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不正クリックを防いでプロモーションを効率化 KDDIがCHEQで実現する“届けたい人に届く”広告運用

 不正クリックなどにより広告費をだまし取るアドフラウド。クリック数に対して平均40%程度を占め、広告費の損失やブランド棄損につながる危険を抱えるものの、費用対効果の問題から対策に踏み出せない企業も少なくない。そんな中KDDIでは、デジタルマーケティングおけるROI改善や企業価値保全を目的にアドベリフィケーションに以前から取り組み、2022年4月からはCHEQの「Customer Acquisition Security」を導入することで体制をさらに強化した。今回はKDDIの森氏に同社のアドフラウド対策やデジタルマーケティングのROI改善に取り組む上でのヒントをうかがった。

広告費の健全化に向けアドフラウド対策に注力

──まず森様の簡単なご経歴や現職の業務やミッションについてお聞かせください。

KDDI株式会社 ブランド・コミュニケーション本部 コミュニケーションデザイン部 メディア企画グループ
森 加夢偉氏

 KDDIに新卒入社し、2年目からはDeNAへ出向するなどして、元々は事業領域をメインで携わってきました。KDDIに帰任後は一転、宣伝領域でマスのメディアバイイングを長らく担当しました。現在はデジタル広告を駆使した加入のプロモーションを行うほか、社内公認でYouTubeチャンネル「ひみつ基地。」に時々出演しており、いずれも当社のサービスと興味があるお客様をつなぐ役割を担っています。

──ありがとうございます。主にデジタル広告に携わられているということで、年々深刻化しているアドフラウド問題についてうかがいます。御社では業界が直面する課題としてアドフラウドの対策に注力しているそうですね。昨今のアドフラウドの現状に対し、広告主企業が抱えるリスクにはどんなものがあるとお考えですか。

 レポートが出てきて通知がくるままに広告費を支払っていても、支払った金額に対して、本当に正しくクリックされたかがわからないことは大きなリスクだと考えています。不正なクリックにより、余計な広告費が発生している可能性がありますし、その不正な広告費が犯罪収益につながってしまうとも言われています。これは、コンプライアンス面で見ても良くないことは明白ではないでしょうか。

 このようにアドフラウドによるリスクは大きいものの、対策になかなか取り組めない広告主企業も多いのではないかと感じています。

広告主企業として「見えないものにコストはかけにくい」

──アドフラウド被害の放置にはそれだけのリスクがあるにも関わらず、対策に踏み出せない広告主企業が多いのはなぜだと思いますか?

 まず、アドフラウドは媒体側が対策しているものであり、広告主にはあまり関係ない課題と認識してしまっている可能性が理由の一つかもしれません。媒体社が媒体をクリーンなものにする責任があるのではないかと思っている企業は少なくないと思います。実際、以前は私達もそのように考えていました。

 加えて、アドフラウドについて調べようとしても得られる情報が限られているのも要因と考えられます。幅広い対策をしようとして、広告の健全性を検証する手法全般を指すアドベリフィケーションを調べていても、ブランドセーフティ、ビューアビリティなどアドフラウド以外の視点のほうが話題になることが多いと感じています。

 また、「見えないものに対しては、コストをかけにくい」というマーケターや経営者側の本音も要因としてあると思います。アドフラウド対策により、具体的に改善した部分が視覚化されていないと、たとえ対策をしたいと考えても社内の承認を得ることは難しいですね。

 これは私がマスのメディアプランニングを担当していたころ、テレビの視聴率と向き合っていたことに重なります。リモコンの集計による従来の視聴率ではCMが本当に見られているかを測定はできないため、「見えるようで見えない指標」と言えます。そこでテレビにセンサーを備えたパネルを活用して、実際にテレビの前の人が画面を見ていることを検知したデータを掛け合わせた「視聴質」という概念を作り、視聴率を「見える指標」にしました。そんな経験もあり、「メディアを“見える化”したい」という想いを常に持ってきました。届けたい広告を正しく届けられているか。このようなことをデジタルの世界で改めて見直したいと思っていたときに出会ったのがCHEQの「Customer Acquisition Security」です。アドフラウドを「見える不正クリック」にできることを知って2022年4月に導入し、現在にいたります。

「Customer Acquisition Security」でリスティング広告のCPAを改善

──「Customer Acquisition Security」導入の具体的な狙いをお聞かせください。

 個人的なマインドで言うと「メディアの見える化」を狙っていましたが、社内での狙いを一言で言うと加入プロモーションの効率化ですね。

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 以前から当社では、主にディスプレイ面において、他のアドベリフィケーションツールを活用していました。ただ、リスティング広告担当になって改めてわかったのですが、リスティング面とディスプレイ面では意識すべきことが全然違うんですよね。これまでの対策環境にCustomer Acquisition Securityを追加したのは、リスティング広告にも強みがあるサービスだったからです。

 リスティング広告ではCPAが非常に重要である中、リスティング広告の検証に強みを持つCustomer Acquisition Securityで不正クリックを防げばCPAを下げられるという期待がありました。

不正クリックを防ぐことで加入の促進を効率化

──Customer Acquisition Securityを使ったことでどのような効果がありましたか?

 「au」「UQ」「povo」の全ブランドのリスティング広告に導入し、不正クリックの除外に使用しています。不正クリック数を知る仕組みがあるおかげで、CPCを使って逆算すれば、無駄撃ちにならずに済んだ広告費が試算できるのは大変助かりました。このように導入による費用対効果が見えるのは、社内で導入メリットに対する理解を得やすかったですね。

──具体的にはどのような効果がありましたか?

 効果としてもツール導入にかかった費用を大幅に上回り、数百万単位で広告費を削減できているなど、非常に良い結果が出ています。

 実際、導入費用に対して導入による効果で削減できた金額は平均で約4倍となっています(2022年8月-2023年5月の実績から概算)。

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Customer Acquisition Securityの導入費用と導入による効果でKDDIが削減できた金額を比較したグラフ(2022年8月-2023年5月の実績から概算)

 また、複合的な要因はありますが、前年度と比較してオンラインショップでの加入件数も全体的に上がっています。商材によっては300%、良くないときでも200%に上がっているものもあります。理論上、使う予算が決まっている中でCPCやCPAが下がれば、加入件数が増えますよね。こうして届けたい人に正しく広告を届けられるようになったことで、得られた結果は大きいと思います。

 アドベリフィケーションツールと言うと「不正なものを防ぐだけ」といったイメージがありましたが、実際に結果を目の当たりにして、不正を防ぐことで加入プロモーションを効率化でき、加入件数の増加にもつながることがわかりました。

 加えて、手間がほとんどかからないことにも驚きました。Customer Acquisition Securityはリアルタイムの不正トラフィック検出のほか、月ごと・四半期ごとのレポートの共有など、都度連絡の手間もなくほぼ全自動的に対応いただけるので、人的コストを割く必要がありません。

 その上、CHEQ の日本にいるカスタマーサクセスのご担当者さんと広告代理店のご担当者さんが連携し、しっかりと成果を見えるようにしてくれているおかげで当事者意識も醸成されるので非常に助かっています。

──Customer Acquisition Securityの導入後、現場や社内からはどんな反応がありましたか?

 これだけコストが下がって加入効率が良くなったことに対して社内からも驚きの反応がありました。

 一方で今後について継続する必要はなくなるのではないかといった反応もありました。これは、Customer Acquisition Securityは一度ブロックしたIPアドレスはブロックしたままにしてくれることに起因しています。そのIPアドレスから再び不正クリックされることはないため、単純に考えれば不正クリックはどんどんなくなっていくと考えることができます。そうなるとCustomer Acquisition Securityをこのまま使い続けても、効果はもう期待できないのではないかといったものです。

 ただ、不正アクセスを行うユーザーも同じIPアドレスをずっと使い続けることはありません。彼らがCookieやユーザーエージェントの情報を変える動きも実際に確認しています。一度ブロックしたユーザーがそのような形で次々に帰ってくるかもしれません。そういった点から、継続することに意味があると考えています。

対策を始めるなら「守るべき広告」の把握から

──今後アドフラウド対策に取り組もうと考えている広告主企業は何から始めるべきでしょうか?

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 まず基本的なことですが、自社の広告出稿状況を整理することが大切だと考えます。何のための広告を、いくら使っているのかを知ることは大事なことであり、最適なツールを選ぶためのヒントにもなります。

 当社が導入したCHEQのCustomer Acquisition Securityは、リスティング広告に強みを持つサービスです。オンラインショップのように加入促進の側面で、リスティング広告のウェイトが大きく、CPCを下げたいといった場合は効果が期待できるでしょう。一方、ディスプレイ広告のウェイトが大きく、CPMを下げたいといった場合は、他のツールを使ってみても良いかもしれません。当社のようにリスティング広告用とディスプレイ広告用を組み合わせ併用しながら活用するといった使い方もできると思います。

 また、普段行う広告出稿の額や頻度との相性も大切な観点だと思っています。ツール費用が定額で発生するため、浮き沈みがあった際に加入の促進ができた額よりもコストのほうがオーバーする可能性や、スポットで特定の月だけ広告を出す企業の場合は、ツール導入による効果を感じられない可能性も考えられます。

 たとえシーズナリティがあったとしても、基本的に年間を通して出稿していたり、デジタル広告に力を入れたりしているような企業のほうが効果を得やすいのではないでしょうか。

すべてのマーケターが主体的にアドフラウド対策を行いクリーンな広告を

──最後に、今後のアドフラウド対策の展望をお聞かせください。

 アドベリフィケーション全体に関しては、すべての人が意識しなければクリーンになりません。冒頭で「以前はアドフラウド対策は広告主ではなく媒体側の話」だと思っていたとお伝えしましたが、媒体側だけでは見えなくて対応できないこともあると考えるようになりました。これは、Customer Acquisition Securityの導入により、アドフラウドの影響を見える化できたことで、より自分ごととして捉えられるようになったからだと感じています。

 今回お伝えしたように、アドフラウドはコンプライアンスの問題発生や広告費の大きな損失につながります。その影響の大きさを理解しているにもかかわらず、向き合わないこと自体が広告主企業にとってのリスクに感じます。

 加えて、不正クリックは、調べようとしない限り把握することはできません。主体的に防ごうとしているかどうかは非常に重要で、放置することは自社の脆弱性を相手にさらしている状態に近いと思っています。だからこそ、すべてのマーケターが勉強して、対策に取り組んでいくことが必要だと思います。

 KDDIとしては、既存の対策環境にCustomer Acquisition Securityを加えたことで、アドフラウド対策は一旦充足したと考えています。CHEQ様が専門的にリスティング広告の対策をしてくれているからこそ、他のことに対しても目を向けられる体制が整ってきています。したがって、引き続きCustomer Acquisition Securityは活用しつつ、ブランドセーフティやビューアビリティも含めてトータルで、アドベリフィケーション対策をより強化していきたいと考えています。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:チェク・ジャパン株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/08/07 10:30 https://markezine.jp/article/detail/42765