対策を始めるなら「守るべき広告」の把握から
──今後アドフラウド対策に取り組もうと考えている広告主企業は何から始めるべきでしょうか?
まず基本的なことですが、自社の広告出稿状況を整理することが大切だと考えます。何のための広告を、いくら使っているのかを知ることは大事なことであり、最適なツールを選ぶためのヒントにもなります。
当社が導入したCHEQのCustomer Acquisition Securityは、リスティング広告に強みを持つサービスです。オンラインショップのように加入促進の側面で、リスティング広告のウェイトが大きく、CPCを下げたいといった場合は効果が期待できるでしょう。一方、ディスプレイ広告のウェイトが大きく、CPMを下げたいといった場合は、他のツールを使ってみても良いかもしれません。当社のようにリスティング広告用とディスプレイ広告用を組み合わせ併用しながら活用するといった使い方もできると思います。
また、普段行う広告出稿の額や頻度との相性も大切な観点だと思っています。ツール費用が定額で発生するため、浮き沈みがあった際に加入の促進ができた額よりもコストのほうがオーバーする可能性や、スポットで特定の月だけ広告を出す企業の場合は、ツール導入による効果を感じられない可能性も考えられます。
たとえシーズナリティがあったとしても、基本的に年間を通して出稿していたり、デジタル広告に力を入れたりしているような企業のほうが効果を得やすいのではないでしょうか。
すべてのマーケターが主体的にアドフラウド対策を行いクリーンな広告を
──最後に、今後のアドフラウド対策の展望をお聞かせください。
アドベリフィケーション全体に関しては、すべての人が意識しなければクリーンになりません。冒頭で「以前はアドフラウド対策は広告主ではなく媒体側の話」だと思っていたとお伝えしましたが、媒体側だけでは見えなくて対応できないこともあると考えるようになりました。これは、Customer Acquisition Securityの導入により、アドフラウドの影響を見える化できたことで、より自分ごととして捉えられるようになったからだと感じています。
今回お伝えしたように、アドフラウドはコンプライアンスの問題発生や広告費の大きな損失につながります。その影響の大きさを理解しているにもかかわらず、向き合わないこと自体が広告主企業にとってのリスクに感じます。
加えて、不正クリックは、調べようとしない限り把握することはできません。主体的に防ごうとしているかどうかは非常に重要で、放置することは自社の脆弱性を相手にさらしている状態に近いと思っています。だからこそ、すべてのマーケターが勉強して、対策に取り組んでいくことが必要だと思います。
KDDIとしては、既存の対策環境にCustomer Acquisition Securityを加えたことで、アドフラウド対策は一旦充足したと考えています。CHEQ様が専門的にリスティング広告の対策をしてくれているからこそ、他のことに対しても目を向けられる体制が整ってきています。したがって、引き続きCustomer Acquisition Securityは活用しつつ、ブランドセーフティやビューアビリティも含めてトータルで、アドベリフィケーション対策をより強化していきたいと考えています。