエース):私はウォータースタンド様が縦型動画を導入される約2年前から、広くマーケティング支援をさせていただいております。
髙橋(Facebook Japan):FacebookとInstagram広告に関して、広告主・代理店へのサポートを担当しています。今回は縦型動画でどのように広告効果を出せば良いかについて、VCLの検証をフォローさせていただきました。
Instagramでは今やリールの視聴時間が約2割を占める
MZ:サイバーエースがウォータースタンドに縦型動画を提案された理由を教えてください。
鈴木:まずウォーターサーバー市場の広告の潮流からお話しすると、検索とアフィリエイトが中心のマーケットですが、特にコロナ期間におうち時間が増えたことで市況感としても「ウォーターサーバー」というキーワードのCPCは1.5倍程、増加傾向にありました。各社ディスプレイ広告配信も活用していますが、ユーザーから見ても、既視感のある広告にマンネリ化を感じつつある状況です。そんな中で縦型の広告在庫はInstagramをはじめ、YouTubeやTikTokなど様々な媒体で増えてきている潮流がありました。
そうした点をチャンスととらえ、ウォータースタンド様には縦型動画を活用して、新規の顧客獲得につなげていただきたいと思い、縦型動画を提案しました。
MZ:広告媒体を提供していらっしゃるFacebook Japanとしては、縦型動画の隆盛について同意見でしょうか?
髙橋:はい。媒体側としても、その流れは強く感じています。元々、写真アプリとして始まったInstagramですが、従来のフィードからストーリーズ、リールなど、投稿枠の種類を拡大させてきました。
そして、2023年にはネット上でのコンテンツ消費のうち、約43%が短尺動画になると予測されています(2022年実施のニールセン調査より)。また、当社調査から、今やユーザーがInstagramに費やす時間の約2割がリールという分析結果も出ています。
それにともない、縦型動画広告の出稿量も増えていて、2023年に制作された社内のクリエイティブ事例のほとんどすべてが縦型動画です。つまり今、縦型動画コンテンツである「リール枠」の攻略が、Instagramにおける広告配信の鍵と言えるでしょう。
週20~30本ペースで、新しいクリエイティブの制作が可能に
MZ:ウォータースタンドが極予測LEDを導入した経緯を教えてください。
本多:これまで当社では、バナー広告など従来の広告手法に留まっており、鈴木さんの言われた通りでユーザーが広告にマンネリ感を持ち始めている印象がありました。そこで、新規顧客の獲得を目指す上ではユーザーに飽きられないよう、定期的にクリエイティブを刷新できる環境と、ユーザーの視聴数が伸びている縦型動画の活用が重要だと考え、導入を決めました。
原:おっしゃるように「定期的なクリエイティブを刷新できる環境」が、縦型動画広告では重要です。というのも、縦型動画広告で一般的に配信されることの多い「UGC(User Generated Contents)風の動画」は、インプレッション数は伸びやすい一方、同じユーザーが視聴する頻度も多く、飽きられるのが早い傾向です。こうした“疲弊”を避けるためにも、コンスタントに様々なバリエーションの素材を制作する必要があるのです。
本多:しかし当社の商材は物理的にサイズが大きく、その分、制作工数がかかります。たとえば、スタジオやロケ地を選定して、商材を搬入し、カメラマンに撮影してもらうまでにおよそ1ヵ月かかります。しかも、1日で撮影可能な枚数はせいぜい1~2カットが限界でした。また、制作した後も、A/Bテストを行います。いざ出稿し運用するまでには、かなりの時間を要していました。これらを解消してくれたのが極予測LEDです。
原:今回の撮影では、1日に約50パターンの背景で撮影をしました。滝や雪山などのシチュエーションでの撮影も簡単に試せます。さらに、予測AIを使って、リアルタイムで素材の効果を測定し、予測結果が最も良いものだけを納品します。
本多:これまではクリエイティブの見直しは四半期に1回でしたが、極予測LEDを導入してからは、週20~30本のペースで新しいクリエイティブに刷新できています。
勝ちパターンを分析し、訴求軸を複数用意
MZ:極予測LEDを用いてどのようなクリエイティブを制作されたのか、制作工程も含めて教えてください。
原:まずは背景探しから始まりました。夏の需要期の宣伝用に水の冷たさを強調する素材や、冬に向けて雪山などの季節感を感じさせる素材など、ウォータースタンド様の商品と相性の良い背景を訴求軸に合わせて集めました。それをLEDウォールに映し出すことで、まるでその場にいるような臨場感のある背景に仕上がります。また、静止画のみならず、木や波などの動きのある背景も映し出すことが可能です。
原:同時に、ウォータースタンド様の広告の中で、これまでに効果の高かった勝ちパターンの分析も行いました。やはりウォータースタンド様の商品は「水道水を注ぐだけで綺麗でおいしい水が出てくる」という部分が強い訴求ポイントになっていると思います。分析でも水道水を注ぐシーンを冒頭に持ってきたものが一番伸びていたことがわかったので、撮影ではいかに透明感のあるシズル感を表現するかにこだわって水を注ぐシーンを何パターンも撮影しました。
本多:2年間、一緒に並走いただいた信頼感もあり、かつ提案いただいた背景や動画がかなりブランドイメージに沿ったものだったので、スムーズに撮影は進みました。イメージを担保しつつ、新たな表現に積極的に挑戦できて良かったです。
髙橋:私どもからも、月に最低1回は皆様とミーティングをさせていただき、媒体側の調査から判明した“当たり”とされるUGC風の動画の傾向などを共有しました。
極予測LEDの導入により、新規顧客数は272%にアップ
MZ:VCLの支援によって実際どのような成果が得られましたか。特に成果のあった動画を挙げつつ、教えてください。
原:まず、全体の結果として、2月からVCLで支援を開始して、支援初月にはCPAは95%に、CV数は155%に伸長しました。ポイントと考えているのが動画の「素材」です。過去の別の事例で、動画の構成は同じでも、中身の素材を変えただけでCV数が474%に上がったことがあります。それほど、素材は重要なのです。
そのためVCLでは、週1回以上新しい素材を撮影してすぐに動画をブラッシュアップするなど、スピーディーな体制を築いています。また、8Kカメラを用いて商材がきれいに映える構図や流行りのイメージの撮影からナレーションの吹き込みまで、アイデア豊富に対応する「素材ソムリエ」が社内に在籍しており、密に連携を取ってクリエイティブの鮮度を保っています。
なお、今回、特筆して紹介したい動画は「サーバーに水を注ぐ」という、実際の使用イメージを訴求軸に置いたものです。極予測LEDを導入し、新素材で配信した結果、獲得できた新規顧客数は元のクリエイティブと比較して最大で272%にアップしました。
本多:極予測LEDを導入してから、広告効果も改善し、全体での新規獲得数は117%伸張しています。ターゲットの属性自体は変わっていませんが、引っ掛かりのある背景を複数用意することで、同じ属性の中でもリーチできるようになったユーザー層が広がったと感じています。
MZ:成果の要因はどういった部分だと分析されますか。
髙橋:媒体目線でいうと、極予測LEDの活用で多くの素材を撮影できたことにより、クリエイティブのPDCAサイクルが高速で回せた点が良かったのではないでしょうか。Facebook Japanの中でも、勝ちパターン分析から訴求軸を複数作って、軸に紐づいた動画を複数配信することがCPAの減少につながる、という分析結果が出ています。
原:また、縦型動画広告の基本の尺である約30秒をすべて検証していくとなると、分析のスピードが落ちてしまいます。そこで、ユーザーの態度変容に最も影響があるといわれる動画の冒頭部分に分析の対象を絞り、広告効果を事前予測できるAIツール、極予測AIを活用して検証工数を削減することで、PDCAを高速で回すことを意識しました。
ウォーターサーバー業界のデジタル広告市場をけん引
MZ:最後に今後の展望をお聞かせ願えますか。
本多:ウォーターサーバー業界を考えると、他社と同じようなことをしても、そこで差が出にくい現状があります。そのため、エッジの効いたクリエイティブを入れない限りは埋もれてしまう状況です。それと同時に、クリエイティブの鮮度も重要になってきています。
今回、極予測LEDを活用する中で、いかにユーザーを飽きさせないかが広告において非常に重要だと実感しました。今後もスピード感をもって、広告の差別化を図っていこうと思っております。
髙橋:先程お伝えしたニールセンや当社の調査結果からもわかる通り、静止画から動画へのユーザーシフトは着実に進んでいます。そうした変化にきちんと対応できるように、サイバーエース様や事業会社の方とは今後も連携していきたいですね。
原:VCLが現在の広告市場において最も縦型動画の制作に強いチームになるよう、極予測AIの検証スピードを向上させて、広告効果を引き続き高めていきたいと思います。
鈴木:先日、ウォータースタンドの役員の方とお話しした際、ウォーターサーバー業界では昨今、デジタル広告に対する「顧客獲得チャネル」としての期待が高まってきていると伺いました。この流れに乗じ、私たちサイバーエージェントグループがデジタル広告の運用支援を着実に行うことで、デジタル広告市場をけん引していきたいと思っております。
新しい時代に求められる広告代理店としての第一人者に!
サイバーエースは、事業規模や拠点にとらわれず全国各地の企業へ、整備された営業体制とオペレーション体制の下、当社の強みである「広告運用力」×「クリエイティブ力」を活かすことで、手厚いフォローおよび費用対効果の高い効率的な広告効果を図り、顧客満足度の高いサービス提供を実現してまいります。